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(創作童話)タコのペンキ屋さん

地球のために何ができるのかクリエーターたちの共通の課題だと思います。そんな折、突然アイデアが湧いて書きなぐっておいたものを仕上げてみました。まだまだ精査しなければならない箇所も多々ありますが、出版の予定が立つまで待っていられないので保存します。挿絵は、いずれ。
作者プロフィールなどはこちら
https://note.com/shunzo/n/na81623c3068f


たこの ぺんきやさん

とある うすぐらい うみのそこ

たこさんが ひとりぼっちで くらしていました。

たこさんは いつも ぐにゃぐにゃ だらだら。

たこつぼのおへやにに ひきこもって まいにち

ごろねばかりして すごしていました。


ごろねばかりしていても おなかは ぐーぐー すいてきます 

めんどくさがりの たこさんは あなぐらにはいったまま 

たくさんの てあしを にゅるにゅるっ と そとに のばして 

てさぐりで たべものを さがします。

ちゅーっと すいつくきゅうばんで てきとうに 

ひっいた えものを ぼりぼりと つまみぐい 

あきかんや ながぐつが ひっついてきたときは がっかり

おなかが いっぱいになったら また ごろね 

なんだか つまらない まいにちです。


あるひ ぼんやりと うみのそこから 

うえのほうを ながめていたら 

ひらりひらりと なにかが こちらに しずんできます 

ちゅーっと つかまえて みてみると 

それは きれいな さんごしょうの しゃしんでした。

うわぁー なんだろう このけしきは?

それは なんとも まばゆくて うつくしい いろとりどりの せかい 

たくさんの いろいろないろのいきものが 

しあわせそうに くらしているようすが うつっていました。

こんなせかいが このよのなかに あるものなのか? 

こんなにきれいで たのしいものなら みてみたい。


おもわず あなぐらから とびだした たこさんは 

まわりを みわたしながら ほんとに ひさしぶりの おさんぽです。

いわも すなも いしころも おちてる ながぐつも あきかんも 

みーんな はいいろのせかい きらきらしたものなんて 

ちっともみつかりません

たまに みかけるのは やせっぽちの かいや 

すなにまぎれて かくれてる すないろのさかなたち 

みんな むくちで ひきこもり おはなしなんて したこともありません。


さんごしょうの しゃしんと みくらべたら 

ほんとうに さびしい あじけのない けしきです。 

いてもたってもいられなくなった たこさんは 

おなかいっぱいに みずをのんで びゅーっと じぇっとふんしゃ 

のろのろあるきはやめて ちょうすぴーどで 

しゃしんのけしきを さがしに でかけました。


おお なにかが ひかってる

ちかずいてみたら でんきやのクラゲさんでした 

たこさんは ききました。

こんなしゃしんの ふうけいを しらないですか?

ほーーーーー

こんな きれいなけしきは みたことないねぇ 

ほんとに このせかいにあるのなら 

いきてるうちに みてみたいもんだねぇ 

でも、こんなに きらきらしたせかいなら 

わしが あかりを てらさなくてもだいじょうぶだな 

こりゃまいった しつぎょうだ うわははははは

それじゃぁ ほかをあたってみるよ ありがとう じゃぁねー 


たこさんは またもや ろけっとふんしゃ 

びゅーーーーーーっと ちょうすぴーどで すすみます

おお きらきらひかってる あれはなに?

ちかづいてみたら いわしの おじさんたちの むれでした 

ぐるぐる だいこんざつで みんなくっついて およいでいます


あのーすみませーん だれかー こういうけしき しりませんかー

なになに なんだい? 

いま えさばに しゅっちょうの とちゅうで いそがしいんだよ

あーどれどれ? 

あわただしいなかでも なんびきかの しんせつな いわしのおじさんが 

しゃしんをみて おおごえを あげました

おおーー こういうところなら 

たべものも たくあんあって すみやすいだろうなー


どれどれ どれどれ

むれの みんなも よってきて おおさわぎ

いいなー こういうところに すみたいなー 

かーちゃんも こどもも よろこぶだろうなぁ

くちぐちに いいながら らっしゅあわーに もどっていきます

おーい たこのぼうず いつか そこをみつけたら、

おれたちにもおしえてくれー 

お そうだ あっちのでっかい いわかげにいる 

かめのじーさまに きいたらいいかもな ものしりだし 

いちばんながいきしてるし なんか しってるかもなー 

ありがとー たずねてみるよー

いわしの おじさんたちは あわただしく いってしまいました。


たこさんは ろけっとふんしゃ ぜんりょくぜんかいで 

かめのじーさまのところまで

ひとっとび ようやくそれらしい いわばに とうちゃく。

かめじーさまー

おおごえで よんでみると のそのそっと 

すんごいおおきな かめじいさまが あらわれた。

どうもこんにちわ このしゃしんの ばしょをしりませんか? 

どうしても みてみたくって。。。

かめじーさんは とおいめをしながら ゆっくりはなしをはじめました。

なつかしいけしきだのう。

え? しってるんですか? おしえてください。

うーん。むつかしいのーう そこは とおいようですぐちかく 

ちかいようで ものすごくとおいところじゃよ。

え? それじゃ ぜんぜんわかんない。


はっはっは こりゃーしつれい そのけしきは 

おまえさんの やってきたところから わしの すむこのあたり 

そして ずーっと このまわり ぜんぶが 

こんなかんじの ばしょだったんじゃよ。

えええっ ぼくがうまれたときから 

なにもかも はいいろの このせかいが 

むかしは こんなに きらきら かがやいて にぎわっていたというの? 

しんじられない。。。。。

そうさのー いまじゃ なにもかも はいいろに みえるのう でも、

よーくめをこらして ちかずいて みてごらん 

そこには ちいさなちいさな いろいろないろが そしていのちが 

たーくさん かくれて がんばって いきのこっているんじゃよ。

ほら、そこのあしもとにも

めをこらして あしもとをみたたこさんは ようやく きがつきました

ちいさなちいさな かいそうや かい にょろにょろしたなにか 

いろんないろの ちいさな いのちがちょびっとずつ 

いわにしがみついて いきている。

とおくから ながめてるだけじゃ わからないけれど 

いのちのたねが さまざまな いきものが がんばっていきている。

そのいきものを ただ えさとして たべつくす やつらばかりだと 

ほんとうに このうみは しんでしまう。


ひかりが ひつようないのちのために 

にごった水を きれいにするいのちがたすけて 

きれいなみずが ひつようないのちが たくさんやってきて 

たくさんのいのちが みずに えいようをばらまき 

みずのなかに よいくうきをつくりだす。 

かいそうをそだて その かいそうのおかげで ちいさないきものは 

おおきないきものから かくれて たまごをうんで たくさんそだてて 

たくさんの いのちを うみに おかえしする 

たくさん たくさん くりかえして 

ようやく きらきらの いろとりどりの 

すてきなばしょに なってゆくんじゃよ。


そ、そうなのか。いのちはもらったりあげたりしながら 

みんな ぴかぴかになって いくってことなのか。

いのちって、いろいろちがういのちって、

そういう つながりのために あるんだね。

おお そうじゃそうじゃ おまえさんは なかなか かしこいね

そ そんな ぼくは さっきまで ひきこもりの たこ でしたから

うおっほっほ おまえさんの たくさんのてあしが なんのためにあるのか

その いのちの つかいみちを いっしょうけんめい かんがえたらいい 

まいにち そのいのちを たいせつに やるべきことを やっていれば 

いつか この場所も きらきらの ぴかぴかの にぎやかで たのしくて 

うつくしいばしょに うまれかわるんじゃよ


かめじーさんに たくさんの おはなしをきいて 

いのちのひみつを べんきょうしました

そうして たくさんの いのちの いろを みつけました

みどり あか おれんじ ぴんく ちゃいろ 

きいろに あお むらさき しろ くろ 

たいせつに そだてて たこさんならではの たくさんの て と あしで 

いわばを ピカピカに いろどりました


ほっほっほ おまえさんは りっぱになった 

まるで いのちの ぺんきやさんのようじゃ 

おまえさんの たくさんのてとあしは たからものじゃのう

みるみるうちに はいいろだったいわばが 

うつくしく すみやすい ばしょになりました

ここはもういいから こんどは 

じぶんのふるさとを きれいにしてやりなさい 

そしてここで たくさんうまれた 

いろいろな いのちを つれてゆきなさい 

むかしみたいに ここらへんぜんぶが きれいなうみに なるひまで 

いきるものすべて たすけあって くりかえす ことを 

みらいに つなげてゆけるように


かめじーさん ありがとうございました 

はいいろのふるさとを このしゃしんのようになるまで がんばります

おお おお たっしゃでな こちらこそ ありがとうな

いわばのいきものたちも みんな てをふっています

たこさんは たくさんの ちいさないのちを 

たくさんの きゅうばんに やさしく くっつけて 

ゆっくりめの じぇっとふんしゃで ふるさとに かえってゆきます

あの むくちな かいたちも ゆっくり 

みずをきれいにしてたんだなー とか

あの すないろのさかなたちも かくれるところがないから 

すないろしてたんだなー とか 

なにもしらずに つまんないって おもってたのに。

しらなかった じぶんとは もうさよならだ 

ぴかぴかの きらきらの いのちのらくえんを つくるため 

ぼくの たくさんの てとあしを つかうんだ 

つれてきた たくさんの ちいさないのちと いっしょに。


こうして ひきこもりだった たこさんは

「たこのぺんきやさん」 として 

まいにち たくさん しごとをがんばりました。

うつくしいさんごしょうを とりもどしたときには もう 

よぼよぼの おじいさんに なっていました。

たいせつに たからものとして とっておいた あのときのしゃしんは 

ひろったながぐつのなかに ちゃんとしまってあります。


あのとき かめじーさんのところから つれてきた 

ちいさないのちたちも たくさん こどもをふやして おおにぎわいです。

もう ろくにからだがうごかなくなった たこのぺんきやさんは 

たこつぼのなかで からだをよこたえながら 

あのしゃしんを ながぐつからとりだして 

まわりの けしきと くらべます。

ほんとうに このしゃしんは 

むかしの このばしょの すがただったんだなぁ。

とてもよい たくさんの てとあしの つかいかたをできたと 

たこさんはうれしくおもいました。

そして このばしょを まもってくれるように 

しゃしんを たいせつに ながぐつの なかにしまいこんで 

うつくしくて にぎやかな ふるさとのけしきを ながめながら 

まんぞくそうなかおで たこさんは ゆっくりと 

しずかに めをとじました。


うみのなかは たくさんの しあわせな いのちのいろで いっぱいです。




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