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事例紹介 ー「Frau Gerolds Garten」

こんにちは、ヨシタケです。

今日は市民農園について。
ドイツのクラインガルテンなど、海外では割と目にする気がします。

日本でも昨今取りざたされることも多く、市民農園とコミュニティに関する研究や空地に関する研究などありますよね。
私も在学時のプロジェクト関連でいろいろリサーチしてみたりしていました。

その時に調べていた事例の場所に実際行くことがあったので場所の紹介を兼ねて、つらつらと。。

この記事での一応のメインメッセージは、空間って当たり前だけど生活文化が前提にあるよねということです。笑
昨日今日と、トビタテという留学の際にお世話になったコミュニティで事後研修があり、なんとなく改めて感じたことです。

Frau Gerolds Garten

今回ご紹介するのは、スイス、チューリッヒにあるFrau Gerolds Gartenです。

コンテナや廃材をうまく使った空地の暫定活用
コンテナを使った、飲食サービスと上部のテラス

ここは、2002年にはじまった空地の暫定活用です。が、暫定と言いながら2022年3月現在でまだそのまま継続しています。
2013年の頃の様子がYouTubeに上がっていました↓

この場所は、チューリッヒ中央駅の一つ隣のHardbrücke駅のすぐ近くです。
このエリアは、もともと工業エリアでしたが、最近では、食やファッションなどで人気が出てきています。
すぐ近くには、高架下をリノベして流行りのファッショナブルなお店がたくさん入ったViadukt(高架橋)という施設もあります。
こうしたリノベーション×トレンドのエリアイメージの刷新がうまく作用しています。

市民農園と食

この暫定利用がうまくいった要因はいくつかあると思います。一つには先ほどのエリアのイメージと空間のコンセプトがうまくハマっていっていること
もう一つは、食の質を非常に重要視していることです。

食事は、グリルなど屋外でいい香りにつられてしまうようなものを目の前のコンテナで採ったハーブでシーズニングして食べたり、
地元で採れた野菜をふんだんに使ったサラダ、地域のクラフトビールなど、
空間体験と食体験がうまく連動して、全体的に非常によくできています。

食べられる庭の説明

コンセプトは「アップサイクリング」で、栽培コンテナやファニチャーも木材パレットや廃材をうまく使っています。

Kraut+QuerのLuziaRodriguezによるものです↓


空間計画もとてもよくて、コンテナを立体的に積んでルーフトップバーを設けることで、奥に鉄道の線路や特有の景色を見ることができます。

上から見るとこんな感じ


敷地内には、アイコニックなFREITAGのフラッグシップショップもあり、
おそらくイニシャルコストの問題などもうまく解決しているのでしょう。

FREITAG Fragship Store

https://www.freitag.ch/en/store/freitag-flagship-store-zuerich


ファニチャーもFREITAGのものが↓ プロダクトのイメージと空間がこれまたマッチしていますね。

FREITAGと言ったらこの素材


季節によって変わる装い

日本ではこういった屋外のスペースの場合、冬が寒く閑散としてしまうことが課題視されることがあります。
このFrau Gerolds Gartenの冬の様子はこんな感じです。

ロマンチックな冬の夜
小屋がたち並びます


スイスは、11月になるとまちの広場にログハウスが期間限定で立ち並び、
クリスマスマーケットが行われます。

その文脈とおんなじ感じで、ここFrau Gerolds Garten にも簡易の小屋が建てられて、冬でもチーズフォンデュなどを屋外で楽しむことができます。
グルーワインが欠かせません。笑

日本人の私からすれば、イベントのためにわざわざ木材を運んできて小屋を建てる(既製品などならまだしも!)なんてびっくりです。が、寒い冬を乗り越えるスイス人の心の拠り所として、冬でも外を楽しむことは当たり前なんですね。

文化が違えば、空間の使い方も違う。当たり前だけどそんなことを痛感しました。


こんな経験をたくさんして、日本のパブリックスペースへの思考を重ねていきたいです。
では、また。

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