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歩行

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#脳血管障害

片麻痺患者はどのように歩いているか?

片麻痺患者はどのように歩いているか?

一般的な特徴として

①歩行速度が遅い

②歩行周期が長い

③ストライド長が短く、特に麻痺側から非麻痺側へのステップ長が長い

④麻痺側の踵接地が困難であり、つま先あるいは足底全体で接地する

⑤立脚後期に麻痺側のつま先離れが悪く、遊脚期にクリアランスがとれない

⑥立脚期に麻痺側の足関節が内反し、不安定である

⑦立脚期に麻痺側の膝関節が不安定あるいは過伸展である。

もっとも重要な点は

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CPG!

CPG!

CPGとは?

自動的にリズミカルな共同的動作を発生させるニューロン群やニューロン回路のこと。

歩行においてはCPGを働かせれば、歩行運動は上位中枢からの入力が無くても可能ということ。

しかし、CPGにおける歩行は自動的な運動に近く、目的を持った歩行運動ではない。

歩行中枢中脳、脳幹:逃避的要素(中脳)、姿勢(脳幹)を作り、筋緊張を調節。自動的歩行を発現する。

小脳:適切に姿勢を変化させ、

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歩行における回復と代償

歩行における回復と代償

当り前だが理学療法のすべての対象が本来の姿に回復するわけではない。

必要とされる運動機能を「回復」させるのか、「代償」させるのかを見極めることは理学療法の分岐点。

回復:血流増加による虚血性ペナンプラの回復や機能解離(Diaschisis)の解消

代償:脳自体が失われた機能を取り戻すために可塑的に変化する機能的再組織化(functional reorganization)

この可塑的な変化

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歩行における網様体脊髄路

歩行における網様体脊髄路

皮質網様体脊髄路の機能として先行性姿勢調節(APA)が残存していれば、非麻痺側下肢を振りだす際に麻痺側下肢での支持性が得られる。この部分が得られれば、無意識下での歩行獲得に繋げられる。

脳卒中片麻痺患者の実用歩行獲得に至る要因の考察 中西康二 他

補足運動野と歩行

補足運動野と歩行

一次運動野から下降する皮質脊髄路は運動出力パターンを決定し、随意運動の制御を担う。

ところで、補足運動野からの投射が網様体にあり、網様体からは姿勢を調節するための姿勢制御に関わる出力がなされる。

皮質網様体路はこの補足運動野から脳幹の網様体への投射路であり、皮質網様体路の有無が脳卒中患者の歩行能力へ関与することが報告されている。

遊脚期の歩行介助は必要ない⁉

遊脚期の歩行介助は必要ない⁉

二重振子モデル(遊脚振子モデル)では遊脚相における膝の随意的な運動は必要なく、股関節の屈曲により、下腿は慣性によって受動的に屈曲する。

これらから考えると立脚相での膝伸展による安定性保持、遊脚相での股関節屈曲と膝関節の脱力により歩行動作は達成される。

また、予期的姿勢調節の皮質網様体脊髄路の観点から非麻痺側先行で歩き始めることにより、麻痺側下肢の支持は随意的ではなく自動的に行われる。

つまり

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維持期で歩容を改善する!

維持期で歩容を改善する!

正常歩行は倒立振子運動が形成されている。

倒立振子を転がすための機能としてロッカー機能が重要となる。

Heel Rocker:前脛骨筋の遠心性収縮

Ankle Rocker:ヒラメ筋の遠心性収縮

Forefoot Rocker:ヒラメ筋の求心性収縮

維持期脳卒中患者の歩行の特徴として

麻痺側下肢の足関節機能の低下

非麻痺側下肢の荷重を優位にした代償に基づく歩行パターンを形成

この歩

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長下肢装具を使う意味って?

長下肢装具を使う意味って?

目的の一つとして、足関節と膝関節の自由度を制限することによりコントロールする関節の数を減らし、練習の難易度を調整することである。

つまりターゲットは股関節のコントロールです。

LRで床反力が股関節の前方を通り、股関節伸展モーメントがはたらくことは、短下肢装具に移行した際に膝折れを生じさせないための重要な要素である。

健常者の歩行は、LRにはたらく股関節伸展モーメントは、大腿を後方に引っ張り膝

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