マガジンのカバー画像

脳卒中

193
運営しているクリエイター

2022年2月の記事一覧

中心性脊髄損傷

中心性脊髄損傷

頸部が急に後ろに反り返ることにより、頸髄の中心部が損傷を受けて発症する。

交通事故等では、追突事故などで頸髄が不自然な形で過伸展して損傷を受けることが多い。

頸髄には、上下肢を支配する神経線維が集中している。

上肢の神経線維は頸髄の中心寄りに、下肢の神経線維は外側よ寄りにあるので、中心部が損傷を受けると、主に上肢の症状が出現する。

頸髄の中でも、辺縁部は周辺のたくさんの血管から栄養を受ける

もっとみる
DAPTとは?

DAPTとは?

抗血小板薬2剤併用療法

経皮的冠動脈形成術(PCI)術後にステント血栓症リスクを軽減させる目的で行われる治療法。

併用する2剤は、基本的にアスピリンとチエノピリジン系抗血小板薬。

チエノピリジン系抗血小板薬としては、クロピトグレル、プラスグレルなどが選択されることが多い。

前庭リハビリテーションの介入戦略

前庭リハビリテーションの介入戦略

①適応

頭部の動きなどの刺激に対し、小脳をはじめとする中枢と末梢前庭機能の神経反応変化や可塑性を促進して、視線安定性、バランス、めまいの改善を目的とする。

例 Gaze stability exercises

②慣れ

めまい症状を誘発する特定の動作や視覚刺激の繰り返しの曝露により、引き起こされるめまい症状やふらつきを軽減することを目的とそる。

例 Habituation exercise

もっとみる
運動開始困難の場合の対策

運動開始困難の場合の対策

運動開始困難の場合の対策

麻痺側の随意性は保たれているものの、運動がうまく遂行されず、特に開始困難となる症例は多く見られる。

①起き上がり時に麻痺側下肢をベッドから降ろせない

言語指示では運動困難なことが多い。足を降ろしてと言ってもうまく遂行困難。

セラピストの手を提示して、「ここに足を当ててください」と口頭指示することで、随意運動が出現することがある。

②端坐位で股関節屈曲や膝伸展随意

もっとみる
眩暈に対する評価と基本的戦略

眩暈に対する評価と基本的戦略


評価①DHI
めまいやふらつきによる日常生活活動の障害の程度を評価する事ができる自己記入式の評価

②DGI
歩行中における課題に対してのバランス修正能力を評価

③FGA
歩行中における課題に対してのバランス修正能力を評価

前庭リハビリテーション運動主体のリハビリテーションが主流

①視線安定性の促進を目的とするgaze stability exercise

前庭眼反射の適応と代償を目的と

もっとみる
垂直性障害に対する治療の考え方

垂直性障害に対する治療の考え方

重度の運動麻痺があれば、ほとんどの症例が立位において麻痺側への傾き+和えられる転倒する。

長下肢装具を使用し左右対称性が改善されれば、麻痺側下肢の支持性低下が傾斜の原因と考えられる。

長下肢装具を使用しても麻痺側への傾斜が残存する場合は、CLあるいはプッシャー現象である可能性がある。

①体性感覚情報の利用

プッシャー現象の重症例では、非麻痺側方向への転倒恐怖感を訴える。

そのため、初期の

もっとみる

Contralesional Lateropulsion(CL)

和訳 反対の 側方突進

CLは大脳半球損傷後に観察される麻痺側へ傾斜する現象。

脳幹や小脳損傷後に観察されるLateropulsion とは区別される。

CLは非麻痺側上下肢を用いて積極的に麻痺側押す行為や他動的な姿勢の矯正に対する抵抗は観察されないのが特徴的。

プッシャー評価ではSCPがよく用いられるが、

プッシャー現象の判定にはABCの各下位項目>0とする基準が一般的であるが、

A

もっとみる
プッシングを改善させるには座面を傾斜させろ

プッシングを改善させるには座面を傾斜させろ

脳卒中片麻痺患者では、対角平面上での座位姿勢制御能力が基本動作やバランスと関連があるとされている。

対角平面は、対象者の斜め45度前方または斜め45度後方の面と定義されている。

移乗動作や横いざり時などは非麻痺側下肢への重心移動時に非麻痺側前方方向への体幹の傾斜能力が要求される。

麻痺側後方へ10°傾斜した座面上から非麻痺側前方への座位重心移動課題を実施し、バランスや身体の重力感覚が改善され

もっとみる
橋出血の予後予測

橋出血の予後予測

臨床症状では、高度意識障害、眼球固定、対光反射消失、除脳硬直肢位は予後不良の徴候。

しかし、呼吸障害、四肢麻痺は必ずしも予後不良の徴候とは言い切れない。

CT所見上、血腫の視床ー基底核および中脳広範囲進展は予後不良である。

しかし、中脳一部への進展は、第四脳室穿破を伴わなければ予後不良因子とはならない。

血腫の第四脳室穿破は、一般に予後不良な大血腫に伴ってみられるが、小血腫でもみられ、この

もっとみる
臨床推論~先輩PTからの教え~⑩おわりに

臨床推論~先輩PTからの教え~⑩おわりに

最後に実際の経験を交えお話します。

僕の担当患者さんにTさん、70代女性の方がいました。

右視床出血で麻痺は上下肢とも重度。感覚は重度鈍麻しており、半側空間無視やプッシャー現象が強くみられていました。

本人、家族ともに杖歩行以上での自宅退院を希望されていました。

介入当初は端座位保持をするのがやっと。歩行は長下肢装具を使用しなんとか、、というレベルでした。

基本動作も当然重度介助。

もっとみる