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読書

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2020年9月の記事一覧

「開かせていただき光栄です」これを80歳の人が書いたのか・・・

まず、18世紀末のロンドンを舞台にした作品を日本人が書いているという感覚が全くしない。
読んでいて感じるのは「翻訳本」のそれの感覚でありなぜかこの18世紀末のロンドンの光景や風俗が極めて生き生きと瑞々しく伝わってくる。
そしてこれを1930年生まれの女性が書いているという驚くべき事実。
これは一体どういうことなんでしょうか。
実際に書いていた時期がいつなのかは分かりませんが刊行されたのが2011年

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「シン・ニホン」何一つ実践されることのない望みの羅列

本書をこれだけ多くの人が高評価しているにもかかわらず何も本書の内容が実践される方向に動いていかないのはなぜなのか?
それは本書の内容が
「温暖化対策」に似たような印象を感じるからだろう。
要は実際は誰も緊急性を感じていない問題を取り上げているのか、もしくは大して関心がないか、のどちらかだろう。
私は著者の「イシューからはじめよ」も読んでいたがその時と今回に共通して感じるのは
「データを使った机上の

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「オルゴォル」身勝手な自傷行為からの脱却

概要

母親と東京に住む小学生のハヤトは、同じ団地のトンダじいさんから「一生に一度のお願い」を頼まれる。それは古いオルゴールを鹿児島に届けること。福知山線の事故現場、広島の原爆ドーム、父さんの再婚―出会うものすべてに価値観を揺さぶられながら、少年は旅を続ける。直木賞作家が紡ぐ心温まる成長物語。

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人が己の人生に不満を持つと

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「コインロッカーベイビーズ」ドロドロの疾走感

概要

1972年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。母親を探して九州の孤島から消えたハシを追い、東京へとやって来たキクは、鰐のガリバーと暮らすアネモネに出会う。キクは小笠原の深海に眠るダチュラの力で街を破壊し、絶対の解放を希求する。毒薬のようで清々(すがすが)しい衝撃の現代文学の傑作

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異様なまでの力強さとスピー

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