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📖赤ヘル1975 - 原爆投下30年後の広島 -

まえがき

今まで同じ本を2度読んだことは、数えるぐらいしかありません。しかし、「赤ヘル1975(重松清著)」は、もう一度手にしました。

私が小学生の頃、そう赤ヘルになる前より応援していた、ただそれだけの理由で購入しました。しかし、小説はその範疇でおさまる内容ではなく、野球に興味の無い方はもちろん、老若男女を問わず多くの方に読んで頂きたいと記事にしました。

623ページにも及ぶ本の面白さを伝えることは難しく、先ずはプロに頼って文庫本の帯と背表紙の紹介からです。

真っ赤な帯

文庫本の帯に書かれていた本文からの引用が、この小説の全てを物語っています。

赤ヘル帯のSS

「ほいじゃが、忘れたらいけん、
 忘れてしもうたら  いけんのよ」

弱かったカープのことをー。その弱かったカープを応援してきたひとたちのことをー。広島の街に刻まれた、悲しみと苦しみと怒りと祈りを、決して忘れてはならないようにー。

背表紙

背表紙の文章が、小説の方向を示しています。

赤ヘル裏表紙SS

小球団・カープの帽子が赤に変わった1975年、原爆の傷跡が生々しく残る広島に、中学一年生のマナブが転向してきた。「よそモン」マナブは、野球少年ヤスと新聞記者志望のユキオに出会い、街に少しずつ馴染んでいく。一方、カープは悲願のリーグ初優勝に向かって、真っ赤な奇跡を起こしつつあったー。

内容

広島へ原爆が投下されてから30年、時代は1975年5月、先に書いた背表紙の通り話は進み・・・その年、万年最下位でセ・リーグのお荷物球団であった広島カープが10月に初優勝、優勝パレードの途中マナブが九州へ引っ越すところから、エピローグへ。

わずか半年、マナブの広島での生活を中心に話しは展開するのですが、単に広島カープを応援するような野球小説ではなく、戦後を意識し描いたものとなっています。特に終盤の優勝パレードのシーンは、広島市民の原爆復興にかけてきた年月に熱い思い、また暗く悲しかった日々から一生逃げることのできない悔しさが伝わります。

ほんの一部のみを引用します。どうか買って・・・の箇所を読んで下さい。

 ・・・優勝してくれて、ありがとうー。
 亡くなった家族の遺影を掲げているひとがいる。たくさんいる。選手たちに手を合わせて拝んでいるひともいる。たくさんいる。・・・
 ・・・ありがとう、の声が無数に重なり合う。おめでとう、の声が負けずに響きわたる。秋晴れの空を紙吹雪が舞う。舞う。舞う。それは、色とりどりの、翼を持たない千羽鶴だった。

(本文より)

翼を持たない千羽鶴、意味がわからないと思いますが、そこも読んで下さい。

レビューを参考に

逃げたわけではないのですが、私がこれ以上何かを書くより、Amazonで多くの方のレビューを見る方が理解できると思います。

あとがき

4、5年ほど前かな、カープの応援で MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島 へ向かう前に立ち寄った広島駅横の「フタバ図書GIGA広島駅前店」で購入しました。わざわざここで購入したのは、カープグッズも多く取り扱っており、在庫切れや扱っていないなど無いのは当然のこと、加えてどこでも付けてくれる紙製カバーのデザインが、カープ仕様だったからです。

しかし、記事を書くのに書店名を知りたくネットで調べますと、残念なことに「フタバ図書GIGA広島駅前店」は、2021年9月30日に閉店していました。

今シーズンも球場へ向かう前に立ち寄ったのに、閉店することになっていたとは知りませんでした。

<了>

※ 書籍の著作権を考慮し、以前の記事における画像サイズを小さくしています。そのため画質が荒くなり、記事の内容が理解しにくい場合があるかも知れませんがご理解下さい。他の投稿も、順にやり直しています。

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