坂道を転げ落ちるように離婚に向かう。急なできごと。
夫婦関係はボールが坂道を転げ落ちるように悪化してしまった。あんなに仲がよかったのに、大切な人だったのに(それは変わらなかったが)、一緒に暮らしているのが息苦しくなってしまった。仮面夫婦、コロナ離婚、そうなる理由が全く分からなかった。うちは違うね、と優越感?無意識に鼻で笑っていたような。それなのに、瞬時に家庭内別居の状態になってしまった。これは…これは…家庭内別居だ。
私が浮気を疑っていると伝えた時から、2人の空気はぎくしゃくし、一緒にいて前のように笑ったり、それこそTVに文句すら言わなくなった。気まずい雰囲気のかな家事に逃げ、ルーティンをこなした。帰ってこないと寂しいが一緒にいると息が詰まる。
そこからは悪化の一途。立ち止まってみればよかったのだと気が付いたのは全てが終わってからである。渦中にいるときは、考える力がなく、悪い方に行ってはいけない方に吸い寄せられていく。どうやって元の関係に戻っていいか分からない。話し合いもできない。苦しさがどんどん重なっていく。そして最終的にあきらめてしまった。
今、離婚を考えている人がいるとして。彼が特別な人とわかっているがイライラが蓄積して、リセットしたいぃぃぃと思っているとする。離婚を進めていいのかよく考えた方がいい。言われなくても考えているはず。私もそうだった。けれど後悔も沢山あったので、客観的に私の事態を読んでみて欲しい。
私は離婚が決まるまで、もう離婚というゴールしか見えていなかった。しかし離婚というバーを越えたら、なんてことをしてしまったのだと後悔ばかりだった。見えていなかったものが、ありありアリアリ在り在りと見えてきたのだ。
自分がいかに弱かったかを思い知る。自分が決断したことなのに、いや自分で決断したからこそ苦しかった。
毎日涙が止まらず。
自己否定の日々。
これまでやってきた仕事、趣味や勉強は全て無意味に思えた。
自分の人生何をすればいいのか分からなくなった。
自分を理解してくれる人、守ってくれる人がいなくなり孤独を感じた。
これが自分の本当の姿か。
結婚という城に住み、彼という鎧を着て、自分の力で偉そうに中央に胡坐をかいていた自分。これ以上もう恋愛しないでいいことに安堵していた。
離婚するなんて考えていなかった。2人の関係は上手くいっていた。ちょっとしたボタンの掛け違いで、何かの誤りで、こうなってしまった。あの時こう言えば、こうしていればと1つ1つを振り返り、取ったメモを読み返しては彼と交わした1言1言を思い出す。帰宅が遅かった時、何をしていたか何パターンも想像して、もっと我慢して見ないようにしていれば状況は変わったのだろうか。何時間も同じことを考え続けた。絡まった糸を取ろうと必死になって1本の糸になったところで何も解決されなかった。
離婚するべきではなかった。のか。
坂道を転げ落ちてしまった理由は例えば以下のようなこと。心の流れはこうであった。
1.疑念
何度も払しょくしようとしても、一度起こってしまったことは簡単には忘れられない。彼の浮気を疑って鞄や財布の中身を見ては、レシート1枚で勝手な物語を作り上げる。
2.こらしめたい
彼はやり直したいと言ってくれたけれど、簡単には許せなかった。浮気の事実ではない、嘘をつくこと、生活の中で不機嫌になること、私に感謝しないこと、溜まりに溜まっていた。離婚まで思い詰めた日々を一言謝られたからといって、はいではなかったことにとは切り替えれなかった。
3.ふり
帰りが遅い、休日朝早くでかける、起きていたが寝ているふりをした。
不満に思ってきたことも気にしていないふりをした。
彼が急にたばこを吸うようになっても、泊り明け勤務でも朝に帰ってこなくなっても気にしないふりをした。私は自分に気持ちに嘘をつき続けた。心の中にしまっておけばいい、我慢すればいい。そして最後は離婚なんて大したことではないというふりをした。一人では何も手につかず、苦しみ、悩み、ずっと泣いていたのに。
4.すがる
離婚するべきかしないべきかマインドマップを書いてみた。それでも分からなくてネットにその答えを求めた。離婚、帰らない夫、失恋の忘れ方、未練、いろいろな情報を四六時中検索して、自分を何かの形で説得させようとしていた。一方的なYouTubeやネット記事で自分の都合のいいものだけを拾って決断の材料にする。頼ってはいけないロープに全身を預けている状態だったかもしれない。もはや向き合わべきベクトルが完全に外に向いてしまった。
5.リセットして楽になりたい
24時間ぎくしゃくした2人のことを考え、ネットを隅から隅まで読んで、荷物をあさり…。もう疲れた。リセットして楽になりたいと思うようになる。彼に牙をむいて言ってはいけないことを口にしそうであるのも怖かった。ここから離れなければどんどん相手を傷つけてしまうかも。それと同時に彼をどう喜ばせられるか分からなかった。やるだけのことはやった。旅行にいってもつまらなそう。一緒にこれをやろうといってもやりたがらない。私は彼は幸せにできない。別の人と幸せな時間が彼にあるのであるならば、それを奪ってはいけない。別れるなら今だ。彼に相手がいれば彼を見捨てることにはならないのではと思考の暴走。(彼からしたら見捨てる結果となったけど。)
とこんな感じ。
そして私は彼に半ば強引に離婚届に判を押してもらった。そして彼は家を出て行ってしまった。フェードアウトするように。私はしばらく2人分の食事を作って彼が帰るかもと待ったが、帰ってこないと分かってきて作るのを止めた。それでも急に料理はできるように材料は2人分を常に冷蔵庫に入れていた。判断能力が低下していた。
察しの言い方なら、分かるだろう。私の間違いを。
私は離婚のことを考える間…
彼の気持ちを全く考えていなかった!!!
自分自分自分。
主人公:自分
世界の中心:自分
結婚:自分だけ
彼の気持ち:自分の勝手な想像だけ
自分がああだ、こうだばかり。
結婚生活でも彼のことを考えていなかった。表向きは彼のための家事、彼のためにやりたいことを応援し、彼のために彼が幸せで居てほしいと思ってた。でもこれは全て自分のためだった。彼はそれを感じていたのかも。居心地の悪い家庭に夫は寄り付かなくなる。自分がそれになっているなんて思わなかった。自分はちゃんと妻をやっていたと思い込んでいた。けれど、彼の気持ちはすっかり置き去りにしていた。
彼は一言も文句を言わなかったなぁ。文句は言わなかったけど態度や行動に出た彼のわがままが50%、彼に向き合わなかった私の逃げ50%。やっぱり離婚は直接的な原因がどうであれ、両成敗が正しい。
彼は言いづらいことを言えない人。私もそう。お互い素直に話をすれば、歩み寄れたいかも?離婚する前にもっとできることはあったはず。あの時はできることが何か全く思いつかなかったのが、本当に未熟者だ。
先日、会社で一緒に仕事している人と初めて飲みに行った。3年越しである。私の彼への印象は仕事を押し付けてくる、部門を越えて言いづらいことは私を盾にして私に言わせる。責任を取りたがらない人。でも仕事ができて頼れる人、上に信頼されている人、理系脳で情はあまり感じない。悪い人ではない。飲みに行って話をしてみるととても気さくな人だった。私の仕事ぶりをよくみてくれていた。今まさに仕事を押し付けられそうな状況なのだが、最後には少しだけやってあげてもいいかな。と思ったりもした。人は話さないと分からない。はなすと心が溶けていく。旦那さんともこうやって話をする時間をもっととればよかった。話づらいことも場所を変えて聞い話せば、彼への日頃の感謝に対し素直な気持ちでありがとうと言えたのかもしれない。
2人にできただろうことを、私側だけでまとめるとこんな感じだろうか。
1.彼の気持ちを考えてみる。
2.お互いが何を思っていたか話してみる、その時聞き手にまわる。
3.第3者に入ってもらう。
これからの人生で同じこうなことがあったらこれを気をつけよう。
最後に私が離婚した時に感じたことをメモしておこう。
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人生には希望と未来、可能性が必要
朝、目が覚めてもその日何も変わることがないと分かる恐ろしさ
仕事があれば仕事をする
家族がいれば家族と話す
趣味があればそれをする
でも何もなかったら
目が覚めても何も変わらない
変わるようなことも起こらない
それがいつまでも続く
終わりはない
誰とも接点のない日々
これと言ってやることのない毎日
そうか
そうだったのか
ある日突然
旦那さんが帰って来なくなり
ひとりになった
今日も、明日も、明後日も
ずっとひとり
ずっと暇
孤独の沼に置かれて
息もするのも苦しかった
突然ひとりになった時の
絶望は計り知れない
ふと、実はずっとひとりだったのではないかと思う
それに気が付かずいい気になっていた
あなたが大切な存在だったこと
失ってから気が付く
あなたが私の人生の希望と可能性だった
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離婚が正しかったか正しくなかったかは分からない。離婚しなければどういう日々だったのだろうか。それは今となっては永遠に分からない。