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1.文房具店

Shunkodoとして再興する際に絶対に欠かせないのが文房具店としての要素。
私が生まれる前に祖父が創業した『春光堂(しゅんこうどう)』という文房具店。
そして、私が生まれる前に祖父は急逝。
今となっては、どうしてその屋号にしたのか、祖父に直接話を聞くことはできません。
起業を決意してしばらくした頃、何かヒントは無いか祖父の書類棚を見てみると、手記がありました。その一節に、屋号と標語について記載されていました。

屋号は春光堂
標語は筆硯精良人生一楽(ひっけんせいりょうじんせいいちらく)

文房具店を再興するにあたり、この一節と祖父の遺してくれた思いやロゴデザインを余すところなく活かしたいと思います。

標語にある筆硯精良人生一楽について少し調べてみると、出典は北宋の政治家・文学者・学者の欧陽脩「試筆」からきているようでした。

以下、明窓浄机:意味・原文・書き下し文・注釈 - Web漢文大系 (kanbun.info)より。

學書為樂(書を学びて楽しみと為す)

蘇子美嘗言、明窓淨几、筆硯紙墨、皆極精良、亦自是人生一樂。

  • 蘇子美 … 北宋の詩人。蘇舜欽。子美は字あざな。ウィキペディア【蘇舜欽】参照。

  • 明窓 … 明るい窓。

  • 浄几 … 清潔な机。「几」は「机」と同じ。

  • 筆硯 … 筆とすずり。

  • 紙墨 … 紙とすみ。

  • 精良 … すぐれてよいこと。

  • 一楽 … 一つの楽しみ。

また、検索を進めると素敵なブログに辿りつきました。

私の「筆硯精良人生一楽」の解釈は、素晴らしい文具は人生を豊かにする。といったところでしょうか。
生まれた頃から文房具に囲まれて育った私には、とってもしっくりくる一節でした。

時代の流れから、小売業というのは非常に厳しい状況下におかれてきました。実際、私の生まれ育った地域でも、郊外に大型店舗が出来、インターネット販売が普及し、より安価な100円均一商品が手に入るようになり、小売店が続々と廃業していきました。
商店街がシャッター街と化しているのは、全国的な問題ではないでしょうか。文房具店も例外ではありません。一店舗一店舗閉店し、昔からあった文房具店は今では市内に一店舗のみになっています。

専門店ならではの空気感、商品を選ぶ時の高揚感、購入するときの充足感を恋しく思います。

更に予想だにしていなかった事態としては、これからお勉強を始めるお子さんが一番最初に手にする文房具の質でした。

子育て世代の友人に聞いたところ、身近に文房具店が無くなった弊害として、近所のスーパーで販売されている文房具しか選択肢が無いとのことでした。

良いものを置いているスーパーももちろんありますが、精巧に作られていない定規や分度器を手にする可能性もあるのです。筆記具の書き味も然りです。

定規や分度器のほんの少しのズレは、考え方や解き方が合っていても使用するものが起因して不正解になる恐れもあります。

鉛筆やペン、またノートや紙の質は心地良ければするすると書き進めることができますが、その逆はどうでしょうか。

使う道具が原因で、勉強が嫌いになってしまう恐れはないでしょうか。

子どもが勉強を好きになるきっかけや嫌いになるきっかけは様々だと思います。

文房具の質もその要因の一つだと思っています。

文房具で生活を豊かにして欲しいと思っています。



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