J3 第26節 レビュー【ヴァンラーレ八戸 vs 鹿児島ユナイテッドFC】対ハイプレス戦の成長
2021.11.7 J3 第26節
ヴァンラーレ八戸 vs 鹿児島ユナイテッドFC
こんにちは。
今回もご覧いただき、ありがとうございます。
今回のお相手は八戸。
ヘッダーの画像は、八戸で検索したら出てきました。
八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館だそうです。
八戸観光には定番なんですかね。星4.2の評価です。
楽しそうですね。行く機会があれば行ってみようかな。
話は八戸戦に戻ります。
対戦前の八戸は、6勝7分10敗の勝ち点25、11位の成績でした。
良いチームなんですが、僕の中の印象とはちょっと違ったチームに見えました。早速振り返っていこうと思います。
ご笑覧ください。
スターティングメンバー
鹿児島のスタメンから。
前節負傷交代の衛藤に代わって、砂森が入りました。大丈夫でしょうか、衛藤。また、山谷に代わって五領が先発。この辺は相手に合わせてというよりは、マネジメントの一環でチャンスを与えてるのかなと思います。
一方の八戸。
5番赤松→48番相田、10番新井山→19番島田、7番中村→9番上形の3人の交代。
怪我で離脱していた19番島田が帰ってきました。
また5番赤松は出場停止ですが、新井山はメンバー外。調べてみたら、今シーズンあんまり出てないという事実に気付きました。そうかぁ。
でも大勢に変化は無い八戸のスタメンだったと思います。
前半
誘い込む3-2ビルドアップと裏への意識
八戸はハイプレス志向でプレッシングします。3-4-2-1の陣形そのままに1トップ2シャドー・DH・ボールサイドのWBが出てきて嵌め込み。
戦術的にどこに追い込むのかが洗練されているようには見えませんでしたが、強度は高く、認知的に大きい負荷が掛かっており、前進で引っかかることもあったと思います。
そのプレッシングに対して序盤の鹿児島は、CB2人+片側SBの3枚で最終ラインを構成してのビルドアップを多用しました。DH2枚と合わせ、3-2の形となります。
これは八戸の1トップ2シャドー+DH2枚と数が合ってしまうので、八戸としてはプレッシングをしやすくもなりますが、それにより敢えて引き出し、大西までビルドアップに参加してプレッシングを回避しようとしていました。
大西はSBや最前線へのフィードも正確にこなしてくれるので、こういうハイプレスを仕掛けてくる相手ほど長所が出ますね。
また八戸のプレッシングは、最終ラインも高い位置を取り、2nd-3rdライン間のスペース消去・鹿児島SBまで出るWBの移動距離を短くしようとします。
そのため、八戸最終ラインを押し下げるべく、いつもより最前線の選手たちも裏への意識が強かったように思います。シンプルにSHにボールを入れたり、山本が張って出来る限り最終ラインを押し下げて、その後方から三宅が追い越そうとする場面が見られました。
(三宅・試合後コメント)
--PK獲得を振り返って。
相手の最終ラインが5枚で堅かったので、山本(駿亮)を張らせておいて、その周りを自分が動いて崩すことが目的でした。それが結果的にファウルにつながったので、良かったなと思います。
中盤の数的優位
その裏への意識もあり、ライン間が空いてくる場面もちらほら出てきます。
中盤3人の互換性がかなり高くなっているのは上野体制の特徴の一つだと思いますが、その入れ替わりの中で、ビルドアップの出口になれることも増えてきました。
25:40や39:00あたりは好例で、八戸WBを鹿児島SBまで追わせることで、4vs3でギリギリの人数比になった八戸最終ラインが、ライン間の鹿児島の選手に出て来れない盤面を作れたのは良かったです。
後半
オールコートマンツーマン
前半は1-1で折り返したものの、ライン間で鹿児島の中盤の選手に手が届かなくなり始めた八戸。後半の入りには数的同数を受け入れ、オールコートマンツーマンのようなやり方にシフトチェンジしたように見えました。
その結果としてデュエルが多発し、スペースと時間を確保することで前進出来るというシーンは少なくなってきました。また、トランジション局面では八戸に分があるためすぐにブロックを敷かれてしまうので、なかなか攻め手も無く、安定・効果的なボール保持が出来なくなった時間帯でした。
ただ、58分には米澤が投入されます。最終ライン近くから最前線までの上下動も厭わない選手が入ってきたことも合わさって、なんとかカバー出来ていだと思います。
SBをレイオフ先に
最終盤の八戸は、再び前半と同じ様相のプレッシングを敷いてきます。というより流石に出足が悪くなってきました。
とはいえ、鹿児島は米澤や山谷の投入もあり、裏への意識や脅威も増しています。そのため、中盤の選手がライン間で受けられたり、八戸WBが鹿児島SBまで前進してプレッシング出来ない場面が多く出てきました。
そのため、人に食いつく八戸ディフェンスを逆手に取り、中盤の選手→フリーになれているSBにレイオフ→最前線の選手へ、という流れがスムーズに出来てきます。
これまでの試合でも、前線に入ったとしてもレイオフ先に困り、後ろからチェックされロストという場面が多々見られたので、今節のようにフリーになれる選手が認知し、前線の選手もそこを使えるという場面が見られたのは吉兆でした。
ボランチ脇を取る八戸
八戸はボール保持でポジショナルに組み立ててくるチームだというイメージがありましたが、今節に限って言えば守備でのアグレッシブさが先行し、ボール保持はあんまりな印象でした。
(葛野監督・試合後コメント)
――試合を振り返って
「しっかり前からプレッシャーをかけていくことを心掛けて試合に入りました。90分通して、守備の形はできていたのかなと思います。ただ安定してビルドアップするところや最後の精度のところは修正が必要だと感じています。ボール保持をより意図的にできていればチームとしても楽な展開になったかと思いました。今回のスコアは結果的に選手たちがよく90分走ってサッカーをしてくれたなと。勝点3を取れなかったことは非常に残念ですし、申し訳なく思います。」
それでも、狙うところ・どこをビルドアップの出口にするかの共通認識が持てているんだろうな、と感じたのが最終盤、DH脇を取られ続けた部分です。
鹿児島のDHは広範囲に守備へ行く傾向があるに加え、八戸DHのビルドアップ時のサポート位置により、持ち場を離れることがありました。
その時に、その空けたスペース・脇のスペースを誰かが埋めてボールを受けられていました。時にはHVが前進し、時にはシャドーが降りてきて受けていたので、まさしくチームでの共通理解が出来ているんじゃないかと思います。
鹿児島としてはこういった時間を増やされ、非保持の時間が長くなると、宮崎戦の二の舞まであると思っていましたが、助かりました。というより、その試合によるバラつきが昇格圏の宮崎などのチームと下位チームとの差なのかもしれません。
試合はそのまま1-1。
手痛いドローとなりました。
あとがき
盤面上の変化からは熟成してきている場面が見られてきていると思います。対ハイプレスにも対応出来てきました。が、少し遅かったです。
今シーズンはもはや奇跡待ちの状態となりましたが、まぁまずは自分たちが勝利をいくつ積み重ねられるかですからね。
やっぱりファイナルサードのパターンはもう少し欲しいと感じます。今年も大卒FW獲得のリリースが来ましたが、選手個人質だけでなくグループ戦術面の成熟が見たいです。
そこは上野監督の得意なところだと信じているので、残り今シーズン少しでもパターンが増えれば良いなというのと、それにより少しでも多くゴールを見たいなというのと、あくまで、あわよくばを信じていたいなというのと。
次はまた難敵、調子を上げてきている今治ですね。
こういう試合で勝ちたいものです。
また次節もよろしくお願いします。
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