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J3 第19節 レビュー【ガイナーレ鳥取 vs 鹿児島ユナイテッドFC】別の人の彼女になったよ

2021.9.18 J3 第19節
ガイナーレ鳥取 vs 鹿児島ユナイテッドFC

こんにちは。
今回もご覧いただき、ありがとうございます。

やってきました第19節、今回のお相手は鳥取戦。
金監督との再会です。

…金監督、別の人が監督になったよ。

あなたの時みたいに、試合後のコメントを引用しながらレビューを書いていられる私ではなくて。

一生懸命試合を見返して、なるべくちゃんとしてるの。

ピッチ上の現象を語ることを嫌って
ちゃんと選手達をね、見つめていて
「よくやってくれた」しか言わないから
ずっと確信が持てず、大人しくしてるの。

だからもう会いたいやごめんね。
だからもう会いたいやずるいね。
あなたはもうなったんだよね、別のとこの監督。
…そうですよね、取り乱しました。

僕の中に隠し持っていた、監督人事へのメンヘラ気質が爆発してしまいました。失礼しました。

いや、上野監督のコメントの方向性はそれはそれで良いんですが、レビュワー泣かせではあります。もうちょっと取り組んでいることを具体的に言ってくれたら、こちらとしては嬉しいなぁ、と思うだけで。はい。

改めまして、お久しぶりです金監督。
お元気ですか。

…そうでもなさそうですね。
鳥取は前節岐阜に勝利を挙げて、最下位は脱したものの4勝2分11敗の14位。きっと心中穏やかでは無いはずです。

泥舟状態だった高木体制から引き継いだハンデはあるものの、指揮した10試合は2勝1分7敗。くー、厳しい。

勝利こそした前節岐阜戦も、結果こそ快勝でしたが、内容や選手コメントを見ると、閉塞感が漂っている雰囲気もします。難しいですね、途中就任は。

それでも、金監督がやりたいんだろうなぁという構造は見えてきました。

今回は、金監督の鳥取がやらんとすること・手が届いていないことをコメントを踏まえながら見ていきつつ、上野体制の鹿児島もアップデートされた部分に触れていければと思います。

ご笑覧ください。

0.スターティングメンバー

画像1

まずは鳥取。
前節からの変更は、25番秋山→21番永島。
快勝した前節からの流れ、スタメン固定する金監督の采配を考えても妥当なところでしょうか。

続いて鹿児島。
大幅なターンオーバーを敷きましたね。

グスタヴォ→山本、五領→山谷、酒本→秋山、田辺→八反田、ウェズレイ→藤原、砂森→衛藤と6人の変更となりました。

普段から試合に絡んでいる4人、上野体制のFW像に適合する山本は頷けましたが、ここで藤原が帰ってきたのは驚きました。

実際にプレーでも守備・ビルドアップと無難にこなしていたと思います。流石。

では早速。
次項では、金監督率いる鳥取の印象から見ていきます。

1.鳥取の保持

鳥取のボール保持時は、

①両SBが大外を前進。
②SHがインナーに入り、最前線で張る。
③FWの一人がフリーマンとなり、空いたスペースに落ちてボールを受け、ビルドアップの出口になる。

という仕組みが基本構造でした。

後半に25番秋山、19番清永が投入された際には実況が「フォーメーションを変更している鳥取」としきりに言っていましたが、4-4-2のまま基本構造に沿っていたと見るのが妥当かと思います。

ただ、2点ビハインドの中での時間経過によりSBが立ち位置を上げたこと、選手交代により27番小田垣がFWに入り、フリーマンの役割が明確になったことなどの影響で、システムが変わったように見えた所以はあります。

そして、この基本構造はあまり上手くいっているようには見えませんでした。
金監督のHTコメントからも、課題が感じ取れます。

もっとボールを繋げるはずだ。どう動かしながら仕掛けるのか、もっと具体的なアイデアを持って。マイボールになった時、速い攻撃を。

特に2文目、基本構造は設定されているものの「どう動かしながら仕掛けるのか、もっと具体的なアイデア」が無いために、フリーマンがどこで貰うのか、後方の選手はどこにボールを付ければ良いのかが分からず、上手く前進出来なかった、のように見えました。

鹿児島としても、相手が半ば強引に前進してくるので、守備セットが出来ていればある程度容易にボール奪取が出来たと思います。

鳥取の今節を見ると、チーム全体の精度もそうですが、下がって前進に関われるFWとして、萱沼は欲しいだろうなあと思っています。フリーマン役は選手交代で入れ替わり立ち代わりしていたので。でもやめてね、金さん。

また、ポジトラ・速攻についても苦労していそうです。

今節は鹿児島ビルドアップの中で、鳥取が前進してボールを奪い切られる場面が何度か見られました。

(新井泰選手 試合後コメント)
ー攻め込むシーンは前半からあったがゴールに至らない課題をどこに感じているか。

ボランチのところで前に押し出してボールを取ることも出来たんですが、そこから先が、単調になっていたり距離感が遠かったりして、ゴール方向に行ける場面が少なく苦し紛れのシュートなどがあったと思います。

前節、岩手のポジトラ精度を見ているというのもありますが、どこに走るのか・誰が走るのかという共通認識は数段劣るレベルだったと思います。

尤も鳥取の選手・監督共に課題は認識しており、取り組んでいるであろう部分なので今後のアウトプットも見ていかなければというところですかね。

2.鳥取の非保持と鹿児島の崩し

続いては鳥取の非保持メイン。
こちらはボール保持より厳しい現実でした。

4-4-2は変えずにコンパクトな守備セットを構えようとしますが、人に付いて行く意識が強いために、後方のスペースを明け渡すことが多く見られました。

特に、サイドにボールが寄った時には、逆サイドのSHまで圧縮していましたが、各々チェックが甘く、ボールホルダーとしてはある程度余裕を持てるため、簡単に逆サイドに展開出来る場面は多かったと思います。

そのため、CBや落ちてきたDHが簡単に2トップ脇を取れることで鳥取の中盤ラインに選択肢を与えられたり、SBがSHとの関係性を活かしそのまま前進出来ていました。

また、コンパクトな4-4-2ブロックを組めている時も、鹿児島としては大外が自由に使えるので、SHもしくはSBのインナーラップがハマりやすい構造になっていました。

これまでの鹿児島の積み重ねを見ていると、空いたスペースを有効に使い、前進出来るのは予想出来ましたが、このレベル相手なら当然出来るべきことを当然出来るようになってきていると感じます。

積み上げが間違っていなかったと感じる試合になりましたね。

3.右サイドのチェーン

積み重ねについてはもう一つ。
右サイドにおけるSB・SH・トップ下の三角形の関係性の良さが何度も見られました。

特に11分のような旋回では、相手の目線を混乱させて大外に付けられており、また何度も見られていたのでユニットレベルで練度が高まってきたと見ることが出来ます。

また、フォゲッチと秋山の互換はよりスムーズでした。6,10分など、インナーラップを仕掛けるフォゲッチとそれを見てフォゲッチの定位置に落ちる秋山の関係性がありました。

前節から、立ち位置で相手を混乱させていたフォゲッチの右サイドですが、誰が出ても同じように崩せたことはプラス材料になりそうです。

一方の左サイド。
32分には米澤・衛藤・秋山のチェーンの連動が見られましたが、右に比べて少ない回数に終わりました。

恐らく、右で前進左の米澤で勝負だったり、2点目のように米澤が逆サイドでフィニッシャーになるような機会が増しているからだと思います。

なんにせよ、新加入の秋山、特に後半戦怒涛の活躍を見せているフォゲッチの台頭によって、お得意パターンは見えてきています。

今節はそのフォゲッチの得点・アシストで勝利した象徴的なゲームとなりました。

これをレベルが上がった時、例えば次節岐阜戦などでどれだけ表現出来るか見ていきたいですね。

4.あとがき

結果・内容共に完勝だったと言っても良い鳥取戦でした。

話は選手起用に戻りますが、秋山も鹿児島で初めてスタートからの起用で、無難にこなしてくれて一安心でした。

一方で彼が、DH落としに伴って列を下ろした時、それでは相手はプレス掛けやすいなぁという立ち位置を取っていた場面もちらほら。

やはり秋山の強みを生かすなら、起用はトップ下の位置が妥当なのかなと思いました。

尤もまだまだ伸びそうな選手なので、新境地を切り開いて鹿児島に来た意味を成して欲しい気持ちもあります。

いずれにせよ、頑張れ秋山選手。
期待しています。

さてはて、チームに話を移すと昇格圏と勝ち点7差の8位。1試合消化が多い福島が敗れ、同じく宮崎が岩手を引き止めてくれたので状況は良くなりました。

が、厳しいのもまた然り。
直接対決が多く残っているのでそこを取れるかが鍵になりそうです。

というわけで。
次節岐阜戦、後半戦の直接対決2つ目。
なんとしても勝利を挙げたいところです。

試合後のレビューでも是非こちらを。
来週もよろしくお願いします。

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