【企業解体新書】ピジョンの特徴と経営戦略
ピジョンは、国内のベビー用品市場において圧倒的な地位を獲得しています。近年では、そのブランド力や商品開発力を活かした海外市場の開拓も進んでおり、その注目度は高まっています。
今回はそんなピジョンを、3つのキーワードで分析していきます。
1.ニッチ市場での圧倒的シェア
ピジョンはベビー関連市場において圧倒的なシェアを握っています。上のグラフは、同社がマーケットリーダーになっているいくつかの市場と占有率を示したものです。
これを見ると、哺乳器や哺乳びん洗剤といった市場で7割を超えるシェアを握っていることに驚かされます。また、これらの市場は比較的ニッチな市場です。例えば、哺乳器の国内市場規模は30億円程度と言われています。
ニッチな市場であるため、競合他社が参入するインセンティブが働きにくいことも、同社の圧倒的マーケットシェアにつながっています。
2.営業利益の8割が海外事業
上記はピジョンの海外売上高比率の推移を示したグラフです。2005年には連結売上高の14%に過ぎなかったものが、2019年には61.5%まで高まっています。いまや、同社の営業利益の8割は海外事業から生み出されています。
しかし、当初から海外展開が上手くいっていたわけではありません。そこでピジョンは、病院へのアプローチを強化する戦略を採りました。病院を抑えることで、ブランドへの信頼を高めていったのです。
お母さんたちはどうやって哺乳器の購買を決めるのだと思いますか? 国内、海外問わず共通するのは、医師や看護師の推奨です。病院で使われている製品は信頼が増すので、ピジョンは病院への普及活動に力を入れました。
この戦略が当たり、同社の海外事業は大きく成長していくことになります。
3.ドル箱の中国事業
ピジョンにとって中国事業はドル箱です。事業別の営業利益率を見ると、中国事業が他を大きく引き離す高水準にあることが分かります。
中国事業の営業利益率が高い理由は、付加価値の高い哺乳器・乳首の売上構成比が高いことにあります。現在、中国事業売上の約50%を「哺乳器・乳首」カテゴリが占めています。日本事業における同比率は14%です。
病院へのアプローチ強化が奏功し、現地におけるピジョンのブランド力や信頼度が飛躍的に高まった結果とも言えます。
中国の哺乳器市場は巨大です。その市場規模は800億円(日本国内は30億円)とも言われており、今後のピジョンにとっても極めて重要な市場であることは間違いありません。
今回は以上です。
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