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日々の雑感 day47【「まちづくり幻想」を読んで】

今日も新刊から。

狂犬こと木下斉さんの「まちづくり幻想」が到着しましたので、まずは一気に通し読みした中から感じたこと等を書いていきたいと思います。

今回の新刊はこれまでの note を始めとしたコラムや記事、LINE等でも語られてきたことのひとつまとめのようなポジションでもあるように感じました。興味、関心のある方は、あわせてフォローされてみてはいかがでしょうか?

☆マインドセット(考え方)

僕自身もこちらの note で度々触れてきていますが、今回の著作の特徴的な部分として「思考の土台」というテーマがあるなと感じました。

思考に気をつけなさい。それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい。それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい。それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい。それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい。それはいつか運命になるから。

マザーテレサの言葉を再録しますが、思考というスタート地点はとても大切で、それがいつか地域の運命、あなた自身の運命を決めていくという事は、本書を読み進むうえでより意識していきたいポイントだと思います。

☆要はこの国の「病」

「成功者を潰し、挑戦者を排除する」という横並びの集団圧力という一節等は、まちづくりに限らないこの国全体の「病」と言えるでしょう。

この一年間繰り返されている狂騒劇はまさにというやつで、こうした病が日本からイノベーションの機会を奪い、人材を流出させてきたことは既知のこととも言えます。

ゲストハウスあるあるなんですが、話題になったり、目立ってくると、当初は「信頼関係で」とか「長いお付き合い」でとか言っていた家主が手のひらを返して大幅な値上げを要求し「いやなら出ていけ」というとんでもなことをやったりします。

ゲストハウスやるような人は本当に信頼関係でやる人も多いので、こうした地主、家主の嫌がらせのような圧力で辞めてしまったり、あるいは利益が出なくなり撤退したりということが起こったりします。

すると、このゲストハウスがもたらしていた顧客の流動性が消えて、地域の飲食や観光地への人の流れがその分は確実に絶えて、結果、地域の経済を負の方向へと向かわせます。そして、家主の建物や地主の土地の価値そのものがまた下がっていき、彼らも資産価値を失うわけです。

このような目先の小利で、長期的な大利を失っている人や地域は、決っして少なくない。そこかしこで似たようなことが起こっていることでしょう。

こうやって「今だけ、自分だけ」の「マインドセット(考え方)」の人が多くなると、ついには地域や国そのものが冷え込んでいっちゃう。このような人々は、繋がり、循環の世界がまるで見えていないんですよね。

☆受動的な上下の教えから主体的で横の学びへ

理想を実現する為にゼロから学校を立ち上げ、今や15の中高を運営。アメリカ最高の高校、最もやりがいのある高校にも選ばれた学校を生み出したダイアン・タヴァナーは「世界最高の教室」の中で、

勉強は先生から教わるという前提を変える

とはっきり語っています。
彼女の作り上げた学校ではPBL(PROJECT・BASED・LEARNING)を中心としたカリキュラムが築かれていて、生徒自らの主体的な学びを大人が支援する運営が貫かれています。

日本ではこれを誰かが「問題解決型学習」「課題解決型学習」と訳してしまったせいか、ほとんどの先生方はあらかじめ「先生自身の解答」を用意し、生徒に先生の視点でしかない「問題」や「課題」をおしつけて、どこまで自分の用意した正解に近づけたかで評価をするという旧来型の手法を実行しています(まったく意味がないし、役に立ちません)。

これらはいわゆる「探求学習」という本質からは逸脱したものなのですが、同じように「地域課題」と呼ばれるものの解決に挑むケースでは、公民それぞれの活動が本当にピンキリなのが実情です。

そしてやはり、そのほとんどが失敗してしまうのは、そもそもで「地域課題」と呼ばれるものが、本当の意味での「課題」ではなかったりするからといえるでしょう。問いが誤っていれば、その解は当初の目的を達するわけがないのです。

ダイアンが「教科書」「成績責任」「ノスタルジア」を3つの障害と呼んでいるように、まちづくり幻想でも「成功事例」「外注主義」「幻想(ノスタルジア)」あたりが綺麗に対比できるように思いました

☆「過去原因論」から「未来目的論」

これも何度か紹介していますが、ダイアンがスタンフォードで学んだように現在地を知り、未来目的を描き、そこに向かう一歩を明確にすることは当たり前のようで出来る人が少ない王道です。

出来ていると勘違いしている人も多いのですが、実際には出来ていると客観的に認められる人が5%にも満たないので今の状況があるのです。

というわけで、やはりネタバレはそこそこにしましょう。

「まちづくり幻想」の読者の方には、ぜひ、こうした心理学のエビデンスやメンタルコーチの活用を意識してもらえたらいいなと思いました。

ではでは!

*参考


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