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【中間管理職カルテ】実話から紐解く明日への処方箋① #16

はじめに

製薬業界に身をおいてから早いもので30年近くが経過している。これまで営業部門、メディカル部門、マーケティング部門を経験して多くのことを学んだ。


幸い、各部門において入社依頼「未達」の経験がない。これは自分自身を奮い立たす唯一の自負である。


しかしながら、思い返せば沢山の失敗をしてきました。中間管理職のあなたに本事例を紹介し、自身に置き換え考えて頂くことを望みます。☕️


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【実録①】チャレンジさせなかったプレゼンテーション


私たちの業界では主に医療用医薬品の販売を行っている。営業担当者をMR(医薬情報担当者)と呼び、大学病院や一般の病院を担当して、関連のある診療科を訪問している。主な業務は「医師や薬剤師」の方々への自社医薬品の情報提供/収集活動である。


今回の実録は数年前、とある都道府県の営業所長として赴任していた頃の話です。


「新薬」発売に際して大学病院の医局で勉強会を催すことになった。この大学を担当するAさんは、私の営業所では後輩からの信頼も厚く優秀な存在である。勿論、プレゼン能力も高く誰もが認めていた。

当時は赴任して間もなかったこともあり、私に対する会社からのプレッシャーも強く、何としても「この新薬の採用スピードを早めたい」一心でした。幸い、この医局には全国的にも著名な医師がいて昔から顔馴染みでもある。

勉強会当日、私はAさんにこう申し出た。「俺にプレゼンさせてくれ!」当然Aさんは快く受け入れてくれた。首尾良く勉強会は盛り上がり、薬剤も無事に採用になったのだが、Aさんの表情はいつものように明るくない。


ポテンシャルの高い大学病院が、この「新薬」を評価し、早期に採用を決定したのは大きい。この事実をAさんの「成果」として社内に売り込む予定だった。しかしAさんの表情は一向に明るくならない。


数日後、自分を大きく責めることになる。💦


Aさんの努力を理解しようとせず、「手本を見せなければ...」「失敗は許されない...」の意識が強く働き、彼の努力をスルーしていたのだ。


✅Aさんは勉強会の為に毎日プレゼンの演習に明け暮れていた。
✅Aさんはこの機会を利用し、医局内で自身のプレゼンスを示したかった。
✅Aさんは営業所内の同僚に率先して手本を示したかった。


幸いにも、誰からも指摘されず「自分の愚行」に気付くことができたので、営業所員のミーティングの際、「自分の愚行」を説明し謝罪した。


本人を含め所員からは「酷い!」「最低やん!」など苦笑されてしまいましたが、何となく「心のつかえ」が取れた気がした。


この日を境に「任せる」「信じる」「一蓮托生」を意識するようになった。
マネジメントの本質を理解し実践すると決めた瞬間でもある。


明日への処方箋🗒
✅「任せる」
✅「信じる」
✅「自分が責任を取れば良い」


【実録②】パートナーとの別れ:自分の「曖昧さ」を痛感

元パートナーのBさんは4歳年下のエリート営業マンでした。私がMRだった頃、彼とは6,7年同じエリア・大学病院を担当し、ともに切磋琢磨した戦友である。


数年後、そんな彼もとんとん拍子で出世して、私と同じく隣県の営業所長として赴任してきた。彼の営業所も私と同じく成績不振が続く酷評の部署でしたが、彼の持ち前である「実直さ」「誠実さ」を売りにMR教育からテコ入れしていた。


ある日、彼が相談してきた。

「私の営業所のMRで嘘ばかりついて誤魔化している人がいるんですが、先輩ならどのように指導しますか?」

本当に悩んでいる様子であり、恐らく上長からも同様の指摘されていたのであろう。私は即答で「真実を確かめれば良い!」と回答してしまった。

実直な彼は私の意見を「裏を取れば良い!」と解釈したようで、実際に裏取りに成功したのだと言う。

ところが、該当のMRはそれに腹を立て元パートナーに対し「ハラスメント」だと訴えたのである。詳細は割愛しますが、社内で懲罰委員会なるものが開催され、「厳重注意」のお達しがあったようだ。処分としては一番軽いものであったが、彼としては収まりが付かず、相当悩んだ挙句、退職してしまった。


彼が会社を去るときに2人で飲みに行った。涙ながらに己の頑固さを悔いて、申し訳なさそうに詫びを入れてきた。でも、問題は彼だけにあるのではなく、明らかに私の「伝え方」にあった。


伝えたかったのは「裏を取れ!」ではなく、「嘘をつく理由を確かめて!」と言いたかった。「真実を確かめて!」では明らかにミスリードしてしまう。彼の性格を分かっていただけに悔やんでも悔やみきれない。また、申し訳ない後ろめたい気持ちが未だに残っている。


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その後、元パートナーは国内最大手に転職し、現在その分野のトップに君臨する。立場だけでは今の私より遥か上に登りつめている。彼も多くの困難に打ち勝ち乗り越えているのだろう。


袂は別れたが、幸いにも良好な関係は継続してもらっている。


明日への処方箋🗒
✅「伝えた」ではなく「伝わったか」が大事



最後まで読み進めて頂きありがとうございました。💓
今後ともよろしくお願い申し上げます。


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