NAKASA

島根県職員。えびす・だいこく100キロマラソン18回完走。永久ゼッケン4。そのほか、各…

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島根県職員。えびす・だいこく100キロマラソン18回完走。永久ゼッケン4。そのほか、各種マラソン大会に出場。著書に「シルクロード悠々記―中国滞在の42日―(近代文芸社)」「人生は100キロマラソン(銀河書籍)」などがある。HP「神々の里出雲の地を訪ねて」を開設。

最近の記事

2023年総括

 時の流れは速いもので、まもなく2023年も終わりです。  職場関係で振り返ってみると、今年は2月に人員の入れ替えをせざるを得ない事情があり、小さな学校にとっては運営に支障をきたしかねない状況のもと緊張感をもったスタートでした。  新年から新年度の4月を見据えて、早々に整理を進める異例の展開。3月中旬から3月末まで厳しかったですが、なんとか無事に年度末を迎えることができました。  そして、自分も異動。職名は変わらないのですが、県下で一番、児童生徒数が少ない浜田ろう学校から県下

    • 幸せに生きる方法96最終回

      あとがき  「幸せに生きる方法」は、私にとって最大のテーマです。  「『幸福』は、『自由』『平等』の上位に位置する最大の価値である」  憲法学で学んだことは正しいと思っていますし、それを尺度に「幸福」というものを考えてきました。  ただ実体験からすると、どうしたら幸福感を味わえるのか自分の中で整理できないで過ごしてきました。  「幸福」は、「よくわからないもの」だと思うのです。  それゆえ、「幸せに生きる方法」もよくわからない状態でした。  それでも人生の歩みの中での体験や数

      • 幸せに生きる方法95

        幸せに生きる唯一の方法は他者への貢献  「幸せに生きる唯一の方法は他者への貢献」  「幸せに生きる方法」は、結局はアドラーの述べたこの言葉に集約されるのだと思います。  人は、他者へ貢献する際に「最も大きな幸福感」を得るのだと思います。  人は自由に好きなことが何でもできたからといって、心の底から幸福を感じられるわけではありません。  すべては、他者との関係を念頭において考えるべきなのです。  つながりを大切に。  自分だけではなく、誰かのために。  誰かが幸せに生きられ

        • 幸せに生きる方法94

          運動の効能  「運動は、身体に好影響を与える」  これは、以前から知っていましたが、「ストレスを下げ、心の健康面でも好影響を与える」ことは脳科学の書籍を読んで初めて知りました。  「身体だけでなく精神面も良好に保つ」  運動の効能は、改めて素晴らしいと思いました。  私の場合、30代前半で糖尿病の診断を受け、運動療法として毎日の運動が欠かせない状態となりましたが、実は「精神面を良好に保つ」ことにもつながっていたのだと今になって思います。  ずっと定期的に運動を続けてきたおかげ

        2023年総括

          幸せに生きる方法93

          自制心を持つ  脳科学者中野信子氏は、「脳はあいまいなままにしておくことが苦手」と述べておられました。 そして、あいまいなままにしておく訓練を積んだほうがよいとも述べておられます。  この世の中、確定的な真実は少ないですから、この精神態度は必要なことと思います。言い換えれば、「自制心を持つ」ということです。  これは、人間関係を良好に保つ秘訣ともいえるでしょう。  具体的には、「よく見る、よく聴く、よく考える」ことが大切だと考えています。  私の場合、状況によって最初は自

          幸せに生きる方法93

          幸せに生きる方法92

          丁寧に生きる  現代においては、大量のモノ・情報が行き交い、必要であれば何でも手に入りますし、情報検索もすぐ行えます。  便利な社会になったものです。 便利になったからその利益を享受する人も幸せになったのでしょうか。  必要以上のモノ・情報が入ってきて、逆に疲労感を覚えている方も多いのではないでしょうか。  「幸せに生きる」には、モノを大切にし、情報の制御なども必要だと思います。  元「暮しの手帖」編集長松浦弥太郎氏は、「伝わる力」「いちからはじめる」等の著作において、丁

          幸せに生きる方法92

          幸せに生きる方法91

          経済成長を止める  斎藤氏の著書「人新世の『資本論』」には、難しい用語もたくさん出てくるのですが、衝撃的なのは「今すぐ、経済成長を止めなければ人類の未来はない」と述べておられることだと思います。  私たちは、裕福な生活を送り、大量の二酸化炭素を排出し続けてきました。  もはや温室効果による気象変動は止めようがなく、私たちの生活を脅かしています。  2023年、今年の死ぬような夏の暑さからすると斎藤氏の指摘は正しいと思わざるを得ません。  今の生活を改め、二酸化炭素の排出を抑制

          幸せに生きる方法91

          幸せに生きる方法90

          平等であること  憲法学においては、「幸福」は「自由」と「平等」という価値によって支えられています。  「平等」は、そもそも他者との関係に着目した概念といえるでしょう。  現代においては、経済格差が拡大し、経済的に恵まれない階層の人々に機会が「平等」に与えられていないことが課題となってきています。  「誰もが幸せに生きる」には、「平等」に機会が確保されていなければなりません。  誰も取りこぼさない制度設計が望まれます。  経済学者の宇沢氏が「社会的共通資本」の理論を提唱したの

          幸せに生きる方法90

          幸せに生きる方法89

          自由であること 幸せに生きるためには、「自由」が確保されていなければならない。 「自由」の価値の重要性については、学生時代、憲法の講義において、一生懸命学びました。 「幸福」を支える価値体系として「自由」と「平等」がありますが、その頃は「できるだけ広く『自由』が認められるほうが人は幸せになれる」と疑うこともなく考えていました。 当時は、ソビエト連邦を中心とした社会主義体制が崩壊していった時期でしたし、国内でも経済バブルで沸いていましたので、そうした時代背景の影響を多分に受けて

          幸せに生きる方法89

          幸せに生きる方法88

          挑戦すること  自らの幼少期、「可もなく不可もなくの人生を歩めたらなあ」と思っていたこともあります。 夢に向かって挑戦していくことは、自らに負荷がかかることですし、傷つくし、自分の弱さに向き合うことにもなります。 痛い目に合いながらも挑戦することに意味があるのでしょうか。 今まで、たくさんの挑戦をしてきました。 しかし、「挑戦すること」と「幸せに生きる方法」との関係は、長い間、理解できないでいました。 この関係性を明確に理解させてくれたのが心理学者アドラーでした。 アドラーは

          幸せに生きる方法88

          幸せに生きる方法87

          第8章 幸せに生きる方法  「幸せに生きる方法」について、自らの生い立ち、息子のこと、様々な学問領域から考えてきました。  結局、どうしたら人は幸せに生きることができるのでしょうか。  最終章では、「幸せに生きる方法」の要点をお示しできたらと思っています。

          幸せに生きる方法87

          幸せに生きる方法86

          希望を持つことは幸せか  「幸せな状態にある人には、希望は必要ありません」 これは、「幸せな状態にある人は『幸せに生きる方法』を考える必要がない」という関係と似ています。  それでは、「希望を持つことは幸せではない」ということなのでしょうか。  「希望を持つ」ということは、苦境に立たされながら何とか前に進もうとしている状態なのでしょう。とても幸せな状態とはいえません。  しかしながら、人にとってこの過程はとても大事だと思うのです。  「人は失敗を通じてしか学ばない」とアドラー

          幸せに生きる方法86

          幸せに生きる方法85

          第7章 希望学の領域より  「希望学」は、少し聴きなれない学問だと思います。「希望学」の正式名称は、「希望の正式科学」というのだそうです。  「希望学」の中心的学者は、東京大学教授玄田有史氏。たまたまですが、私の出身高校の先輩にあたります。  そういう関係もあって、島根県にも来県されることがあり、直接、講演を聴く機会もありました。  「希望」とは、「よくわからないもの」と玄田氏はよく言われます。 「希望」と「夢」の違いは、そして「幸福」との関係は、謎に満ち満ちています。

          幸せに生きる方法85

          幸せに生きる方法84

          脳の働きを理解し幸せに生きる  脳科学は、「人は不安を抱え、素早く危険を察知し逃げ延びてきた生物」という基本線に立って、脳の働きを説明しています。  私たちは、まず脳の働きを理解したうえで、脳科学の視点で「幸せに生きる方法」を考えるべきだと思います。  脳を健全に保つという観点からは、「幸せに生きる方法」として「運動」「他者とのつながりを保つこと」が挙げられます。  逆に、脳の働きの行き過ぎを制御するという観点からは、「幸せに生きる方法」として「あいまいなままにしておく力

          幸せに生きる方法84

          幸せに生きる方法83

          正義中毒の危険  私たちは、一定の社会的ルールをつくり、集団の中で生活しています。ルールに反する行為をした人はなんらかの制裁を受けます。  現代においては、SNSの普及もあって、ルール違反を犯した人を不特定多数の人が過剰なまでに排撃し死に至らしめる事案も出てきました。  このとき、脳はどのような働きをしているのでしょうか。 こうした場合、脳内では、神経伝達物質であるドーパミンの分泌が増加し、気分が爽快になると言われています。(「うつ」の状態と逆です) 「正義を振りかざす」

          幸せに生きる方法83

          幸せに生きる方法82

          あいまいなままにしておく力  「人は不安を抱え迷う生き物。それゆえに先々の危険を察知し生き延びてきた」  脳科学者の中野信子氏もハンセン氏と基本線は同じように感じられます。ただ、中野氏の場合は、脳の働きを理解したうえで、気をつけなければならないことを提示している点が特徴的です。  中野氏は、「脳は怠け者で、あいまいなままにしておくが苦手」と指摘します。「あいまいなままにしておくこと」は脳に負荷がかかり、どちらかに決めてしまったほうが働かなくて済むので楽なのです。  確かに、結

          幸せに生きる方法82