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機械仕掛けのコウノトリ 1

 赤子の声が聞こえた。

この場所で起こり得るはずはないと知りながら、私の耳には確かにそのはっきりとした命の呼ぶ声が聞こえていた。

 振り返るも、見えるのは自動車が行き交う日常であり、聞こえるのは無生物であるエンジンの音だった。

その中に生命の響きなどあり得るはずはなかった。

 私は私を思い出して、また私の進むべき道に顔を向ける。

日常の変わらないその道を私は歩いていく。

今というこの世界で私にできることは、日々を変わらず、希望すら持たず、ただ祈りを持って生きていくことだけなのだから。

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