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《映像》エッセイ集

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#夏

白昼

白昼

午後3時、室外機。
静寂の昼下がりは、まるで丑三つ時のようである。
蝉は羽化していないのか、ひとつも鳴いていない。
積乱雲は雪の壁のように街を包囲し、田んぼに映る反対の世界に挟まれたそこには、誰もいない。
静かである。
ただ聞こえるのは、見知らぬ家の室外機から発せられる低周波音だけだ。

飛行機は音を立てずに、ゆっくりと空に筆跡を残している。

私は宗教を信じない。
しかし、このひとりの世界を見る

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かげおくり

かげおくり

多摩川の向こうの灰色の都市は、よそよそしく砦を築いている。
ビル群のスカイラインから湧き立つ雲は次第に橙色を帯び、煙が匂ってくる。
私はひとりで散歩している。
イヤホンから鳴るラヴェルの緻密な和音は、孤高の景色を彩る。
青い空の奥から橙色が染み出している。
こんな色のジュースをどこかで見たことがある。
草むらに花火の残骸を見つけて、会わなくなって久しい人のことを思い出した。
もし今、空が同じ色をし

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