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J3 第29節 レビュー【鹿児島ユナイテッドFC vs AC長野パルセイロ】コンセプトの次段階

2021.11.28 J3 第29節
鹿児島ユナイテッドFC vs AC長野パルセイロ

こんにちは。
今回もご覧いただき、ありがとうございます。

今回のお相手は長野。
今シーズンも長野戦含め、残り2試合となりました。はやい。

対戦前までの長野は7勝11勝8敗の勝ち点32。
鹿児島も昇格目指す組としては低調な闘いが続いていますが、長野も難しいシーズンになっています。

試合内容を見ると、順位通りの闘いというか、お互い苦労したシーズンだったね…と振り返りたくなるようなゲームでした。

気になったところを中心に振り返っていこうと思います。よろしくお願いします。

スターティングメンバー

鹿児島のスタメンから。
前節からの変更は萱沼→砂森のみとなりました。

萱沼のサスペンションが明けたらSBをどう考えるかは分かりません。が、流石に砂森、来季を考えると木出を押しのけて萱沼というのは考えにくいなとは思います。とにかく今節は順当に砂森スタメンです。

しかし、イヨハはどうしちゃったんでしょうかね。
嫌なリリースが来なけりゃ良いなと思います。

一方の長野。
メンバー自体は15番宮阪→25番藤森、5番広瀬→20番吉村と2人でしたが、フォーメーションやWG⇆IH・CB⇆SBなど、ポジションは少しずつ変わっています。複数ポジションこなせる選手が多いのは強みですね。

次項では、その4-3-3布陣で長野がやってきたことから振り返っていきます。

雑感

熊本リバイバル?

長野は熊本はフォーメーションこそ異なるものの、熊本戦のリバイバルっぽいことを守備局面で行っていました。

鹿児島は田辺がアンカー役になって4-3-3の中盤逆三角形で前進しますが、同様に4-3-3逆三角の長野は、田辺にはCF・CB2人にはIHがマークして嵌め込もうとしていました。

熊本と違いがあるのはWGのプレス位置で、長野WGはアンカー役の辺りまで撤退して、鹿児島SBがその高さまで前進した時やオープンな状態で受けられる時に、中央のパスコースを消しながらチェックに行く決まり事になっていました。

泣きどころになるアンカー脇の管理を、熊本はCFが気合いでカバーするという哲学に振り切ったタスクでカバーして、長野はWGの撤退で解決しようとしていたってことですね。一般的な感覚で言えば、長野の方が合理的だとは思います。

前半の鹿児島としては、スペースを守るWGを如何に釣り出し、長野のアンカーvs中村・中原の1vs2の局面を作り、前進できるかが焦点だったと見ていますが、あまり上手くは行きませんでした。

作れたチャンスと言えば、長野のボール保持にてインナー・オーバーラップを使い分けて崩しに参加する長野両SBの裏を米澤・三宅がこの質で持ち上がるシーンや、米澤・三宅が長野DFをサイドに吊り出して、空いた中央のスペースを山本が使うシーンが多かったですね。

「縦に速く」は上野監督がプラスしたやり方ですが、今節は狙うべき狙いでもあり、選手のパス・フィード先を見ても意識はされていたのではないかと思います。

いかに誘導するか

とはいえ、ホーム最終戦。
今年最も取り組んできたボール保持の成果は見たいというものです。

前述の通り、いかにして長野WGを釣り出し、前方のスペースを空けるのかが焦点だったと思いますが、なかなかうまく行きませんでした。

長野WGには、例えばフォゲッチに付くか中原に付くか、出るべきか留まるべきかを迷わせる判断をもう少し迫りたかったです。

鹿児島SBは、長野のDFラインの高さ設定上、WG脇にポジショニングすることが多く、プレスを受けやすくなってしまっていた序盤。さらに、そのプレス回避のため、鹿児島CB脇まで降りてビルドアップに参加することもありました。

そうなると長野WGは付いていかず、アンカー脇を埋めようと中央寄りのポジションを取ります。鹿児島はさらにそこから、迂回や縦ポン→頑張れ米澤三宅!をすることで、単調な攻撃になっていってしまいました。

相手の守備範囲に近すぎたらプレスを受けやすいですし、ならば幅と深さを取ろう!と思いきり守備範囲外に出ても、相手は付いてきません。

その感覚も相手の能力・戦術の設計次第ではあるので、上下左右にポジションを移し、プレスに出て来させて、回避できる立ち位置・動き方・動くスピードなどを模索しなければなりません。

この辺りの駆け引き・個人戦術は見せて欲しいなと思う中で、なんとか見せられたのは41分。フォゲッチが長野WGをサイドに寄せ付ける立ち位置を取れたので、白坂ぎアンカー脇に楔を打てました。

その他は、なかなかロジカルに前進するのが難しかった前半でした。酒本のコメントはこのように効果的な立ち位置を取れなかったところから来ていると思います。

(酒本・試合後コメント)
--勝ち切れなかった要因は?
外回しのボールになっていて、クサビや中央など、相手にとって危険なところ、イヤがるところにボールを入れられなかった。前に人数をかけられず、単発的な攻撃になって、何かが絡むというところが少なかった。そういったところが相手に守りやすさ、守るリズムを与えてしまった。

失点と配置変更

前半終了間際に失点します。
4-3-3様のボール保持で、中原や米澤も前へ意識が向いていたように見えますが、予防的ポジションが怪しかった結果、プレスバックが後手後手になっていました。

ともかく失点したからには取り返さなければいけませんが、長野は4-3-3そのままに守備陣形をシフトします。これにより、マークが明確化。特に中盤は数的同数で、スペースを得るのが難しくなっていました。

後半16分には2失点目を喫しますが、一つ前のシーンでは、中原がプレスに押されてゴール前でなんとか回避しており、予兆になっていたと思います。

勿論、田辺がパスミスしなければ…はありますが、そのミスを起こさないために何が出来たかを考えると、チーム戦術の熟成という面から予防したかった失点でした。

交代策

後半には、三宅・中村・中原→五領・酒本・秋山の交代をそれぞれHT・59分・75分に行います。

酒本の投入意図は、本人からコメントがありました。

(酒本・試合後コメント)
--後半途中からの出場だった。
負けている状態だったので、真ん中でタメを作り、相手陣内で試合を進めるという指示を受けていた。攻撃の起点になることと、前からプレスを掛けることを意識してプレーした。

リンクマンの役割でしょうか。
ともかく、中盤三角形を数的同数でガッチリ抑えられているので、個の質で状況を打開したかった意図と汲み取れました。

その意図には同意で、リアルタイムでは秋山が先かなと思いましたが、酒本のお別れ投入を優先しましたね。五領も入れたところを見ると、ユニットの優位性を活かしたかったり、タメを作る意図もあったかもしれませんが、単純に試合内容を見ると、三宅を下げる采配は解せません。

そんな交代策も上手くハマったとは言えず、同じような構図で試合が進め、そのまま0-2の敗戦となりました。

あとがき

ホーム最終戦は、敗戦で終えました。
前節見せることが出来た最上位コンセプトの、次の段階である「ボールを保持して主導権を握る」部分では、真価を示すことが出来ませんでした。

前半は相手をどう動かすか、後半はミラーゲームだったり、オールコートマンツーマンをされた時に前進出来ないという、ここ最近の課題が一気に露わになった試合でした。

敗戦のショックも残る火曜日からは退団発表も相次いでいますね。クラブの相当厳しい現状が窺い知れます。来シーズンは戦略面でどれだけ真っ当に、継続して貫けるかが重要になってきそうです。

その意味で、今年最後の富山戦。
これまでの戦略立案・取り組みが正しかったと証明する試合が出来るでしょうか。このメンバーでやれる最後の試合に期待したいですね。

それでは、今週はこの辺で。
また来週よろしくお願いします。

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