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自衛隊の戦闘糧食に対して思ったこと/駐屯地モニター活動の記録

■はじめまして

はじめまして
富士駐屯地(富士学校)の駐屯地モニターをしているてってけ氏です. (https://twitter.com/sima__tetteke)

2022年3月28日に、最後の富士駐屯地での駐屯地モニター活動を実施しました。
民間向けに初公開となる19式装輪自走155mmりゅう弾砲の射撃訓練、全国から選抜されたAASAM錬成隊の射撃訓練、戦闘糧食についてなど盛りだくさんの内容で、記事を分けて書いていきたいと思います。

今回の記事では、駐屯地で教えていただいた自衛隊の戦闘糧食について思ったこととなります。

■戦闘糧食もとい非常用糧食という食べ物

戦闘糧食と聞くと自衛官が毎日食べている食べ物のイメージがしてしまいますが、あくまでも通常の食事が摂れないような状況、つまり有事や災害派遣時や長期間の演習時に配られるものです。

見せていただいた戦闘糧食、緑色のパッケージが施され、いかにも非常糧食という風貌

昔は、Ⅰ型と呼ばれる緑色の缶詰だったようで、今回見せていただいたII型はレトルトパックで構成されております。中身に関しても、サトウのごはんを彷彿とされせるレトルトご飯に、レトルトカレーのようにおかずが封入されています。

自衛隊の戦闘糧食を見るのは初めてですが、過去に世界の軍隊の戦闘糧食を集めていた時期があり、「ご飯とおかず」しか入っていない自衛隊の戦闘糧食を見ると少し寂しくなってしまいました

海外の戦闘糧食だと、シリアルバーやチョコレート、飴、スポーツ飲料の粉といったものが入っています。(イタリア軍は文化的に食前酒も…)。

イタリア軍のレーションの中に封入されていた食前酒

戦闘糧食を食べる状況というのは、演習や災害派遣といったストレスがかかる状況なのですから、上記のようなお楽しみ要素があるとモチベーションが上がるのかなと思いました。

■「おかず1パック」に対して「ご飯2パック」

ずっしりと思いパッケージの中には、おかず1パックに対してご飯が2パック入っていて驚きます。カロリー的には、ご飯1パックで310kcalつまり2パックで620kcal, おかずが350kcal程度、合わせて970kcalが1パッケージに含まれています。

体をよく動かす自衛官の方は1日に3000kcal以上は必要と聞くので、1日中演習があれば、この戦闘糧食を3つは持ち運ばないといけないわけですね。

そして、ご飯が2パックもついているため、荷物的には嵩張ってしまいそう

現に広報の方も「演習の時は1つは持っていくが、後はグラノーラをボトルに詰めて持っていきます!」とおっしゃっていたので、やっぱり荷物的に邪魔なようです…

これは戦闘糧食を作っているメーカーの企業努力になると思うのですが、もっと軽くできないのだろうかと思いました。自分は登山をしているとアルファ米と呼ばれる乾燥させてあり水で戻せるお米を持っていきます。案外、戦闘糧食のお米にもそういう選択肢があっても良いのではないでしょうか?

近年採用され始めたスティックライス

最近では、スティックライスと呼ばれる棒状のパッケージに詰められた色んな味のするお米が行動食として取り入れられることもあるとか。

駐屯地の売店に売っており、前回食べた「おはぎ」味以外のものを全て買ってみたので、今度レビューしようと思います。ちなみに、このスティックライスは縦に長いので、ポケットに入るようもっと短いパッケージにした方が良さそうでした。

■冷たいまま美味しく食べられるかが焦点

簡易加熱剤が付属しており、水と混ぜることで瞬時に発熱し、20分程度でしっかりと温めが可能となっております。

簡易加熱剤で瞬時に温まる様子

ただ、屋外で行動中は温める暇すらない場合があるので、冷たいまま食べることもあるそう。そうなると、動物系の油が入ったメニューは白く固まってしまうので美味しくない、一方でさんま蒲焼のような魚類系の油が入ったメニューはサラサラの油なので食べやすいそうです。

なるほど、冷たいまま美味しく食べられるかどうかも戦闘糧食の実力が試されるポイントなのですね。

■ビタミン、タンパク質のような栄養面は大丈夫?

そして、気になるのは栄養面です。やっぱり炭水化物に偏りすぎた戦闘糧食を見ていると、体の疲労回復という観点からは厳しそうな一面があります。

体をよく使う自衛官の方はそれだけ筋肉も酷使している、つまり筋疲労が常に付き纏うと思います。そうなると一般人以上にタンパク質をとっておかないと、筋肉のリカバリーが効かず、疲れやすい体になってしまいそう. また、タンパク質を効率よく取り入れるにはビタミンも必要、もっと言えば必須アミノ酸だって必要ですね。

自衛官の方々が長期間、この戦闘糧食を食べ続ける身近な場面でありそうなのは演習や災害派遣時かと思います。そんな中で、栄養が不足してしまうと活動パフォーマンスが日を追うごとに下がってしまうのではないかと心配ですね…個人的にグラノーラを用意するのは、確かに栄養の偏りを補助するという意味では理に適っていると思いました。

■おわりに

今回は自衛隊の戦闘糧食について詳しく教えていただきありがとうございました!

ただ、食事の内容的にもっと工夫できるのかなと思ってしまいました、食事はエネルギー摂取だけでなく、モチベーションの向上にもつながると思います。その辺を考慮して、「より美味しく」、「より品数が多く」という部分が実現されると良いなと思いました。欲を言えば、「より軽く」も必要ですね。


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