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<不安>は「免疫力の低下」につながる❓【これからの免疫力を高める習慣28】

日頃のストレスにきちんと向き合うことで、免疫力を高める生き方、始めてみませんか?

前回はエネルギー不足が免疫力の低下につながるワケについて述べました。


脳という器官は他の臓器よりも活動のためのエネルギーを必要としており、1日に体全体のエネルギーのおよそ20%を消費するといわれています。

そのため、無駄にエネルギーを消費しないためには、過去のイヤな記憶をぐるぐると反芻したり、不確実な未来に対して悲観したりするなど、余計に考えすぎたり悩みすぎたりしないよう日常生活のなかで心がけることも必要になってくるように思うのです。

そしてそのことが免疫力の低下を防ぐことにもつながっていくのです。

このように述べるのは、かつての私自身が、他人のちょっとした言動などに対して、余計なことをあれこれ考えすぎることで、結果的に疲れてしまうことが多かったからです。


ちなみに「」については、ノースイースタン大学心理学部特別教授であるリサ・フェルドマン・バレット博士が、

脳のもっとも重要な仕事は、エネルギーの需要が生じる前に〈予測〉しておくことで、身体をコントロール――アロスタシスを管理——することにある。(中略)

 要するに、脳のもっとも重要な仕事は考えることではなく、恐ろしく複雑化した、もとは小さな生物の身体を運用することにある。

と述べていることは注目に値します(1)。

つまり、バレット博士は脳の重要な仕事は考えることではなく、「脳は〈予測〉する器官」であるとしているのです。

『バレット博士の脳科学教室 7½章』


また、ジュリー・スミス博士は前出の『メンタルマネジメント大全』のなかで、

 脳が何かをするための準備をわたしたちにさせるとき、わたしたちはストレスを感じる。それが朝起きることであれ、プレゼンテーションを始めることであれ、車を運転することであれ、脳はわたしたちを覚醒させ、何らかの準備をさせるためにエネルギーを供給する。

とし、さらに、

 脳はこのような働きをしながら、休息や栄養という形での見返りを期待している。それなのに見返りが得られないと、脳は不足を感じる。そうしたことが何度も起きると、体の資源が補充されなくなる、もし睡眠不足だったり、食生活が乱れていたり、あるいは毎日、夫婦喧嘩していたら、不足はますます高じる。消耗した体は自分を守れなくなり、病気になりやすくなる。

としています(2)。


事前予測・準備 ➡ ストレス


そして「免疫力の低下」という観点から問題になるのは、一時的なストレスではなく、頭の中の問題が解決せずに「不安」な状態がずっと続くことです。

そのことで脳はエネルギーを余計に消耗してしまうのです。

では「ストレス」と「不安」はどこが違うのでしょうか?

ジュリー・スミス博士は、「ストレス」と「不安」はしばしば同じ意味で使われ、この二つについて、ストレスのせいで不安が悪化したという話はよく聞くし、逆に、不安のせいでストレスが悪化したと言うこともあるとしています。


もし郵便局の列に並ぶことにストレスを感じるのであれば、

「ストレスの急上昇は脳を覚醒させ、そのまま列に並び続けるか、それとも他の用事を優先するかの判断を下しやすくする」

のですが、そこに「不安」を感じるのであれば、

「何か恐ろしいことや危険なことが起きそうだという予測や心配と関連している可能性が高い」

というのです。

『メンタルマネジメント大全』(ジュリー・スミス 著 野中香方子 訳 河出書房新社)


つまり、郵便局であれコンビニエンスストアであれ、訪れた際に長蛇の列が出来ていたという場合は、「闘争か逃走か」というストレス反応と同様、そのまま我慢して並ぶか、後回しにして他の用事を先に済ましてしまうか、自分で選択することが出来るのです。

しかし、たとえば震度3程度の地震が起きてストレスを感じた際に、「この地震は大地震が起こる前触れではないか」など、未来に対して危機を予測し、いつまでも頭から離れないと、一時的なストレスであったものが「不安」へと変わるのです。


次回へと続きます😊


注釈

 『バレット博士の脳科学教室 7½章』 リサ・フェルドマン・バレット 著 高橋洋 訳 紀伊國屋書店


脳のもっとも重要な仕事は、エネルギーの需要が生じる前に〈予測〉しておくことで、身体をコントロール――アロスタシスを管理——することにある。それによって、必要な動作を効率よく行ない、ひいては生き延びることができるのだ。あなたの脳は、食物、住居、愛情、身体の保護などの形態で十分な恩恵が得られることを期待しながら、つねにエネルギーを投資している。だからこそあなたは、自然が課すもっとも重要な役割、そう、次世代に自己の遺伝子を受け渡すという仕事を果たせるのである。

 要するに、脳のもっとも重要な仕事は考えることではなく、恐ろしく複雑化した、もとは小さな生物の身体を運用することにある

21頁


2 『メンタルマネジメント大全』 ジュリー・スミス 著 野中香方子 訳 河出書房新社

 脳が何かをするための準備をわたしたちにさせるとき、わたしたちはストレスを感じる。それが朝起きることであれ、プレゼンテーションを始めることであれ、車を運転することであれ、脳はわたしたちを覚醒させ、何らかの準備をさせるためにエネルギーを供給する。コルチゾールは有害なストレスホルモンと見なされているが、実際には、燃料になるグルコースが血液中に素早く放出されるようにしている。ストレスを感じると、肺と心臓は必要なエネルギーを筋肉と脳に送るために働きをスピードアップする。次にアドレナリンとコルチゾールが筋肉に作用し、そのエネルギーを効率的に利用できるようにする。こうしてわたしたちは、あらゆる課題に直面する用意が整う。このとき、体は最善の働きをしている。五感は研ぎ澄まされ、脳はいっそう早いスピードで情報を処理する。

 脳はこのような働きをしながら、休息や栄養という形での見返りを期待している。それなのに見返りが得られないと、脳は不足を感じる。そうしたことが何度も起きると、体の資源が補充されなくなる、もし睡眠不足だったり、食生活が乱れていたり、あるいは毎日、夫婦喧嘩していたら、不足はますます高じる。消耗した体は自分を守れなくなり、病気になりやすくなる。

256‐257頁


お忙しい中ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます💛💛💛


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