マガジンのカバー画像

りんごのかじりかた

6
りんごは齧り方によっては芯も種も丸々そのまま食べれます。 りんごを齧るとは、実はりんごを齧る以上の行為なのです。 そしてそれは私たちの自尊心すら回復させます。 落ち込んだとき、う…
運営しているクリエイター

#酸

りんごのかじりかた①〜長野県民より愛を込めて〜

りんごのかじりかた①〜長野県民より愛を込めて〜

実はりんごのかじり方一つとっても、一人の人間の尊厳を保つほどの力がある。長野県民としてそのかじりかたを書いておく。だけどまずは、そのかじるものがりんごである、ということの意義を考えておきたい。どうかじるか、の前に、なにをかじるか、である。

ひとつは、りんごほどシンボリックな果実がないだろうからだ。古くは旧約聖書のアダムとエバが食べた禁断の実。あれも別にどこにもりんごという表記がないのに、いつの間

もっとみる
りんごのかじりかた⑤〜下から齧れば人生がみえる〜

りんごのかじりかた⑤〜下から齧れば人生がみえる〜

りんごを尻から、下から齧ったろうか。甘かったと思う。

りんごを下から齧るのは、言い換えれば、重力を食べるということだ。比重の高い、糖度の強い果汁が時間をかけて下へと溜まってくる。つまり、一番甘い部分からりんごを齧ることになる。

本来であれば、甘みの浅い部分から食べていけば、常に舌は次の一口を甘く感じ、食べ終わるまで口の中の満足度は右肩上がりのグラフを描くことになる。(りんごを食べる目的が、甘い

もっとみる