誰もがブッダを目指すために大切なことは「呼吸」を観察すること、さらに「気づき」であると述べましたが、
意識的な「呼吸」や「気づき」を実践することにおいては、常に「慈しみ」の気持ちをもつようにすることも重要であるように思います。
ブッダの重要な教えのひとつである「慈悲」については、以前に述べましたが、
この「慈しみ」の気持ちを持つということに関して、ティク・ナット・ハン師は『ブッダの〈気づき〉の瞑想』(山端法玄、島田啓介 訳)のなかで、
と述べています。
またワールポラ・ラーフラ師は『ブッダが説いたこと』(今枝由郎 訳)の「心に関する心的修養」のなかで「特筆すべき」こととして以下を挙げています。
これらは普段の心がけというものに関して以前の記事で取り上げた「四無量心」(慈悲喜捨)のことを述べているように思いますが、
ここでお伝えしたいのは、お釈迦さまの教えを実践し、目覚めた人「ブッダ」を目指していくために重要なのは、「気づき」(マインドフルネス)と「慈しみ」(コンパッション)の両輪であるということなのです。
このことに関しては、バンテ・ヘーネポラ・グナラタナ氏が『慈悲の瞑想 慈しみの心』(出村佳子 訳)のなかで、
と述べていることが参考になります。
また、最近よく知られるようになった「マインドフルネス」というと、「怒り」や「憎しみ」などの感情に振り回されずに「今・ここ」に意識を集中させ、冷静に物事を観察するための訓練という印象をお持ちの方は多いかもしれません。
しかし近年メンタルケアとして注目されるようになった「コンパッション」(compassion)や「セルフ・コンパッション」は、「マインドフルネス」(mindfulness)と切っても切り離せない関係にあるのです。
ちなみに自分自身を思いやる「セルフ・コンパッション」と「マインドフルネス」との違いについては、臨床心理士の有光興記氏が『自分を思いやる練習』のなかで、
と説明しています。
誰もがブッダを目指すために大切なのは、両輪である「気づき」と「慈悲」を一緒に実践し、育てていくことなのです。
お忙しい中ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます😊