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【AIと社会】いよいよ最終部 社会はAIで変わる、すでに変わっている『予測マシンの世紀 第五部』#1

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。

目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定
第3部 ツール
第4部 戦略
第5部 社会
 第十九章 ビジネスを超えて 

いよいよ最終部!!

■ビジネスを超えて
予測マシンによるビジネスの変化について、さまざま見てきました。今まで見てきた分だけでもAIにより社会構造自体が変わることは分かったと思います。ビジネスが変化するということは、社会が変わります。この点が本の最終部で詳細に議論されています。
それでは、まずは本に記載されているキーポイント(まとめ)を見ていきます。

キーポイント(まとめ)
・AIの台頭は、社会に多くの選択肢をもたらします。それぞれがトレードオフの関係にある。現段階では、技術的にはまだ発展途上だが、社会レベルでは3つのトレードオフが特に顕著になっている。

第一のトレードオフは、生産性と分配だ。多くの人が、AIは私たちをより貧しく、より悪くすると指摘している。しかし、そんなことはない。経済学者は、技術の進歩が私たちをより良くし、生産性を高めることに同意している。AIが生産性を向上させることは間違いない。問題は富の創出ではなく、分配だ。AIは二つの理由で所得格差の問題を悪化させるかもしれない。
第一に、AIが特定の仕事を引き継ぐことで、残りの仕事をめぐって人間同士の競争が激化し、賃金が低下して、労働者が得る所得と資本家が得る所得の割合がさらに低下する可能性がある。
第二に、予測マシンは他のコンピュータ関連技術と同様にスキルバイアスがかかり、AIツールが高スキルの労働者の生産性を不均衡に高める可能性がある。

二つ目のトレードオフは、イノベーションと競争だ。多くのソフトウェア関連技術と同様に、AIにもスケールメリットがある。予測精度が高まればユーザーが増え、ユーザーが増えればデータが増え、データが増えれば予測精度が向上するという具合だ。予測精度が高ければユーザーが増えてデータが増え、データが増えれば予測精度が向上するというように、企業はコントロールできる範囲が広がれば予測マシンを作るインセンティブが高まるが、規模の経済性と相まって独占的になる可能性もある。より速いイノベーションは、短期的な視点では社会に利益をもたらすかもしれないが、社会的あるいは長期的な視点では最適ではないかもしれない。

三つ目のトレードオフは、パフォーマンスとプライバシーだ。AIは、データが多いほどパフォーマンスが向上する。特に、より多くの個人データにアクセスできれば、予測をよりパーソナライズすることが可能になる。個人データの提供は、多くの場合、プライバシーの低下を犠牲にする。欧州のように、国民のプライバシーを守るための環境を整えている国もある。このことは、国民に利益をもたらし、さらには、個人が自分の個人データを取引したり、販売したり、寄付したりするかどうかをより簡単に決めることができる、よりダイナミックな個人情報市場の条件を作り出すかもしれない。一方で、プライバシーを守ることにコストがかかる環境では摩擦が生じ、データへのアクセスが良好なAIがより競争力を持つ市場では、欧州企業や市民が不利になる可能性もある。

・この三つのトレードオフについて、管轄区域は、トレードの両サイドを考慮し、全体的な戦略と市民の好みに最も合致した政策を設計する必要がある。

AIを語るうえでは、トレードオフがキーワードです。社会レベルで予測マシンを導入するとすると、三つのトレードオフが生じます。
生産性と分配のトレードオフ
イノベーションと競争のトレードオフ
パフォーマンスとプライバシーのトレードオフ

詳しく見ていきます。また明日。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/


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