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コロナショックから写真文化を考える

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記事一覧

「#本物に触れてほしい」の重みーコロナショックから写真文化を考える

 好きなものはあとにとっておくタイプかどうか・・・僕はあとにとっておくタイプである。けれど、それで損もする。コロナショックも例外ではない。楽しみにとっておいた東京都美術館のヴィルヘルム・ハマースホイ展が、会期終了を待つことなく閉幕してしまったのだ。

 以降、ほとんどすべての美術館が休館(もしくは実質的に移動制限で行かれない)。さらに緊急事態宣言が発出されたことで、こんどは設営がすんでいるのに1日

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コロナショックからアメリカの家族写真文化を考える

 きのう、報道ステーションで、コロナ感染症が拡大しているアメリカでは、いま家族写真を撮ってもらうことがはやっていると紹介されていた。気になる報道だと思っていたら、民俗学者の畑中章宏さんがそのことをツイートされていて、なんだかよけいに気になっている。

 おそらく、ただの記念という意味ではなくて、自分たちのおかれている環境が死の恐怖と密接になっているからということも関係しているのだろう。そもそも、ア

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Teddy Bear Hunt と野花摘みーコロナショックから写真文化を考える

 今日もおもしろいニュースをみた。ニュージーランドではじまって世界に広がっているらしいのだけれど、家の出窓なんかの外から見えるところにクマのぬいぐるみをおいておいて、それをコロナの影響で散歩程度の外出しかできなくなったこどもたちが見つける「テディーベア・ハント」という遊びがはやっているらしい。

 ためしにインスタで調べてみると、素敵な写真がたくさん上がっている。

 同時に、すぐにわたしの記憶と

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岡田将と山越めぐみの「空想展覧会」ーコロナショックから写真文化を考える

岡田将と山越めぐみの「空想展覧会」ーコロナショックから写真文化を考える

はじめにすこし、わたし自身の経験について。

 災害などの有事といえば、今のコロナショックや、近年では熊本豪雨もだし、やはり多くのひとが想起するのは東日本大震災ではないだろうか。じつは、わたし自身はそのことを語る言葉を持ち合わせていないというディレンマを抱えている。

 2011年3月11日、パリ。呑気に目覚めると、母から「大きな地震が起きたけど、家族はみんな無事です」という短いメールが入っていた

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