【小論】花色が分かつ、新時代の植物分類方法とは…!?
まさか自分が共有画像としてシェアした画像を、自分が再びヘッダー画像としてお世話になるとは思いもしませんでしたw
検索しやすく上位に居るので、ラベンダーのヘッダー画像として使ってくださってる方々本当にありがとうございます。
最近まじめにラベンダーや蒸留、森林に関する記事を落とさずこういった堅っ苦しい記事ばかりでどうもすんません、考え事しまくってるんです最近。
で本日も科学的な、Lラボマガジンに入るような内容になってしまいますがサクッと簡単に書いていきます〜。
21世紀現在の分類法では同種。しかし…
まずこれら"かわいらしい花写真たち"をご覧くださいませ。
これらは誰がどう見ても北海道の富良野でよく見られるコモンラベンダー、真正ラベンダーですよね。
知らない人もまだまだ多いですが、ラベンダーは一般的に紫、桃、白の花色が存在し、ポット苗として市販されています。
続いて各人の庭先などで観察できるセイヨウノコギリソウ。
こちらもごく稀にヒマワリのような黄花種も植えられているのをみることができます。それはキバナノコギリソウと呼ばれています。
まずはなんの下心なく花写真を見ていただけましたでしょうか。
実にカラフルでみる人を楽しませてくれる花の色彩ですよね。
それらはラベンダーやセイヨウノコギリソウ、記載してませんがヒマワリ、コスモス、バラ、アオイ、キクなど数多くの花の種類がありますよね。
動物でいうとヒト、ゴリラ、サル、オラウータンみたいなものでしょうか。
ちょっと詳しく迫ると、それらは「植物種」ですね。
その植物種って、どこまで事細かく分けられていると思いますか?
先にラベンダーとセイヨウノコギリソウで例画像を挙げてしまったのですが、今日のメインテーマといいますか、"ギャップ"がすでに垣間見えています。
同じ「ラベンダー」「セイヨウノコギリソウ」でも、花色が違うとどうなのでしょうか?
Case of about コモンラベンダー
こちらは誰がどう見てもラベンダーですね。ただし一般的な紫色ではなくニッチな白花とピンク花タイプの。
これらの呼び分けは「ラベンダー」をさらに色情報を追加した呼称であるホワイトラベンダーやピンクラベンダーとかになると思います。
原産地フランスだとDe la Lavande blancheとDe la Lavande roseで呼びますかね。
コテコテ頭脳のアカデミー人間からすると、Lavandula angustifolia var. AlbaやLavandula angustifolia var. Roseaなどと詳しく書きたがる"極論主義者"もいるかもしれません。
それぞれ"表し方"にこわだりを持つ人たちのそれぞれの呼び方になります。
こう統一されてない感が地球・人類って感じがしておいらは好きですw
商業界でも花色の違いが商品価値に
つい最近の話なのですが、フランス化粧品メーカーのロクシタンが新しい香水を発売しました。その名も「ホワイトラベンダー」。
彼らの商品解説では、「数多く存在する一般的な"青色ラベンダー"(紫花)ではなく、7年かけて香水用に開発した白花ラベンダーのまた違ったアロマを商品化した」ようなのです。
白花ラベンダー種が発見されていたのは1600年代なので、学派のおいら・エフゲニーマエダからしたら「やっとか」という感覚。
ですが一般市民が手に取れる距離に白花ラベンダーの商品が到着したのは、現代・ごく最近の話だったりします。
Case of about セイヨウノコギリソウ
続いてラベンダーより比較的ニッチな植物であるセイヨウノコギリソウについてです。
薬効性としてはかなり優秀なハーブの一種で、ヨーロッパ圏では歴史的にも重宝されてきた代表的な医療ハーブなのですが、こちらも植物種としては「西洋鋸草(和)」「Common Yarrow(英)」「Schaf garben(独)」「herbe de charpentier(仏)」など、各国それぞれセイヨウノコギリソウで括られており、特段異色花を別種として呼び分けている例は園芸書か学術書レベルでなければなかなかみられません。
それら学術書を書きまとめる"凝った人"によってはAchillea millefolium var. Roseaやベニバナセイヨウノコギリソウなどと呼び分けていたりします。
Perfumer(アロマ屋)が見る植物学の新地平
では、続けて凄まじく紛らわしい画像を落としてみます。
セイヨウノコギリソウの同じ株・植物個体の茎からキレイに2色に分かれた花の茎が伸びていますね。
そして・・・
1つの花"レベル"で融合してしまっている異色花ラベンダー。
これはもはやどこからが紫花種かピンク花種なのか、「植物種」を分けている線引きのわからない実例かと思います。
タイムマシンがあればこれを17世紀の"植物分類学者気取りたち"みんなに見せて回りたいところです(笑)
ようやく本題「花の色が違っているだけで香りも大きく違っているだと?そんなバカな!」
で、上記では同じ植物種でも主に花色の違いによって「別種植物である」と区別がなされている実例を紹介したワケなんですが、、、
市民蒸留家・アロマ屋として生きるおいらエフゲニーマエダからまた別な"植物を観察する視点"をご紹介いたします。
上記植物らが同じ個体であっても、花の部分では色が異なるとかなり性質・個性が違っているという事がわかってきたのが、遺伝科学(ゲノム領域)と成分解析技術(分子検出分野)が発展進化を遂げてきた賜物なのですよ〜〜〜
詳しく言うと、同じ親がつくる子・タネでも結果として花の色が違ってくる現象は"メンデルの法則"時代から発見されているのはみなさんご存知ですよね。中学高校の理科で習った事かと思います。
そして現代では機械で解析するとDNAの配列の異なりが花色の違い・色素の差異を生んでいる事がわかっていますね。(前者)
続いて花の色が違えば香り、薬効成分も違ってくるという事実も判明しています、これは純粋に驚きかと思います。
まぁ色素が違えば香りが違うのもあながち納得はしやすいんですが。(後者)
特に後者の話は、アロマ屋、蒸留家=精油生産者にとって関連の強い関心事となります。
「なに、花の色が違うだけで香りも違うだと?そんなバカな」
そんなことが実は真実であってしまったのです。。。
ラベンダーでのケース
(上論文中の表3で品種ごとの香気成分、表8で品種ごとの花色が参照できます)
この論文でわかることは、ピンク花ラベンダーである[LA7]がLA中で秀でてテルピネン4オールの値が高いことにあります。
他の紫花品種らの2倍相当にもなる高い含有値です。
セイヨウノコギリソウでのケース
この論文では、イタリア北部に自生するセイヨウノコギリソウの白花種と紅花種それぞれの香気成分の違いを調査しています。
白花種では低水準なβピネンが紅花種では40%もの高含有値となっていたり、カマズレン含有の有無の差があったりなど、やはり花色によって含有成分の大きな差があることを明かしています。
花色add toアロマ・香気による新しい分類方法
現代の植物図鑑・辞典上では同種とされている植物でも、一般人が生きているうちに見開くことはおそらく99%無いであろう分厚い白黒植物辞典ではvar.Alba(白花種の意)やvar.Rosea(紅花種の意)を学名のケツに追記し記載されていたりします。
それはあくまで既存の植物分類学上のかつ植物辞典内での話ですが、アロマ分野に強く紐づく香気成分の研究解析分野では、外見上の色違いのみならず香り成分すら大きく違っているという事実も判明してきている昨今なのです。
(なんでこんなとこに書いた?about A.millefolium)
外見上ではまったくの瓜二つでシノニム扱いすらされているAchillea millefoliumの精油成分においてフランス人の認識にとっては、Achillea collinaでは検出されるカマズレンがAchillea millefoliumになるとまったく検出されず、オイルの色も無色透明となるようなのです。
注釈
(1)「品種」について
植物界での「品種」とは、一般的に同じ種内での赤色花や黄色花など、色違いのものや八重咲きかそうではないかの花形状などを個別に呼び分けるために使われる異名だったりします。
これら品種の中で定義できる線引きとして、
①人為的に世代交代を繰り返して作出されたモノか、
②自然環境中でごく自然に発生したものか
でわかりやすく区別できます。
①では、園芸学上で扱われるいわゆる種小名で、商業的に作出競争が起こっているので実に多彩な品種が存在しています。
鑑賞性が重要視される園芸業界のみならず、食糧生産性が重視される農業界でも同様であり、北海道のハッカ('赤丸','北進')やラベンダー('1号ようてい','4号おかむらさき')、米(コシヒカリ、ゆめぴりか)や小麦(キタホナミ、はるゆたか)ジャガイモ(男爵、メークイン)などでも品種の違いを直に観察できます。
特に②自然界で発生した品種はより分類学的、学術的な植物図鑑などで学名でその違いが判断できます。'亜種'でも表されます。
例
ラベンダーでいえばLavandula angustifoliaやLavandula angustifolia var. 'Alba'
セイヨウノコギリソウでいえばAchillea millefoliumやAchillea millefolium var. 'Rosea'
それら品種を大きく隔てる分類法としては、人為作出であるか自然発生であるかが使えそうです。
(2)園芸業界と生物分類業界
双方とも扱うモノは同じなので近いように思えて、実は思想的・考え方にかなり遠いのが園芸業界と、アカデミー・学術としての植物分類業界なのですね。
歴史を辿ると、もとはといえば中世ヨーロッパでは「人間社会の役に立つ薬草を探し栽培する」という思想のもと発展した園芸・栽培学ですが、①都市文明の外(山、新大陸)へ繰り出し新種を発見する学派と、②今まで発見された生物種を都市内で品種改良し新種を発明する学派とで分離していくことになりました。(イメージ)
その派閥が21世紀の現在でなお垣間見ることができ、同時に植物を扱い触れ合う人々で混乱が生じているのです。
ひとつ植物図鑑を手に取ってみると、
ラテン語の学名記載が基本で、植物図表のみならず学名でもしっかりsp.~やvar.~などと細かく区別して記載されている植物図鑑や、和名や英通称(commonly name)のみの記載で多彩な花色・品種写真が充実している植物図鑑とで分かれているのが観察できるかと思います。
(多くは野草図鑑や園芸図鑑として名称でわかりやすく差別化をはかってはいるが…)
その双方は、①現代社会では商業性を重視しているか(園芸図書)、②学術性を重視しているか(学術図書)とで区別できそうです。
若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。