第11回 佐渡で再会した霞が関用語
私が住んでいる新潟市の海沿いは、日本海を挟んで対面に横たわる佐渡のお陰で比較的気候がおだやかです。「佐渡ブロック」とも言われ、波や雨風や雪の影響が緩和されています。佐渡へは、新潟港から佐渡汽船のフェリーやジェットフォイルで行き来できます。
下の写真は、フェリーで食べることができるカレー。スパイスと地元食材が入った大人の味で、佐渡の形のご飯が愛らしくテンションあがります。
佐渡はその眺望、歴史、愛らしいトキ、美味しい食材やお酒など魅力満載。下の写真は加茂湖の牡蠣筏の風景。牡蠣も柿も佐渡の名産です。
そして、何といっても「史跡 佐渡金山」があります。資料館では、日本語のルーツを考えたり、懐かしい数々の霞が関用語にも再会できました。
「筋がいい(わるい)」「脈がある」「捨て石」「拾い石」「山師(やまし)」「買石(かいいし)」「直山(じきやま)」「請山(うけやま)」「無宿人(むしゅくにん)」などなど・・・。
たとえば、【筋がいい(わるい)】。通常は、才能や素質がある、などの意味で使いますよね。佐渡では、鉱脈があって、さらに金がいっぱい採れそうな場合に使われました。ちなみに霞が関用語で「筋悪(すじわる)」といえば、嫌な案件のこと。政治家がらみのゴリゴリ案件や、調整時間が短かかったり論理的に通らない要請などを指します。
【捨石(すていし)】 通常は、庭園の置石、囲碁の打ち手、ぼた、廃石などの意味で使われますよね。佐渡では、江戸時代の中頃には鉱石が減少し、いったん捨てた柄山(鉱石をふくまぬ捨石)を回収して粉成し、二次選鉱と製錬を受け持つ買石(かいいし)へと選られていったそうです。元祖リサイクル。SDGSな感じです。
【山師(やまし)】通常、鉱脈を見つける人、投機的な事業や冒険する人、詐欺師などの意味で使われますね。佐渡では、本来鉱山の経営と技術の専門家をさします。金山の最盛期には幕府直営の直山(じきやま)と請山(うけやま)の両方を経営し、その所得は相当なものだったようです。ちなみに霞が関で「やつは山師だ」といったら、意味はご想像にお任せします(笑)。
【請山(うけやま)】元祖PFIとか指定管理。江戸初期に幕府は鉱脈の発見者である山師の採鉱権を大きく認め、山師が個別経営して一定の運上(うんじょう)という税金を納めていました。自分山(じぶんやま)ともいいます。
【無宿人(むしゅくにん)】 元祖フリーランス。飢饉や親との関係などの理由で無戸籍になった人。ホームレスとか流人の意味ではありませんよ。
以上は、あくまで個人の受け止めです。ほんの一部ですが認識を見直すキッカケになったので、備忘メモしました。まだ他にも、現在使われている「お役所言葉」などの起源がいっぱいあります。
いろいろな意味で刺激に満ちた神秘的な島「佐渡」へ、みなさんも是非!(下の写真は、白雲台からの眺望)
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