インド旅行記③ブッダガヤはどうぶつ王国だった
前回のあらすじ~コルカタでブッダガヤ出身のインド人(?)に送り出された俺たちは、彼が最後に言い放った「DON`T forget!!!ラチミゲストハウス!!!」という言葉をかみしめながらブッダガヤ行きの電車に乗った。そしたら電車が魔境だった。謎の7人のインド人に囲まれながら、灼熱の車両で耐えのしのんで何とかブッダガヤに到着。
ラチミゲストハウスを探せ
はるばる来ましたブッダガヤ。ここは仏教の四大聖地のひとつで、お釈迦様が菩提樹の下で悟りを開いた場所だという。仏像マニアの筆者としてはわくわくする場所だ。期待に胸を躍らせながら駅を出ると、まず100人ぐらいのインド人に「タクシー!タクシー!」「ホテル!ホテル!」と殺到される。空港で出待ちしてるファン並みの熱量。コルカタよりはかなり郊外なので、ちょっとノリが変わるのかと思ったら全くそんなことはなかった。そこからタクシーに乗って、お釈迦様が悟りを開いた聖地の方向へ。
タクシーを降りる。風景は明らかにコルカタと違う。地面はデコボコのむき出しだし、そもそもメインストリートでもお構いなしに牛、ヤギ、豚、犬などの野生生物が大量にいる。日本の田舎とはかなり違う風情だ。照り付ける日差しを木陰に入って避けながら、まずは「ラチミゲストハウス(LAXMI GUEST HOUSE)」を律儀に目指す。
この時の俺たちはなぜかラチミゲストハウスに囚われていた。別に宿なんてどこでもいいのに。コルカタで出会ったインド人の叫びが、耳を離れなかった。それで結構ややこしい道を歩いて、ついにラチミゲストハウスにたどり着く。確かにちょっときれいだったが、ヒンドゥー教の国にしては珍しく現地式の仏壇が置いてある以外は、まぁ普通のゲストハウスである。オーナーがやたらとツーショットを撮りたがるのは気になるが。
お釈迦様が悟りを開いた樹の下で
ホテルに荷物を置いた後、今回の目的地、お釈迦様が悟りを開いた場所につくられたマハーボディ寺院へとたどり着く。入口で靴を脱ぐよう伝えられ、白亜の大理石のひんやりとした感触を足の裏に感じながら、仏塔へと向かう。ここまでのカオスと喧騒が嘘のように、静かな空間だ。誰もが心を落ち着けながら、木陰で瞑想したり、オレンジ色の衣をまとって仏塔の周りをまわっていたりする。花々が咲き乱れ、涼しい風が吹き抜けるその場所は、さながら浄土だった。
菩提樹の下で真理を見たというお釈迦様。その菩提樹は仏教が弾圧にあったことで、千年以上前に切られてしまったようだが、各地に伝わっていたオリジナルの菩提樹の挿し木が成長し、今もこの寺院を訪れた人々に安らぎを与えている。
ここで49日もの間瞑想をし、35歳にして悟りを開いたお釈迦様。その霊性を感じられるような、本当に神聖としかいいようがないひんやりとした場所だった。
だからこそ、だろうか。寺院を出た時のインドの喧騒は、これまでの5倍うるさく、そして煩わしく感じた。10秒に一度知らないインド人に、タクシー!タクシー!!と声を掛けられる。息子を邪魔者扱いして、最後には捨てて出家したお釈迦様の気持ちが少しわかった気がした。もうやめてくれ、これ以上ついてこないでくれ。それにクソ熱い。なんであの寺院の中だけあんなに涼しかったんだ。仏教はエアコンいらずなのか。しぬ、しんでしまう。灼熱地獄でひからびる。
印度山日本寺への避難
あまりのギャップにどっと疲れた俺たちは、もう一つの有名なお寺に避難する。「印度山日本寺」という、日本が仏教の聖地に建立したお寺だ。ここらで一息つきたかったのだ。
おお…!これはかなり日本のお寺っぽい!なぜか本堂の前が池ぐらい水浸しになっていたのは気になったが、暑いのでむしろOKだった。ああ、このまちがい探しくらいの微妙な違いが今は心地いい…。
ようやく日が落ちてきた
そうやって何とか涼しい場所を回っていたら、ようやく日が落ちてきた。暑すぎて本当にヤバかった。さぁゲストハウスへ戻ろう。ブッダガヤは動物がやたらといるので、その辺を眺めているだけで全然飽きなかった。
というか、これだけ動物で溢れかえっているのに、だれも気に留めてないのが最高。どうぶつ王国じゃん。普通に野犬の群れ十数匹とすれ違ったりして怖いっちゃ怖いんだけど、まぁ群れでいる犬は狂犬病じゃないって言うし?もし群れVS俺で戦ったら負けるけど余裕?みたいな?
そうして俺のブッダガヤ滞在は終わった。次は、ついに旅の目的地・バラナシへ向かう。仏教の聖地からヒンドゥー教の聖地へ。インドのカオスを煮詰めたようなバラナシで、いったい何を目撃したのか。書いていきます。