歩行における回復と代償
当り前だが理学療法のすべての対象が本来の姿に回復するわけではない。
必要とされる運動機能を「回復」させるのか、「代償」させるのかを見極めることは理学療法の分岐点。
回復:血流増加による虚血性ペナンプラの回復や機能解離(Diaschisis)の解消
代償:脳自体が失われた機能を取り戻すために可塑的に変化する機能的再組織化(functional reorganization)
この可塑的な変化を生じさせるためには、損傷後の機能をどれだけ高頻度に使用できるかが重要。
神経学的な意味での機能代償こそリハビリテーションの目的なのではないか。
運動が神経損傷の結果として生じる「異常」な運動なのか、神経損傷によって生じる不利に対する「代償」的運動なのかは区別が必要。
歩行では同時収縮、反張膝などである。
これは「代償」に伴う機能制限というジレンマである。
機能回復を考えるうえで、代償は日常生活機能を獲得するために必要な場面もある。
しかし、代償はより高い機能を制限したり、代償により新たな問題を発生させたりする可能性がある。
装具などの適切な条件で歩行を行わせることは、より生理的な運動を反復させるために常用と考えられるわけである。
片麻痺患者における歩行機能回復を目指した歩行トレーニングの実際 大畑光司 理学療法学 第40巻第4号
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