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#06 ところでなぜまちづくりに関わりたいか

まちづくりに興味を持った原体験

東日本大震災の約1ヶ月後、当時吹奏楽部だった私は被災地の避難所内で演奏する機会があった。その時に初めて沿岸のまちをバスの窓越しに直接見た。
瓦礫にたっていた自衛隊の日の丸の小さい旗が今でも忘れられない。
原型をとどめていないまちを目の当たりにして、ただでさえ地方は人が少なくなっていくことが問題とされているのにこのまちってどうやって戻っていくのだろう?どれほどの時間がかかるのだろう?そもそも戻るのか?その間まちの住民たちはどこで暮らすの?…といろんなことを思った。おそらくこれが原体験だ。
でも、この時はまちづくりを学びたいと思っていたわけではない。小学時代から算数・数学が好きだったのでプログラミングとか情報系にぼんやり興味を抱いていた。

高校時代、理系教科が好きだったからというある意味真っ直ぐすぎる理由で理系に進み、その後進路選択をすることになる。
前述の通りずっと興味があった情報系とも迷ったのだが、将来は地元で地域活性化に貢献したいという想いと原体験が合わさり、理系の学部でまちづくりが学べる大学を選んで進学した

理系で進んできたことへの違和感

大学受験時はまちづくり=都市=土木・建築しかない!くらいに思っていて、文系の分野でもまちづくりにつながるものがあることに全く気付いていなかった。
大学生活を経て今の職場で仕事をするまで、私はてっきりまちのハード整備に関わりたいのだと思いこんでいた。ずっと。
都市計画マスタープランのような、図面上でこんなエリアをここに置きたい、道路はこのあたりにひきたい、人が住むのはこのあたりにしたい、中心市街地はこのエリアがいい、などまちの基盤の組み換えとか更新みたいなことが一番したいことだと思っていた。自治体のような組織からのトップダウンでまちというエリアをよりよく変えていきたいと思っていた。
でも、実際に土木技術職として働いてみるとどうやらそれが違うらしい。

文系分野の方が面白そうと気づいてしまった

誤解されないように明記するが、まちづくりそのものが嫌いになったわけではない。
大学に入学した後に教養科目を履修する中で、まちづくり系の学問って理系からも文系からもアプローチがあるということを知ってしまった。あれ、文系で学ぶことも面白そうだなと。薄っすら気づいてはいたものの、土木・建築を学んでいる自分を正解にしたくて目を背けていた。
(実際、学んで損するようなことはないと思う。世間からのニーズがあることは就活で実感した。)
しかし、社会人になって3年、やっぱり私は文系からアプローチできる分野を学びたかったらしいと改めて自覚した。行動学とか人文地理学とか地域コミュニティとか。
土質力学とか水理学とか構造力学とかには全く興味がないことにはっきり気づいてしまった。いや、今日断言する。大学で3年学んでも興味をもてませんでした。ごめんなさい。
でも、中には土木分野で本当に楽しかった学問もある。それが、いわゆる都市計画系の分野だ。

私が本当に魅力を感じる“まちづくり”とは

あくまで個人的な感覚だが、都市計画系の学問は、土木、建築、人文地理、社会、経済など、理系から文系までグラデーションのようにつながっていると思う。文系と理系のちょうど中間あたりと言われることもある。
まちに対して様々なアプローチがある中で、私が魅力に感じているのはまちというフィールドで行われる人間のアクティビティが波及し、その結果として起こるまちの変化だ。
もちろん、素敵で話題になるような場所や建築物を創り、そこに人が集まるという流れもまちづくりで必要になることがあると思うし、全くやりたくないかと言われればそういうわけでもない。
でも、私がより惹かれるのは、「スポットがトリガーになって賑わってきたまち」よりも「ある人間の行動がトリガーになって賑わってきたまち」だ。そして、そのトリガーになるような人間・行動がどんなものかを知り、別のまちで活かせないか考えてつなげていく、繋げられるような存在になる…自分自身がトリガーになりたいわけではなく、あくまで繋げ役という形で「まちづくり」に関わっていきたい。

ふるさとは継承されてほしい

「ある人間の行動がトリガーになって賑わってきたまち」に惹かれるのにも理由がある気がしている。それは多分、小学校の同級生が1クラス十数人レベルの田舎で幼少期を過ごし、ハード面の整備による人の吸引力にはなんとなく限界を感じていることと、自分がいつか活躍したい場所がそういう消滅可能性都市であることが関係しているのかな、と考えている。
そして大前提として、本当に魅力たっぷりの地元を未来に継承したいと思っている。たとえ消滅可能性都市であっても、1年でも長く在り続けてほしい。

タイトルに対する答え

長くなってしまったので、「なぜまちづくりに関わりたいか」に対する答えをまとめた。

・東日本大震災がきっかけの原体験と、将来は地元の地域活性化に貢献したい思いがあるから
・まちの賑わいのトリガーになるような人やその人の起こす行動に魅力を感じていて、その魅力を学び、別のまちの賑わいへつなげられるような存在になりたいから
・本当に魅力たっぷりの地元を未来に継承したいから

改めて文章に起こすことでいろいろ思い出せてすっきりした。
2022年も面白そうなことにどんどん飛び込んでいきたい。活動へのお誘いも絶賛募集中だ。


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