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自宅から徒歩圏内で野生動物を撮る。身近な自然の楽しみ方 #04

本州の哺乳類の中でも代表的な存在と言えるカモシカ。森や崖に暮らす印象がある動物だと思いますが、ご覧の通り、このカモシカは、人の捨てたゴミの中を歩いています。
皆さんはどう思われるでしょうか。ゴミの中を歩く森の動物を見て「イメージと違う」と落胆しますか?それとも「面白いな」と思いますか?

前回の記事で『自然を語るうえで、人間の存在を切り離さない』というお話を書きましたが、動物たちは人間のイメージと関係なく、自らが置かれた現在の自然環境に適応して生活しています。そして幸か不幸か、自然環境に対して最も影響力が強いのは、人間。これも大きな視点で見れば自然界の一要素に他なりません。彼等にとっては、ゴミもそこにあるもの。彼等を取り巻く環境の一部なんですよね。

「ゴミの中を歩くカモシカが面白い」そんな風に思えるようになれば、私たち人間の生活圏の中にも、小さな野生動物にあふれているということに気が付き、目が向くようになるでしょう。

野生動物を見たいけど、なかなか遠くに行けない。
写真が好きで、自然が好きだし、野生動物撮影に憧れているけど、大変そうだし、やったことが無い。
そんな風に思っている方に向けて、ぜひ知ってほしい、身近な動物たちのお話をしてみたいと思います。
今回は、都内にある私の家の近くでの実例を挙げてみます。

■ あなたの家の近くにも、必ず野生動物は住んでいる

私の家は決して特別な環境ではありません。
都内によくある、三面護岸の川の近くにある小さな一軒家。
きっとそれに近しい自然を、皆さんのお家の近くにも見つけることができるでしょう。私の家の近くならどうだろう?そんな風に照らし合わせながら、以下の写真たちを見ていただけたらな、と思います。

例えば…こんな写真。撮影地は都内。実は私の自宅から徒歩30秒ほどのところ。清流のイメージがあるカワセミですが、三面護岸のコンクリート河川でもたくましく生活しています。
ここのカワセミたちは餌付けなどはされていないようですが、写真愛好家の方がフェンスに木の枝を括り付け、そこにとまったカワセミを撮影していたようです。きっと自然らしく見せるために、手を加えたのでしょう。ですが私は、そんなことをしなくても、むしろ人工物にとまっているカワセミをそのまま撮る方がユニークだし、彼等の都会への適応力を感じてもらえるという意味でも、面白いなと思っています。

コンクリートの岸からダイブするカワセミ。よく見ると小さなエビを咥えています。どうやらこれが彼らの主食のよう。そんな発見も、毎日の観察で重ねていくことができます。家から近いからこそ、ですね。

もちろん、カワセミだけではありません。
毎日歩くこの川には、たくさんの動物たちが。
今の季節(5~6月頃)なら、こんな愛らしい親子も。

鳥だけではなく、カメもいますよ。

スッポン…、ファインダーを通して見ると、けっこうカッコイイかも…。

それから川の両岸には、木が植えられているのですが、
注意深く見てみると…。

冬場の木の葉が落ちた後、寂し気なムクドリもいい感じ…。

鳥たちがよくとまる電信柱も観察ポイントです。

ベランダから発見。どうやらこれはスズメの巣。
こんなところで、彼らは子育てをしているようです…。

春先、河津桜が咲くと、毎年やってくるメジロ。

珍客、鮮やかな色彩のワカケホンセイインコ。
野生化した外来種です。
まるで熱帯のような、鮮やかな色彩のコントラスト。

暖かくなってハトたちも恋の季節に。
足もとに目を向けると…。

ごちそうをゲットしたカナヘビ。

こんなコも出現。苦手な人はごめんなさいね…。

もっと小さな世界に目を向けてみれば、
家庭菜園のゴーヤの花にやってきた蟻さんたち。
こんな一枚もきっと、自然写真と言っていいと思うんです。

ざっとこんな感じです。最初のカモシカを除いて、この記事の写真は全て都内の、私の家の近くの川で撮影したもの。全部徒歩10分以内の場所です。
本当は、まだまだお見せしたい写真があるんですが、この辺にしておいて…。笑)

■ 子どもたちに伝えたい、身近な自然の入り口に

ご覧の通り、都会で見かける身近な動物たちといえば小さなものが多いです。中でも野鳥は、最も親しみやすい野生動物と言えるでしょう。

実をいうと、私は、クマを追いかけているぐらいですから、大きな動物が好きなんです。でも、色々な事情が重なって、動物撮影に出かけることができない日々が続いたことがありました。
当時、ようやく動物の撮影が形になりかけていた時で、焦りもあり、非常に苦しく、悔しい思いをしました。でも、大きな撮影機材を抱えて、自宅で唸っていても仕方が無い。そんな日々の中で、すがるようにコンクリートの中を飛ぶカワセミの撮影を始めたのです。最初は苦し紛れだったのかもしれませんが、今はその経験が、大きな財産になっていると感じています。

我が家には小さな子どもが一人いますが、寝物語にクマやクジラの話をして聞かせます。遠くの、いつか見せたい自然のお話。でも一方で、この記事に載せた写真のような世界は、すぐにでも実際に見せてあげることができる。なにせ撮影地は家から徒歩10分以内ですから。

こんな風にして、生活のすぐそばにある小さな生き物たちの姿に目を向けることは、子どもたちに、体験を届けてあげる視点を持つことを意味すると私は思っています。
緑あふれる湖畔に建つ一軒家でも、コンクリートに囲まれたマンションの一室でも、生き物さえ見つけられれば、まったく同じというわけにはいかなくても、近しいことができると思うんです。
自分が親になって、そんな風に思いながら、身近な自然に目を向けるようになりました。

いかがでしたでしょうか。普段から動物撮影をする方にとっても、全くしたことが無い方にとっても、身近な生き物たちは撮影を楽しめる良い被写体だと思います。
具体的なテクニックや機材などのお話は後日の機会に譲りますが、我が家の近くで撮った写真から生まれた、ビギナー向けのWebの記事を2つ、下記に載せておきます。興味を持った方は、是非覗いてみてくださいね。

誰しも川の近くに住んでいるわけではないでしょう。私の挙げた実例とは全く同じように行かないかもしれません。
でも、必ず生き物が暮らす場所は近くにあるはず。近くに公園はありますか?そこに池はありませんか?植木があるような場所は?
次回は私の家から少し離れた身近な生き物の見つけ方を少しだけお話したいと思います。

ありがとうございました。

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二神慎之介 / 東京/道東。写真撮り。映画『草原の椅子』から写真の途に。 現在は『森のヒグマ』を中心とする野生動物を被写体に活動中。 http://www.sinh11.com/
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