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呼吸に気づくことで「いま・ここ」にいる自分に戻る。

前回は、いまの「呼吸」を観察することはブッダを目指すためのシンプルな方法であると述べました。

このことに関して、ヴェトナムの禅僧であるティク・ナット・ハン師は、『微笑みを生きる 「気づき」の瞑想と実践』(池田久代 訳 春秋社)のなかで、

息を吸ったら、「息を吸いながら私はいま息を吸っていることに気づいている」。息を吐きながら、「息を吐きながら私はいま息を吐いていることに気づいている」と、こころのなかでつぶやきます。これだけの練習です。入息を入息として、出息を出息として気づいてゆきます。

とシンプルに説明し、そして、

慣れてきたら、このようにながながとつぶやく必要もありません。「吸う」、「吐く」の二語で十分です。これはあなたのこころを呼吸につなぎとめておく練習です。この練習をつづけてゆくと息が鎮まり穏やかになってゆき、こころと体も鎮まり穏やかになってゆきます。むずかしいことは何もありません。

と述べています。


また、

 毎日の繫雑な生活のなかで、ときどき息に気づいてみることはすばらしい体験です。意識的な呼吸の練習は瞑想室だけで行なうものではなく、会社にいるときでも、家庭にいるときや、車を運転したりバスに乗っているときでも、一日じゅう、いつでもどんな場所でもできるのです。

としたうえで、

 意識的呼吸法を練習してゆくと、考えごとが減り、体全体が本当にくつろいできます。私たちは一日じゅう考えごとばかりしています。気づきの呼吸を行なうと、こころが鎮まり、落ちついてきます。過剰な思考の連続から解放されて、過去の悲しみ、未来の心配事から自由になります。呼吸に戻ることによって、いまここに充足しているいのちに触れることができるのです。

 意識的呼吸法を行なえば、息を吸ったり吐いたりしているときに思考は止まります。「入息」「出息」をつづけてゆくと、気持ちがすっきりして、何ともいえない清涼感が生まれてきます。本来の自分に戻って、いまここで私たちを取り囲む美しい世界に出会うことができるのです。過去はもはや過ぎ去ったもの、未来は未だ来らざるものです。いまここにいる自分に戻ることができなかったら、いのちと触れ合うことはできません。

とも述べています。

このように、「意識的呼吸法」は、誰でもブッダを目指すための、最適な方法のひとつなのです。そして、「呼吸に戻ることによって、いまここに充足しているいのちに触れることができ」、「本来の自分に戻って、いまここで私たちを取り囲む美しい世界に出会うことができる」のです。



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