【鹿児島ユナイテッドFC 2021シーズン後半戦まとめ】行く年来る年

2021.8.28 - 2021.12.5
2021 J3 第15節 - 第30節

2021.08.28 vs カマタマーレ讃岐   ○2-1
2021.09.11 vs いわてグルージャ盛岡    ●1-2
2021.09.18 vs ガイナーレ鳥取               ○2-0
2021.09.25 vs FC岐阜                             ○1-0
2021.10.02 vs Y.S.C.C.横浜                      ●1-3
2021.10.10 vs 福島ユナイテッドFC       △1-1
2021.10.17 vs テゲバジャーロ宮崎        ●2-3
2021.10.23 vs アスルクラロ沼津           ○3-1
2021.10.31 vs ロアッソ熊本                  ○1-0
2021.11.07 vs ヴァンラーレ八戸           △1-1
2021.11.14 vs FC今治                              ●0-3
2021.11.20 vs 藤枝MYFC                        ○1-0
2021.11.28 vs AC長野パルセイロ           ●0-2
2021.12.05 vs カターレ富山                   △1-1

こんにちは。
今回もご覧いただき、ありがとうございます。

2021年も年の瀬ですね。
何かに浸りたいより寒いです。なんなんすかこれ。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

僕はJ3終了後、天皇杯と各種年代の天王山を、時には寒空で時にはぬくぬくと見ながら怠惰に過ごしております。

特にクリスマス以降の寒さはサッカー観戦には堪えます。しかしながら、今年の僕は西川ダウンとの新規契約をこぎつけたので、いつもの冬とは一味違う観戦スタイルを見せていこうという所存でございます。

さてさて、そんな話は置いといて。
本当に今シーズンの鹿児島ユナイテッドFCは激動の一年になりました。
まずはチーム関係者・サポーターの皆様、お疲れさまでした。

鹿児島は11勝7分10敗の勝ち点40(ave.1.42)、得点34(ave.1.21)、失点35(ave.1.25)の7位でJ3リーグを終了。
さらに、激動の主要因である、監督交代を1フェイズとした数字をおさらいします。

【勝敗(勝ち点)】
パパス体制:  7戦 2勝2分3敗、勝ち点8  (ave.1.14)
大島体制:     6戦 3勝1分3敗、勝ち点10(ave.1.67)
上野体制:   15戦 6勝4分5敗、勝ち点22(ave.1.47)

【得失点】
パパス体制:  得点8(ave.1.14)、失点10(ave.1.43)
大島体制:     得点7(ave.1.17)、失点5  (ave.0.83)
上野体制:   得点19(ave.1.27)、失点20(ave.1.34)

はい。富山戦レビューで半ば放り投げたこの数値を回収するときが来ましたね。

ざっくり振り返ると、勝ち点平均は大島→上野体制ではやや減。1試合あたり得点は徐々に増加し、上野体制で最高の1.27。一方で失点は大島体制で最小値を取りますが、上野体制でやや増加して1.34となりました。

成果あり、課題ありで終了したシーズンになりました。皆様はどう今シーズンを考えられましたでしょうか。

今回は、後半戦の私見をつらつら書き記していこうと思います。
それでは早速。ご笑覧ください。

縦に速く。ボール保持も。

前半戦ラストのH富山戦から始まった上野体制。
就任当初から見て取れたのは、シンプルに縦へに速い攻撃もするし、バリエーション増やしていこうぜ!という要素でした。就任コメントでも発していましたし、その後の試合からも取り組んでいましたね。

とはいえ、ボール保持で圧倒するコンセプトに変わりはありません。
後半戦で特に貢献が大きかったのはCBだったと思います。

ウェズレイからの楔のパスが攻撃のスイッチにもなりましたし、イヨハも運んで相手を引き付けて、自由になったSBやDHからラインブレイク出来るという機会も多く見られました。来季のイヨハ離脱が痛いです。

そういったCBのプレーを可能にしたのは周囲のピン留め意識でした。誰がどう引き付けて、どこを空けて、誰がオープンな状態で受けられるかという共通認識が出来ている場面は徐々に見ることが出来てきていました。岩手戦18分の崩しが今シーズンベストに思います。(以下参照)

TACTICALista_2021H岩手戦崩し2

岩手戦に限らず、人に食いつきやすいDF志向のチームには効果的に前進出来ていたように思います。それは、「縦に速い攻撃」を取り入れた結果、相手DFを前方に釣り出して裏へ、という場面が共有できたからではないでしょうか。

このようにロジカルに進められた場面を多く作れて、バリエーションも増やした結果、今シーズンの各体制の中で得点の最高数値を叩き出したのは納得感があります。

また、興味本位で相手のフォーメーションに着目して、上野体制での対3バック戦・対4バック戦の戦績を出してみました。そうすると、それぞれ4勝1分2敗・2勝1分3敗であり、3バック戦の方で戦績が良いことが確認出来ました。

この誘因として、WB誘導が上手く行っていたのではないかと思います。上図の様にSBが引き付けたり、SHが質で突破出来たり。3バックだと前線のプレス隊は多くなりますが、サリーで対応・鹿児島SBが内外を行き来し、前進出来ていた印象です。

一方で、4バック相手には4-4ブロックを崩しきれなかったり、相手SBのオーバー・インナーラップに対応し切れないこともありましたね。来季は4バック戦の発展も見たいところです。

ポジショナルでなくポゼッション

良い場面を作れた一方で、どうにもこうにも行かない試合もありました。21-23節のYS横浜・福島・宮崎戦辺りは特にですね。本当に地獄を見ました。

1分2敗という結果もそうですが、本当にショックだったのは、シーズン当初に鹿児島が志向したであろうことを現に行っている相手に、内容面で完膚なきまでに完敗したことです。

話を前半戦に及ぼすと、鹿児島のボール保持では、ハイプレスで追い込まれ、ボールを失い、優位に進められないということはありましたが、チーム構築における最初の段階でもあり、「まぁ、あるよね」と思えた劣勢を作られてはいました。

が、この3連戦は相手のボール保持の「ポジショナル」っぷりに翻弄され、相手の論理だった守備→攻撃の移行で劣勢に追い込まれ、自分たちのボール保持は「ポゼッション」の域を出ず、効果的に前進出来ないという泥沼に嵌ることになります。

さらに、ビハインドで終盤を迎えたYS横浜戦・宮崎戦で差を感じたのが、試合の締めくくり方でした。3-3-2-2を採用していたYS横浜は、素直に5-3-2でブロックを組み、4-4-2を採用する宮崎はリトリートへの移行をチームで意思統一出来ており、鹿児島はほぼ良い場面を作れず、試合を終えています。

なぜここに差を感じているかというと、後半戦の鹿児島は、前半こそロジカルに前進出来ることはあれど、後半にはオープンな展開となり、殴り合うことが多かったからです。後半戦には毎試合の様に「殴り合ったぜ!」という項目を書いていたように思います。そこでも問題は発生していましたが、この3連戦で一気に露呈した印象です。

オープンな展開になり、カオス成分が増すことで煽りを受けたのが、得点面でした。上野体制の時間帯別得点数を以下に記します。

0  -15分:5
15-30分:2
30-45分:8
45-60分:3
60-75分:1
75-90分:0

前項で記したロジカルな前進から優勢を取り、得点に結びつけられた前半には上野体制全得点の78%にあたる15ゴールが生まれましたが、カオス成分が増したり、相手が修正された後半には4ゴールと大きく差が出ました。

ちなみに、上野体制での時間帯別失点数も見てみます。

0  -15分:7
15-30分:4
30-45分:2
45-60分:2
60-75分:2
75-90分:3

たまに呟いたりもしたんですが、とりあえずこの数値を見て「なにをボケっと試合に入っとんねん!」という批判を誰に咎められるでしょうか。細かい守備基準の課題はありますが、まずはもっとシャンとせい!と言います。

一方で、オープンな試合があった中でも、終盤の失点は増えませんでした。ここは鹿児島の選手たちのカバーリング能力の高さであったり、再現性はなくとも比較的ボール保持は出来ていたことが影響しているのではないかと思います。

来季は90分通して徹底できるスタイル構築や「大人な」サッカーが出来れば、と思う課題が残りました。

あとがき

後半戦を振り返りました。

成果も課題もありましたが、三宅のトップ下やイヨハの帰還、山本の成長、田辺のアンカータスクなど、個の質向上で上手く行った部分も多かったですね。それについて良し悪しはありますが、今挙げた4人の内、3人はチームを離れることとなったので、やはりチーム全体としての上澄みが欲しいところです。

さて、来年に向けて大嶽直人氏が監督として就任発表がされました。
ちょっとIN/OUTを整理します。(12/31、13:00現在)

【IN】

福田望久斗(←東海学園大学)
薩川淳貴(←カマタマーレ讃岐)
圓道将良(←桐蔭横浜大学)
星広太(←SC相模原)
渡邊英祐(←関西学院大学)
井原伸太郎(←テゲバジャーロ宮崎)
有田光希(←ヴァンフォーレ甲府)
ロメロフランク(←アルビレックス新潟)
広瀬健太(←AC長野パルセイロ)

【OUT】

ジェルソン(→11/1契約解除)
酒本憲幸(→引退)
薗田卓馬(→?)
中村健人(→?)
三宅海斗(→?)
岩崎知瑳(→?)
田辺圭佑(→ロアッソ熊本)
イヨハ理ヘンリー(→FC岐阜)
秋山裕紀(→アルビレックス新潟)
グスタヴォ(→?)

過不足あったらすみません。
悲しいお別れもあれば、期待出来る出会いのリリースもあったここ最近。
大嶽さんがどんなサッカーをするのか存じ上げないので何とも言えませんが、兵站は徐々に整ってきましたかね。

チームのコンセプトの関しては、今シーズンを振り返ってどう梶切りしていくのか、まずは1/17の新体制発表を待つことにします。一貫したコンセプト発表を期待したいです。

それでは、今シーズン全ての振り返りを終わりにします。
また来年もお願いします。良いお年を!

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