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沼津、今沢海岸で米海兵隊の第31海兵遠征部隊による上陸訓練が非常に頼もしく感じた件

■はじめに

はじめまして、てってけ氏です. (https://twitter.com/sima__tetteke)
普段はエンジニアをしております。
昔から自衛隊の活動に興味があり、一国民として応援しております。
ひょんなことから令和3年度の富士駐屯地(富士学校)の駐屯地モニターに選ばれて、活動の発信もしています。

静岡県の沼津、今沢海岸で2022年3月7日(日)より11日(金)にかけて、自衛隊の水陸機動団と米海兵隊の第31海兵機動展開隊による上陸訓練がそれぞれ実施されました。

今回は、後者の米海兵隊の上陸訓練の様子を写真や動画と共に書き記したいと思います。動画だけ見たい方は最後の章をご覧ください

■揚陸艇の洋上基地、ドック型揚陸艦「アシュランド」

今沢海岸の目の前の駿河湾にはドック型揚陸艦「アシュランド」と呼ばれる揚陸艇を積み込み、発進させる能力に長けた船が現れた。普段は米海軍の佐世保基地に所属しているらしいので、わざわざ静岡県までやってきた事になる。

今回初めて見る自分としては甲板上に設置された巨大なクレーンやヘリコプターが離発着できるであろう広いスペースを見て、まさしく洋上を動く基地といった凄みを感じ取った。

中央:ドック型揚陸艦「アシュランド」、右下:汎用揚陸艇

ちなみに、基本的に船舶の位置情報はAIS(自動船舶識別装置)と呼ばれるものを積んでおり電波を出していればインターネット上から確認できる。
海上自衛隊なんかは今沢海岸に来て駿河湾に船を停泊させている時は、AISをアクティブ化しているので位置情報を知ることができる。
一方で、今回やってきた「アシュランド」はずっとAISをネガティブにしたままだったので、目の前にやってくるまで米軍がやってきているなんて思いもよらなかった。

■まさに物量! 汎用揚陸艇を使った人員輸送

ドック型揚陸艦「アシュランド」からは2隻の汎用揚陸艇が発進し、ゆっくりと今沢海岸に向かってきた。
2022年3月8日は主に人員輸送の予定だったようで、汎用揚陸艇が近づくにつれて人がギュウギュウ詰めになって乗っていることに気づくと、その圧巻の光景に身震いした。

今沢海岸に近づく汎用揚陸艇

洋上で小さく見えた汎用揚陸艇も海岸に近づくと、その縦幅の長さに驚く。
こんな巨大な揚陸艇を2隻も載せてくる「アシュランド」もウェルドックもかなり同じく巨大なんだろと思いを巡らせながら上陸風景を見守った。

意外と縦長な汎用揚陸艇

■海岸の一角は海兵隊員とその装備で埋まる

2隻の揚陸艇から降りてきた海兵隊員は100名程度はいただろうか、正確な数はわからないが海岸の一角は隊員とその装備で埋まった。
降ろされた海兵隊は、御殿場にあるキャンプ富士に向かうため順番に米軍の用意した観光バスに乗り込んで海岸を去っていった。

海兵隊員で埋まった海岸見ると物量を感じる瞬間である

この時、海兵隊の広報と日本語通訳の方が部隊と帯同していたようで、海岸を眺める人々に話しかけに来てくれた。
かくいう自分も話しかけられたので、たわいのない会話をして広報の方とツーショット写真を撮ってもらい、去り際に「明日もぜひ見にきてくださいね!もし仕事があったら休んで、でもねw」と一言いただき、そのフレンドリーさに驚いた。もちろん次の日も有給にしたのは書くまでもない。

■翌日は実践さながらの上陸訓練

まずは、今沢海岸の沖合より第31海兵遠征部隊の先遣隊が銃を担ぎながら泳いで上陸する場面から訓練はスタートした。

海より今沢海岸まで泳いできた先遣隊

5名の先遣隊が音を立てずにヌゥーっと海から上陸してくる姿は、まさに隠密作戦そのもので、上陸後はあたりを警戒しながら茂みに隠れ、沖合いの「アシュランド」からの揚陸艇を今沢海岸へ誘導する。

■そして、最新車両「L-ATV」の積み下ろし

先遣隊からの誘導に従って揚陸ていが沖よりゆっくりと近づいてくる。
揚陸艇1隻には、最新の装甲車両であるL-ATVが満載されていおり、近づくについれてその姿が鮮明になる。

手前の揚陸艇にはL-ATVが満載である

今沢海岸に接岸した揚陸艇の扉が下されると、L-ATVが浜に向かって勢いよく飛び出してきた、古臭い揚陸艇と近未来的なデザインのL-ATVが妙に対比的に感じた。

L-ATV、今沢海岸に初上陸

■手強い今沢海岸の砂、スタックするL-ATV

今沢海岸の砂で足を取られてスタックする車両の姿は、今沢海岸で車両の積み下ろし訓練があるたびによく見られる光景らしい。
今回、積み下されたL-ATVも漏れなくスタックして動かなくなる車両がちらほら、その度に地面を掘ったり、押してみたりと今沢海岸が牙を向いた。

右の車両はスタックしてしまい、海兵隊員によりタイヤ付近が掘り返されている様子

もちろん、タイヤの空気圧は砂浜を走るために調整してあるのだと信じたいが、L-ATVの前身であるハンヴィーより一回り大きく重い装甲車両なので一筋縄ではいかないのだろう。


■一方で下されなかった珍しい車両「LARC-V」

実はこの時、L-ATVの他にも揚陸艇には車輌が積み込まれていた。
それはLARC-V(水陸両用貨物補給自走艀)と呼ばれる水陸両用車で、その採用は1959年と大昔で一度は退役したが、近年また現役に復帰し再利用が進められているそうだ。

LARC-Vの正面は可愛らしいお顔

LARC-Vを見ると、非常にユニークで可愛らしい顔をしている、水上を走っているところを見ることができなかったのが残念である。
ちなみに今沢海岸には、市役所の方々やその他お偉いさんがVIPとして来ていたらしく、その方々をLARC-Vの荷台に乗せて揚陸艇が遊覧航海に出かけていた。

■おわりに

第31海兵遠征部隊はただやってきただけではなく、実践さながらの上陸訓練とその後に東富士演習場で水陸機動団との訓練を実施していたようである。国際情勢が緊迫する中で、このような訓練が実施されている様子を目の当たりすると、その緊迫感がどこか遠い場所の話ではなく身近にある現実のものとして伝わってきた。また、洋上からこれだけ多くの人員・車両を上陸させられる能力を持った米軍を見ると非常に頼もしく感じた。

今回の記事では米軍だけを取り上げたが、同じ週には自衛隊の水陸機動団の上陸訓練も実施されていたので、また後ほど取り上げたいと思う。

■[参考]訓練の雰囲気がよくわかる動画



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