悪夢日記 四 『静かの庭、雪』
どこか日本家屋の縁側に座っていた。
見つめる先には雪が降っており、これまた日本庭園、といった風の庭は静かに白んでいた。
大きな岩も、次第に苔むしたところが見えなくなり、ただ一面の白になった。何もなかった。
この世界には音がなかった。なにひとつ聞こえなかった。
動いているものは雪だけであった。私は呼吸をしていなかった。
苦しい。空気が重い。空気ではない、重力、強い重力が働いているのだ。しかし私はそのような状態でも、あぐらをかいたまま庭を見ていた。指ひとつ動かせなかった。このまま見えない力で死ぬのだと思った。
雪の降る庭が美しかった。
——夢であった。
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