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ギフテッド考察3。繊細さとネガティビティ・バイアス(2021年)

ギフテッドまたはそれに類似する発達障害やHSPは繊細であり鋭敏である為に知る事や感じる事が深くなりやすく、プラス面としては成長する為のより良い要素になるがマイナス面としては傷付きやすく不安になりやすくネガティビティ・バイアスの傾向が強まる事と思う。
ネガティビティ・バイアスは知能の高い人ほど強まる傾向とも言われており、生物的には生存本能の影響により危険を避ける為に不安を感じやすくなったり辛い体験を深く記憶し続ける働きが作用していると考える。
ギフテッドが繊細である事の長短は概念としてOE(Overexcitabilities、過度激動(刺激増幅受容性))と言われており、その長所によって優れた結果や活躍を成し遂げる一方で、その短所によって酷く憂鬱な気分になったり重い鬱状態を誘発したりする。


引用文「ギフテッドの人間には異常なほどの熱情、並外れた集中力、一般人とは一風変わったふるまいが見られる。 それは家庭環境や経験に左右されない、生まれた時から備わっている平均より高い洞察力、感受性、共感性、倫理観、正義感、好奇心、多角的な視点による分析力・発想力、集中力、知性や博愛精神などに基づいている。 ギフテッドの特徴が多動性障害、双極性障害、自閉症スペクトラムやその他の心理的障害に重なるように誤解される場合があるが、学術的には全く異なるものである。」
「ギフテッド教育の専門家はドンブロフスキは「積極的な分離」(w:en:Positive Disintegration)という人格形成理論を主張している。ドンブロフスキの積極的な分離理論の中核をなすのが、刺激に対する並ならない反応(OE Overexcitabilities 過度激動(刺激増幅受容性))である。これは神経の感受性が増すことによって通常の人間よりも刺激を生理的に強く経験する性質であり、ギフテッドの特徴である。」
「否定的な分離とは、一般社会的な生き方から受動的・破滅的に離れてしまうことで、行為の主体性を喪失するため精神病や自殺を引き起こす可能性がある。それに対して積極的な分離とは、一般的な受身の人生から離れるべく、まず対象から主体的に分離し、物理的あるいは精神的な距離を置くことで、より広い視野を俯瞰し、強い知覚に基づく深い理解を形成し、より高いレベルの認識を求め続けることである。たとえば、一般社会に対してでさえ積極的分離と再融合を繰り返すギフテッドは、自己や世界の概念が徐々に変化しながらも少しずつ社会の矛盾を解きほぐし、問題を認識し、最終的に独創的な生き方のビジョンを得てその解決や克服、その実現を目指す。しかし、その分離過程では、常に、緊張、不安、気分的うつ、恥、罪悪感といった精神的苦痛を伴う。その自己の葛藤は、常に深い感情作用と連動しており、人生の要となる出来事から日常の内省行為まで、世の中がそうあるべき姿と現実世界とのギャップを思い知る強烈な機会となる。」
「ドンブロフスキは、短時間の単純な感情は人格の成長にあまり影響はなく、否定的感情も含めた激しい感情作用こそが人生を変えるような劇的な体験をもたらし、積極的な分離を起こすと考えた。つまり精神的苦痛は、個人が心理的により高いレベルへ成長するために不可欠であり、その深い感情作用を最大にもたらすものはOEである、と結論付けている。ギフテッドの子供が、OEという平均以上に敏感な精神状態にあることは、勉学や芸術で著しい成果をあげるだけでなく、日常におけるすべての活動においても精神に特異な反応を起こしていることを示す。つまりギフテッドは、誕生時より常に外界・内界両方からの刺激を増長した精神で感じ、激しく深い幅をもって経験し、内省を繰り返していることが、彼らの著しい成長に関連しているという仮説である。」

OEを起因とした特徴により集団の和に馴染み難く居心地が悪く感じやすくなる。思慮の深い人達による集団であれば問題ないが、思慮の浅い人達の集団ではストレス過多で疲れてしまう。
良くも悪くも我や個性が強い傾向であり、それを全開で出した場合は人を惹きつける魅力となる一方で反感を強く招いたりもする。我や個性を抑制し他者へ配慮し支援する方向性でも力を発揮するが、自分の思慮深い配慮を理解されなかったり他者の依存心を強めてしまったりして、段々と意義が薄らいでいき嫌になり人付き合いを避けるようになる事もある。
ギフテッドの特性や高い能力があったとしても必ずしも社会で活躍しなければいけない訳ではなく、自分にとって最優先の幸せとは何か?が一番重要であると考える。個人的には人付き合いをあまりしない生活をして隠者のように過ごす事が人付き合いで誘発される様々な刺激や不快感を少なくする事ができ平穏平凡な幸せを過ごしやすくなる。


引用文「肉体的、精神的に繊細で敏感であったりする。幼少時から優れた論法や推論力を示し、文章または口頭で豊富な語彙を用いることができ、使う語彙に対して鋭敏である。おしゃべりまたは早口であったり、並外れた集中力、幅広い関心、創造性豊かで限りない知識欲、深い分析力、優れた記憶力を持ち、知的好奇心や独創性に富み、鋭い質問をしたり、一風変わった考えを持つこともある。深く速く理解し、短期間の復習で課題を修得でき、その内容を詳細に理解しており、原理や概念を示すことができる。」
「一生懸命勉強せずとも際立った学習成績を修めるという特徴が一部のギフテッドにはみられるが、これも個人差がある。ギフテッドは授業に興味がわかない、興味のある事以外はやりたがらなかったり、本人にとり意味の見出せない暗唱や機械的な丸暗記を嫌がったり苦手であったり、クラスや課題に集中できなかったり白昼夢していたり、意義を見出だせなければ周囲に合わせるのが苦痛、一般的な学校の勉強に興味を示さず成績は芳しくない、学校で問題児あつかいされたり、繊細さや感受性の豊かさにより過度に周囲に同化しようとするあまり、意図的に能力以下の成績を修めたり、ギフテッドの特異な才能を隠す傾向がみられることが指摘されている。才能を隠すことは女性に際立ってよくみられる傾向である。ギフテッドは、一般的な教育方法では、優れた成績や才能を発揮できず、このため一般教育ではその才能をフォローすることが難しく、欧米ではギフテッド用にそれぞれの才能を伸ばす英才教育が行なわれている。」
「ドンブロフスキは、強いOEを持つ人間は最高にハイな気分とどん底に沈み込む気分両方を味わう可能性があり、決して楽な人生ではないことを表して、OEを「悲劇的なギフト(天からの贈り物)」と呼んだ。OEが強い場合、周囲のあらゆる刺激に過剰に反応してしまい、所属する集団から浮いてしまうことがある。例えば、感情の起伏が激しいことから気分屋、知覚が鋭く些細なことで不快になってしまうことから神経質、といったレッテルを貼られる(ラベリング)。また反応が表面化しない場合でも、普通であるべき行為が心から自然にできない、相手の感情・欲求・反応などを考えすぎるあまり行動に一貫性がなくなる、などの対人距離、反社会的反省に常に駆られ、状況を満足に楽しめないケースも多い。逆に、感情や五感への刺激を避けるために敢えて集団から離れていると、今度は人付き合いが悪いと非難される。それらの状況下で感じるあらゆる気分的うつ(慢性のうつ病とは異なる)や自己嫌悪といった否定的な感情も、OEゆえに必要以上に増幅され強く感じてしまうため、逃げ場を失う危険を内包する。 」
「ギフテッドと慢性うつ病や自殺との関連性は、科学的には未だ証明されていない。レイスとレンズリの研究では次のように述べられている。「著述や視覚芸術に優れた独創的なギフテッドである青少年を除いては、ギフテッドの人間も一般人もうつ病に関する違いはない。ギフテッドは知覚能力が発達しており、他人よりも敏感で発達社会的に孤立し、発達状態にもむらがあるため社会的、精神的な問題にぶつかる。しかしながら、彼らのもつ高い問題解決能力、ソーシャル・スキル、倫理判断、学校外の事物への関心、達成感といったものが助けとなっていると思われる」また自殺率についても、ギフテッドとの関連性はいまだ証明されていない。しかし、ギフテッドの人間が気分的にうつ状態に陥ることが多いことは、過去から広く認知されている。死の終局、個人個人の根本的な存在、人生の意味や意味の欠如といった抽象的な心配ごとが引き金となり、他人より不安を感じやすいという性質もうつ状態に拍車をかけている。 」
「ギフテッドはOE(前述)に起因する少し変わった行動をとる、同世代の子供達と精神年齢や興味が異なり話が合わないといった理由で、気の合う友達がみつからなかったり、他の子供から疎外されることもある。外界からの刺激を嫌うためや、人生をより真摯に受け止めるがゆえに内向性を持ち、頻繁に内省するために、ギフテッド自身が一人でいることを選ぶ場合もある。特にギフテッド仲間の社会的ネットワークを持たない者にとって、孤立は一番の問題である。他人に好かれ、認められようと、ギフテッドの子供はしばしば自分の能力を隠そうとする。低達成児となったり、家族や信頼できる人といる時に使う高尚な言葉とは異なり、同級生といる時は簡単な言葉を使うようにするといった、本当の自分とは異なる姿を演じる。これは女性のギフテッドに際立って見られる傾向である。一般社会において人は「ふつう」でなければならないという多大な心理的負担がある。ギフテッドやタレンテッドの人間は、変わり者という烙印を押されたり、 いじめの対象になったりし、自己嫌悪や自己卑下する可能性もある。この孤立問題を解決するために、ギフテッド教育の専門家は共通した興味や能力に基づいたギフテッド達でグループを作ることを薦めている。グループに参加する時期が早いほど、孤立を避けられる。」

日本の戦国時代でギフテッド的だった人物は織田信長や上杉謙信や長宗我部元親が思い当たる。
織田信長は純粋さと狂気、繊細さと激情という特徴があり、純粋過ぎるから狂気が誘発され繊細過ぎるから激情が誘発されていたのだと考える。
漫画「センゴク」の信長評はよく言い表していると感じ、
「天才とは凡人に見えぬ成功の光明を見る力のある者…、しかし日陰たる他者への心遣いや事情が見えなくなる者でもある」
「織田弾正忠様なる人物とは、その器の大きさに甘えるより我儘に従った方がことが上手く運ぶんですわ…」
「織田信長なる人物はついてゆきたい人物であり、放っておけぬ人物」
「代々培った貴種に生まれ狂気と純真を孕んだ魅力と、天下に覇をなす理想をもった人物」
「苛烈な御仁、繊細な御仁。何れも殿の人となりに」
観ている視点が多くの人と違う為に光明を見る可能性が高く、成長が足りないと他者への心遣いが低くなる。また他者への心遣いが高くてもそれをしていたら自分も巻き添えになってしまったり結果が得られず骨折り損のくたびれ儲けになるだけである場合に敢えて意図的に心遣いをしなくなる。
OEの特性により様々な経験を積む事で器が大きくなるが様々な人達への配慮や心遣いは受動的寄りであり支援的である為に本来の持ち味が弱まりやすく、我儘や強引に映る事があっても独断専横である方が結果的には集団にプラスが多くなる。
ギフテッドの高い能力や希少性が人々を惹きつけ着いていきたいと思わせると同時に、繊細さや純粋さがどこか放っておけない雰囲気を醸し出し、それらのギャップも人々を惹きつける要素となり恋愛面に於いても異性を惹きつける大きな要素となっている。
上杉謙信も純粋で繊細で高潔で時に激情であった。それで仁に厚く、下らない事で部下が争い出したら嫌になって出家をしてしまったり、女性に対してもある意味で潔癖的であり未婚で色恋話が無く、何かの式の時だったか目の前を通り過ぎた失態を犯した者を無礼だと斬り殺してもいる。知性より感性により富んだ特性で論理的に説明のつかない天性の勘で武田信玄の戦術を逆手に取って武田軍に大打撃を与えていたりもする。
仁に厚い分様々な事を我慢して溜め込んでいたのか酒を好みつまみに塩分の高いもの梅干しなどを好んでいたと言われ、塩分過多によって寿命を縮めたように思う。
長宗我部元親は当時の成人が数え15歳(現14歳)であり初陣もそれに合わせてであったが数え23歳で初陣との遅さであり、その理由がギフテッド的な内向性が高く意識の働いている事柄に強く気を取られていたのか様々な事を思い考えていたのか、人々との会話もおぼつかず覇気も感じられず信長のような荒々しさのあるうつけではなく大人し過ぎてうつけと呼ばれ、その大人しく内向的である性格や見た目が色白であった事など表層の印象により姫若子と揶揄されてもいた。
初陣の活躍により周囲の観る目も変化が訪れ次第に実力を発揮し活躍していくが、豊臣秀吉の命令により島津家を攻めた際に長子で跡継ぎである信親を失った。強く愛し大切にし期待もしていた長子を失った事は悲痛が酷くそれがOEにより増幅されたとすれば大変な心理的ダメージであっただろう。繊細故に穏和で理知的な名君であったが繊細故に深く傷付き、その心理ダメージが影響してその後の家督相続に反対する者達も殺していく事となった。
織田信長と類似点が多いとされる曹操孟徳もギフテッド的な特性がありつつ多才であり、戦国武将に限らず学者や研究者や哲学者など知性を深く活用する人達や、芸術家やアーティストなど感性を深く活用する人達は、晩年なり過程に於いて酷く精神を病んだり錯乱して狂ってしまったケースも多い。
創作物ではシャア・アズナブルもギフテッド的なキャラであると思う。純粋、狂気、知性、感性、繊細、熱情などがありつつ、高い能力と魅力がありながらも弱さも併せ持つ。富野監督自身が恐らくギフテッドであると思う。
織田信長や曹操孟徳やシャア・アズナブルが過去の恨みを晴らそうとしたのは繊細さによるネガティビティ・バイアスが強く働いての結果だと思い考える。繊細さと激情はセットである事が多く、ある一面に於いては深く思い遣りがある一方で、ある一面に於いては激しく残酷でもあるのだろう。


またギフテッドは中性的だったり両性的だったりする傾向と思う。これは知性や感性が鋭敏であったり好奇心が旺盛だったり画一化された世間に素直に従おうとしないからだろうか?
男性である僕の場合は繊細な面や内向的な面などステレオタイプな女性性的な面や事柄を思慮の浅い人達に馬鹿にされた事もあったが、妻は能力の高い男性で繊細で無い人は想像がつかない的な事を言っていた。
他者から押し付けられたこうあるべきに従わない傾向だから興味を抱けば女性性的な事もするし、自分が女性だったらレズビアンになっていたかも 笑

過去を深く思い返してみると大部分の人達は良い人または無害な人であったように思える。嫌な事が記憶に残りやすい生物的な性質が、ギフテッドの増幅性質によって増大され深くこびり付きやすい。それによって良い人達の存在への意識が、悪い人達の存在によって薄められ見えなくさせられる。
僕は好奇心旺盛でネコ科気質だから親も育て難かっただろうし、他者も接し難かったところもあっただろう。僕に恋愛感情を抱いた女性の多くも大変な気持ちだったのだろうな 笑。
人付き合いで不快感や煩わしさを感じやすく、心が安定していなかった頃は人恋しさや承認欲求の影響でストレス溜めながら人付き合いをする事もあったけど、心が安定してからは人との縁をさっさと切るようになっていて、そこまで縁を切って人付き合いをとても少なくしなくても良かったかも?と思いつつ、でもやっぱり様々な事で面倒になるんだろうなとも思った。

話が少し逸れる事も書きましたがギフテッドのOEが絡む特徴の長短も踏まえて自分の人生を大切に。
ギフテッドに限らず能力を発揮した事での不幸な末路も多々ありますし、他者をあまり必要としなければ他者からの理解も必要とならず、理解しない人を理解させようとせずこちらから必要としなければよく、「直木先伐、甘井先竭」「曳尾塗中」などの言葉が示すように需要が高まる事は禍も孕んでいます。
繊細さやネガティビティ・バイアスへの対策は、心理学や老荘や仏教が特に役立ちました。人付き合いではなく動植物との交流も良いですね。

旧ブログにて2021年07月14日に記載していたもの




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