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【AIと戦略】まとめ!すぐAI導入しよう! 『予測マシンの世紀 第四部』#31

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。

目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定
第3部 ツール
第4部 戦略
 第十五章 経営層にとってのAI
 第十六章 AIがあなたのビジネスを変容させるとき
 第十七章 あなたの学習戦略
 第十八章 AIリスクの管理
第5部 社会(AIと人類の未来) 

いよいよ第四部、戦略を見終わりました。キーポイント(まとめ)を軸に、振り返ります

■AIリスクの管理
・第十五章 経営層にとってのAI

キーポイント(まとめ)
・C-suiteのリーダーシップは、AI戦略をIT部門に完全に委ねてはいけない。なぜなら、強力なAIツールは、組織の戦略に対して実行するために行われるタスクの生産性を向上させるにとどまらず、むしろ戦略そのものを変えることにつながる可能性があるからだ。AIが戦略の変更につながるのは、次の3つの要素がある場合だ。
(1)ビジネスモデルにコアとなるトレードオフが存在する(例:shop-then-shipとship-then-shop)
(2)トレードオフが不確実性の影響を受けている(例:ship-then-shopによる高い売上が、顧客が何を買うかという不確実性に起因する返品による高いコストを上回る)
(3)不確実性を低減するAIツールがトレードオフのスケールを変え、最適な戦略がトレードの一方から他方に変わるようにする(例: 顧客が何を買うかを予測することで不確実性を低減させるAIは、従来のモデルよりもship-then-shopによるリターンが大きくなるような規模である。)

・AI戦略にC-suiteのリーダーシップが必要とされるもう一つの理由は、ビジネスのある部分にAIツールを導入すると、他の部分にも影響を及ぼす可能性があるからだ。アマゾンの思考実験では、ship-then-shopモデルへの移行の副作用として、返品された商品の回収ビジネスへの垂直統合が行われたが、これはおそらく、近所中で毎週集荷を行うトラックの艦隊を使ったものだろう。つまり、強力なAIツールは、ワークフローや企業の境界線を大幅に再設計することになるかもしれないのだ。

・予測マシンは、判断、行動、データなどの補完要素の価値を高める
判断力の価値が高まることで、組織の階層が変化し、異なる役割や異なる人を権力のある地位に置くことのリターンが高くなるかもしれない。
また、予測マシンによって、マネージャーは、個々のコンポーネントの最適化を超えて、より高いレベルの目標の最適化を図ることができるようになり、その結果、組織の目的に近い意思決定を行うことができるようになる。予測の影響を受ける行動を自分のものにすることは、従来の企業がAIから得られる価値の一部を取り込むことができる競争上の優位性の源泉となる。しかし、強力なAIツールが大きな競争上の優位性をもたらす場合、新規参入企業がアクションを所有することに垂直統合し、そのAIを競争の基盤として活用する場合もある。

AIは経営戦略そのものを変えるため、経営層が本気で取り組む必要があります。業務ワークフローが変わってしまうためです。三つの要素、トレードオフの存在、そのトレードオフの原因が不確実性、不確実性を解消するAI、に目を光らせる必要があります。

・第十六章 AIがあなたのビジネスを変容させるとき

キーポイント(まとめ)
・戦略的に重要な選択は、どこで自社のビジネスが終わり、どこで別のビジネスが始まるのか、つまり企業の境界線を決めることだ(例:航空会社との提携、自動車部品製造のアウトソーシング)。この選択には不確実性が影響する。予測マシンは不確実性を低減するため、自社と他社の境界線に影響を与えることが出来る。

・不確実性を低減することで、予測マシンは契約書を作成する能力を高め、企業がデータ、予測、行動に焦点を当てた資本設備と労働力の両方を契約するインセンティブを高める。しかし、予測マシンは、判断力を重視した労働力を契約するインセンティブを低下させる。判断の質は、契約で規定することが難しく、モニタリングも困難である。もし、判断力が十分に規定できるのであれば、それはプログラムされたものであり、人間が判断力を提供する必要はない。AIの普及に伴い、判断力が人間の重要な役割になると思われるので、社内雇用が増え、外注労働が減るだろう。

AIはデータを所有するインセンティブを高める。それでも、データが提供する予測が組織にとって戦略的に不可欠でない場合には、データの契約が必要になることがある。そのような場合には、データを購入してから独自の予測を生成するのではなく、予測を直接購入するのがベストかもしれない。

AIを取り入れて新たな戦略を検討する際、自社ビジネスの境界線を改めて見極め、もしかしたら変える必要があります。本では航空会社の例がありました。今まで課題であった不確実性が解消されるので、労働資源を最適化できます。その影響で今まで難しかったことが自社でも出来るため、外注が減る可能性があります。そして、様々予測可能なので、人間による判断の価値が上がります。

・第十七章 あなたの学習戦略

キーポイント(まとめ)
・AIファーストの戦略に移行することは、これまでの最優先事項をダウングレードすることを意味する。言い換えれば、AIファーストはバズワードではなく、本当の意味でのトレードオフを意味する。AIファースト戦略では、収益の最大化、ユーザー数の最大化、ユーザーエクスペリエンスの最大化といった他の目標を妥協することになっても、予測精度の最大化を組織の中心的な目標とする。

・AIがディスラプションを引き起こす可能性があるのは、既存企業がその技術を採用する経済的インセンティブが新興企業よりも弱いことが多いからだ。AIを搭載した製品は、予測マシンを学習させるのに時間がかかるため、最初は劣っていることが多い。しかし、一度導入されたAIは、学習と改良を続け、知能の低い競合製品を置き去りにすることが出来る。既存の企業にとっては、自分の業界に適用されたAIの進歩を傍観し、様子を見るというアプローチをとりたくなるものだ。しかし、競合他社がAIの学習や導入で先行してしまうと、追いつくのが難しくなる企業もあるだろう。

・もうひとつの戦略的な決断は、AIツールをいつ世に出すかというタイミングだ。AIツールは、最初は顧客から離れた社内で訓練される。しかし、実際の運用状況や大量のデータにさらされることが多いため、商用に展開した方が学習速度が速くなる。早期導入のメリットは学習速度の速さであり、コストはリスクの大きさ(適切に訓練されていない未熟なAIに顧客をさらすことによるブランドや顧客の安全性へのリスク)である。Google Inboxのように、トレードオフが明確なケースでは、学習の速さのメリットがパフォーマンス低下のコストを上回っていることがある。一方、自律走行車のように、商用製品を早期に開発することで得られる利益の大きさと、準備が整う前に製品をリリースした場合に発生するエラーのコストの大きさを比較すると、トレードオフはより曖昧なものになる。

さて、AI中心に戦略を組む際、大事なことは覚悟することです。売り上げ最大化などのKPIを差し置いて、予測精度の最大化をKPIにしなければならないからです。はじめは精度低いため、もどかしい思いをします。これが、既存企業がAI導入を渋る理由です。イノベーションのジレンマでしたね。しかし、一度回り始めると一気に市場を席巻します。そのため、早く出すのが重要ですが、不完全なAIを世に出してバッシングられる可能性というコストもあります。このトレードオフをどう考えるかが経営者の判断となります。

・第十八章 AIリスクの管理

キーポイント
AIにはさまざまなリスクがある。ここでは、その中でも代表的な6つのタイプをまとめた。
1.AIによる予測は、差別につながる可能性がある。たとえそのような差別が不注意なものであっても、責任が生じる
2.AIは、データが少ないと効果がない。特に、自信を持って提供した予測が間違っていたという「未知の既知」タイプの品質リスクが発生する。
3.誤った入力データは予測マシンを欺くことになり、ユーザーはハッカーの攻撃にさらされることになる。
4.生物多様性と同様に、予測マシンの多様性は、個人レベルとシステムレベルの結果の間のトレードオフを伴う。多様性が低いと、個人レベルのパフォーマンスは向上するが、大規模な故障のリスクが高まる。
5.予測マシンは、知的財産権の窃盗や、弱点を特定できる攻撃者にさらされる可能性がある。
6.また、フィードバックを操作して、予測マシンに破壊的な行動を学習させることも出来る

リスクは様々ありますが、この本を元に解消可能です。

至急AIファーストへ。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/


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