死闘ジュクゴニア_マガジン

総集編・第二章『翼』 #死闘ジュクゴニア

今すぐ連載に追いつきたい。そんな貴方のための総集編プログラムです。

本編目次】【キャラクター名鑑【総集編目次】

第十八話「摩訶不思議」

 調布の街で繰り広げられた戦いは終わりを告げた。ミヤビは男の前に跪き、事態の報告をおこなう。その男の名はハンカール。大元帥バガンと並ぶ帝国の重鎮。帝国宰相、摩訶不思議のハンカールである。

 ハンカールの超然としてどこか悪魔的とも言える佇まいを前にして、ミヤビは戦慄にも似た感覚を抱く。ハンカールはミヤビに命じる。翌日のライの処刑をミヤビが取り仕切ることを。そしてカガリに再起不能にされたツンドラに代わり、憲兵団の副団長として無頼じみた男フウガをあてることを告げる。その眼差しは全てを見透かすように冷たく輝いていた。

 ミヤビは調布の夜空を見上げ、誓う。

「私は……私は必ず、バガンも、ハンカールも。踏み越え、超えてみせる。そしてフシト陛下の御傍に仕える、唯一の存在となるのだ」

 ミヤビの確信は揺るがない。なぜなら花鳥風月に秘められた恐るべき力が、己をより高みへと連れて行くのだということをミヤビは知っているからだ。

「ハガネ。私は心待ちにしているぞ。再び貴様に相見えることを。そしてその時こそ。私は、私はより高みへと到るのだ!」

 

第十九話「漆黒よりも黒く」

 頭蓋を砕かれた漆黒のザーマは、己が何者なのかも忘れ惨めに調布の街を這いずっていた。そのザーマの前に現れた非現実的な存在。冷たい光の中に佇む、血のように赤い髪の女。幻想とも現実ともつかぬ光景の中、ザーマは悟る。

「ふはは……地獄だ……そうだ、俺の生は地獄であった。見て見ぬふり、偽りの矜持で誤魔化し続けてきた。しかしこれはただの地獄」

 手を伸ばし女に救いを求めるザーマ。しかし女は告げる。

「この地獄こそお前の生。お前の本質。目覚めよ。お前の黒は、漆黒などという生易しいものではない!」

 その瞬間、ザーマの中から地獄が沸き上がり沸騰した。そしてその胸に新たなるジュクゴが刻まれていく。

「そうだ、俺は……俺は……俺のあるべき姿はっ!」

 

第二十話「道化芝居」

 見せしめのごとく磔となった電光石火のライ。夜が深まる中、ライは静かにその牙を研ぎ続けていた。その前に現れた道化師メイクの女。女は奇妙な力でジンヤを護る衛士たちを狂わせ、操り、そしてライに名乗った。

「私の名はピエリッタ。道化芝居のピエリッタ」

 ピエリッタはライに謎めいた赤い石を示す。

「あのバガンに一矢報いるための力が欲しい。そうではありませんかっ? いや、きっとそうに違いないっ! これは我々が創世の種と呼んでいるもの。貴方様に必ずやっ! 極っ上の力を授けることでしょうっ!」

 しかしその時、ハンカール直属の恐るべき四戦士がピエリッタを取り囲んだ。屍山血河のフォル震天動地のシンキ蛟竜毒蛇のダカツ、そして星旄電戟のバーンである!

 

第二十一話「創世の種」第二十二話「オーバーキル」

 衛士を操り四人に立ち向かうピエリッタ。しかし衛士は屍山血河のフォルによって一蹴される。それでも余裕を見せるピエリッタは青い〈創世の種〉を取り出す。

「ふっふっふっ。これこそはっ! 我らが誇る創世の種っ! ジュクゴ進化バァ~ジョン、なのですっ!」

 閃光を放つ創世の種が、生き残った三人の衛士たちを禍々しき姿に変えていく。悪鬼のデムンは悪鬼羅刹のデムンに。災害のザスタは激甚災害のザスタに。虎列剌(コレラ)のピグレットは豚虎列剌のピグレットに変貌を遂げた。

 しかしハンカール直属の四戦士たちは動揺すらしない。屍山血河のフォル震天動地のシンキ蛟竜毒蛇のダカツ。三人の圧倒的な力によって、文字通りの瞬殺劇、オーバーキルが演じられるのであった。

 

第二十三話「星旄電戟」

 ピエリッタはなおも嘯く。

「ジュクゴニア帝国の皆様。わたくしは嘆かわしい。実に嘆かわしく思っているのです。皆様はご存知ない。ジュクゴのなんたるかをご存知ないっ! 皆様はジュクゴの術理を理解なさらず! その深淵さも知らず! さながら原始人のごとく! ウッホウッホと力を振るうのみ! あ~、なんと嘆かわしいことか……猿っ。言うなれば皆様はさぁるっなのです! しかーし! ウキャウキャウキウキ喚くその猿どもが、世界を統治するなどと言っている……そのような猿どもには! そろそろご退場いただきたい! わたくし、そのように思うわけなのでございますっ!」

 その手に輝く黄金の〈創世の種〉が閃光を放ち、超激甚災害のザスタを誕生させる。その力は凄まじかった。ハンカール直属の戦士たちも守勢にまわるかと思われた、その時。

「賊よ! 知るがいい! 我が率いるは、星旄はためく万の軍勢である!!」

 星旄電戟のバーンの時代がかった雄叫びとともに夜空を埋め尽くす大軍勢が出現。圧倒的な力によって超激甚災害のザスタを粉砕した。

 勝負は決した。しかしピエリッタはなおもおどけ、四人を挑発しながら去っていく。そしてライの懐には、いつの間にか滑り込まされた〈創世の種〉がふたつ。ズクンズクンと不気味な律動を繰り返していた。

 

第二十四話「崩壊の日」

 フォルの報告を受け、〈創世の種〉を見た摩訶不思議のハンカールは呟く。

「お前は。このようなものまで造り出し……いまだ見果てぬ夢を見続けているのか。懐かしいものだ。すべては……すべてはあの日、あの場所で始まった。お前との出会い。そしてフシト陛下との邂逅。我々はあの場所で出会い……ふふ、そしてあの崩壊の日が訪れた」

 〈崩壊の日〉以前。繁栄を極めた文明は、一方で拡大し続ける矛盾に苦しめられていた。世界中に不穏な気配が蔓延し、閉塞感が漂う中、奇跡を語る言葉はもはや嘲笑の対象となっていた。しかし、それは現れた。フシト──後のジュクゴニア帝国皇帝。彼の為す奇跡の数々に人々は心酔し、おとぎ話だと思われていたジュクゴの力の実在に熱狂した。そしてある時、新進気鋭の理論物理学者による論文が注目を集める。それは『ジュクゴの原理とその応用』。

 超越的なジュクゴの力。その原理が解明され、そして応用されようとしている。人々は噂した。もはや我々の文明は神の域に達しようとしていると。その気鋭の学者の名はファイズ・ハンカール・ファイズ。そしてやがて熱狂の行きつく先が訪れた。ハンカールとフシトが出会った日。すべての前提が覆った日。〈崩壊の日〉。

 追憶を終えたハンカールは、その摩訶不思議の力で未来を予見する。その脳裏に浮かぶ、近い将来訪れるであろう未来。それは──

 戦いに敗れ、絶叫するフシト!
 それを見つめ、冷たく微笑むハンカール。
 ハンカールは冷然と告げた。
「滅びの時です、陛下」

 

第二十五話「ハガネとゲンコ」

 ハガネは調布郊外のレジスタンスのアジトで覚醒した。その隣にはいびきをかいて眠る劫火のカガリ。ハガネは独りアジトを抜け出し、ライを救い出すため調布へと向かおうとする。そのハガネに声をかける少女。ゲンコ。ハガネの幼なじみ。二人の間に優しく悲しい時間が流れていく。

「ハガネ」ゲンコは拳を突き出した。
「また……会えるよね」
 ハガネはその拳にこつん、と己の拳を突き合わせた。
「……約束する。必ず生きて戻ると。そしてみんなで、また以前みたいに」

「いやぁ、青春ですねぇ。青春。実に美しい!」

 二人の間に割って入った者。それは道化芝居のピエリッタであった。

 

第二十六話「再び死線へ」

「あなたはお独りでもライ様を救いだせることでしょう。それだけのポテンシャルをお持ちだっ!」

 ハガネの力を認めたピエリッタはそう告げ、不気味に去っていった。ハガネはゲンコに後を託すと、覚悟とともに調布の街を見た。

 これから赴く死線。そこには想像をも遥かに超えた死闘が待ち受けていることだろう。そしてあのミヤビとも決着をつけることになるはずだ。ハガネは覚悟を新たにする。

 

 第二十七話「嵐の前」

 ライの処刑を取り仕切るミヤビ。その前にツンドラの後任であるフウガを連れた屍山血河のフォルが現れた。フォルは告げる。ハンカールがミヤビについて述べた言葉を。

 100%の的中率を誇るハンカールの予見。そのハンカールの言葉はミヤビの死を予感させるものだった。ミヤビを嘲笑うフォル。しかしミヤビは確信に満ちた表情でそれに応える。

「よかろう!」

 ミヤビにとってそのようなことは些事であった。ミヤビは別の予感に胸を高鳴らせていた。必ずや、この場にハガネが現れるであろう。その予感に。

 

第二十八話「カウントダウン」

 ハンカールの傍らに仕える謎めいたアルビノの少年、ゴウマ。彼はハンカールに空気が張り詰めた異様な緊張感を訴える。

「そうか……君にもわかるのだな。これから訪れる波乱、その兆しが。ふふ……ゴウマ。もうじきなのだ。もうじき時が訪れる。それは君にとっての目覚めの時……全てが終わり、そして始まる時……」

 ライの処刑直前! ハガネが現れないことに焦れるミヤビ。その時、ピエリッタに操られた爆鳴気のデトネイが自爆する。それがすべての号砲となった。

 電光石火の力で刑場を逃れようとするライ。しかしそれはフウガによって阻止される。飄々と振る舞うフウガの腕には疾風怒濤の四字が輝く!

 そして爆炎の中、現れたハガネ。ハガネとミヤビ、再び二人は対峙する。その様子を廃ビルの上から見下ろす黒一色の男。男は不気味に震え、吠えた。

「わからせてやる……この世界は地獄だと……お前たちにもわからせてやる……っ!」

 

第二十九話「花鳥風月の秘密」

 ハガネはミヤビ配下の憲兵団員たちを圧倒する。高笑いするミヤビ。その花鳥風月の力が発動し、そして真の姿を見せた。

 舞い散る花吹雪がジュクゴを描き出していく。そのジュクゴは「無辺際」、ムサイのジュクゴであった。驚愕するハガネにミヤビは告げる。

「ハガネ! これこそが我が花鳥風月、最大の秘密! 我が花鳥風月によって花と散った者。そのジュクゴ力(ちから)は全て我が物となるのだ!」

 無辺際の力でハガネに迫るミヤビ。

「ははははっ! 私は欲しいのだ、ハガネ。貴様の力が。貴様の不屈が! 私は欲しい。貴様が欲しい。たまらなく欲しいのだ、ハガネっ!!」

 

第三十話「激闘!ハガネとミヤビ」

 ハガネとミヤビは激闘を繰り広げる。ムサイを失った悲しみを闘志に変えるハガネ。次々と花鳥風月に取り込んだジュクゴを繰り出すミヤビ。追い詰められたかのように見えたその時、ハガネは力強く咆哮する。

「俺は決して……決して屈しはしない……! 俺は必ず……俺は必ず……お前をぶちのめすっ!!」

 ハガネは何かに覚醒しつつあった。その光の翼がバチバチと音をたて、ハガネは超高速で駆け抜ける。衝撃。絶命するミヤビ。

 

第三十一話「激突!ライとフウガ」

 調布郊外、レジスタンスのアジト。目覚めた劫火のカガリ。彼女はハガネと再び会うために、ゲンコやゴンタと行動を共にすることを決める。

 一方、電光石火のライ疾風怒濤のフウガは超スピードの死闘を繰り広げていた。フウガの達人的な武芸はライを追い詰めていく。しかしライは吠える。

「私を……舐めるなっ!」

 その獰猛なまでのファイトスタイルで闘いは拮抗。ハガネはライのもとに駆けつけようとする。その時、ミヤビの残滓のごとく漂っていた花びらが宙に新たなジュクゴを描いていった。それは──復活!

 

第三十二話「暗転」

「ハガネ。我が美は不滅。不滅なのだ!」

 復活のジュクゴによって再生したミヤビ。さらに数々のジュクゴの力によってハガネへの対応を整えていく。再び始まる死闘。ハガネとミヤビ、ライとフウガ。四人の死闘はさらに加速していく──しかし!

 突如、黒に染まった不気味な男が四人の間に降り立った。

「ふっくっくっ……地獄っ……! すべては地獄……!」

 男の体から黒が溢れ、四人を包み込んでいった。

 

第三十三話「闇に溺れる」

「俺はザーマ……黒闇地獄のザーマ……だっ!」

 ライはザーマの産み出した闇に飲まれ、その中で地獄のような過去の情景に 責め苛まれ続ける。最愛の人との死別、我が子の死。そしてジュクゴ使いとしての覚醒。

 

第三十四話「闇に沈む」

 繰り返される地獄のような過去の光景。ライはその中で、自分に付き従った若者たちが次々と命を落としていく様を見せつけられる。

「私は罪深い……私の手は……血塗られている……」

 悄然とするライ。そのライに非現実的な存在が語りかけてくる。冷たい光の中に佇む、血のように赤い髪の女。

「使え! 創世の種を。ライよ! 今こそ高みへと昇れ。全てを圧する力を。全てに勝る力を! 全てを一撃で滅ぼす力を! それを手にする時が来たのだ!」

 その頃ミヤビはただ独り、闇に取り込まれることなくザーマと対峙を続けていた。しかしザーマはミヤビに見せつける。幼き日のミヤビの姿を。

 

第三十五話「ミヤビの誇り」

 闇の中、ミヤビの過去の情景が甦る。病によって醜く爛れた姿。そして訪れた〈崩壊の日〉。殺伐とした日々。そんなミヤビに手を差しのべる男。

「助けるのに理由なんて必要なのかね? 正直、よくわからんよ!」

 そしてついにミヤビは遭遇する。現人神とも言うべきジュクゴニア帝国皇帝フシトに。ミヤビは真の美に触れたと感じた。その瞬間、ミヤビに花鳥風月のジュクゴが宿った。

 暗転。ザーマは非情な現実を見せつける。それはミヤビを虫けらのように嘲笑い、戯れにミヤビの故郷を破壊するフシトの姿だった。

「私は……私の誇りは……」

 ミヤビは悲しみとともに叫ぶ。

「たとえそれが何者であろうと! 我が生を愚弄する者を私は許しはしない!」

 

第三十六話「ハガネの鼓動」

 ザーマに独り立ち向かい続けるミヤビ。その時ミヤビは見た。闇の底から浮上してくる輝ける繭玉を。そして〈創世の種〉に手を伸ばそうとしていたライは聞いた。闇の中、力強く脈動する鼓動の音を。

「これは……これはお前なのか、ハガネ!」

 輝く翼がハガネの体を繭玉のように覆い、脈動していた。その脳裏に浮かんでは消えていくのは過去の情景。かつて世界を襲った〈崩壊の日〉。その日、世界は突如歪み、圧縮された。そしてすべてが終わった時、人々は気がついた。かつて人々が「日本」と呼んでいた小さな島国。その形に世界全体が縮み、圧縮されてしまったという事実に。

 その日を境にフシトは豹変し、縮小した世界に君臨する現人神として振る舞い始める。ハガネは見た。その後の混沌と殺伐の世界を。育ての父母の死。多くの人々の死、そして人々の苦悩の光景。

 しかし。ハガネはその光景の中に見出していた。たとえ数々の苦しみが訪れようとも、たとえ悲惨な現実が立ちはだかろうとも。それでもなお、前を向いて立ち上がる人々の姿を。苦しみの中、それでもなおも笑い、他者に手を差し伸べる人々の優しさを!

 「俺は理解した。俺の力の意味を……俺に力を与えるその源を!」

 

第三十七話「輝ける翼」

 闇を貫く閃光。ライは、ミヤビは、そしてザーマは見た。轟く鼓動が黒の世界を揺るがし、浮かび上がる繭玉、そしてその中から現れた少年の姿。その瞳には輝く不屈の二字! ハガネの雄叫び。それはライとミヤビの心を揺さぶり、闇に囚われた心を救い出していく。そしてついにハガネは覚醒する。その翼が激しくしなり、線となり、一筆書きのように描き出したもの。それは──

 その右の翼が描くは「不撓」!
 その左の翼が刻むは「不屈」!

 黒の世界に燦然と輝く「不撓不屈」の四字の翼!

 ハガネは飛んだ。その光の中でザーマは己がかつて出会い、そして選ぶことができなかった別の可能性を見た。

「地獄……だけではなかった……決して地獄だけではなかった……そうだ。俺にも……俺にだって……」

 闇が崩れ落ち、ザーマの肉体は涙とともに四散していった。そして再び対峙するハガネとミヤビ。

 

第三十八話「強襲!蛟竜毒蛇」

 ハンカールによってハガネの様子を見せられた皇帝フシトは歓喜する。そして大元帥バガンに告げた。

「この者は同じなのだ。お前とな……バガン。わかるであろう、お前にも!」

 一方、再び対峙するハガネとミヤビ。ハガネはミヤビに告げる。

「今の俺に……お前は勝てない」
「そうかもしれん……そうかもしれんな。だがな、仮にそうだったとして。それで引き下がる私だと思うのか?」

 しかしその時! 帝国の移動幕営ジンヤが不気味な鳴動を開始する。そしてハガネたち四人の前に現れた強大なるジュクゴ使い。それはハンカール直属の戦士、蛟竜毒蛇のダカツであった。ダカツはミヤビの言葉を咎め、そして全員まとめての抹殺を宣言する。すでにダカツの操る巨大な長虫が四人を取り囲み、致命の光線を放とうとしていた。もはや逃げ場がないと思われたその時、ハガネたちを護ったのはミヤビの花吹雪であった。

 

第三十九話「花鳥風月、散る」

 ダカツの攻撃を受けたミヤビの体が朽ちていく。

「ハンカール配下の四人……やつらは……全員が一撃即死の攻撃を放つ……だから……一撃でも喰らえば、それで終わりなのだ……!」

 フウガが怒りの雄叫びを上げる中、禍々しき光を放ち、ジンヤが浮上した。ダカツは宣言する。ジンヤはこれよりレジスタンスのアジトを急襲して血祭りにあげ、多摩・町田・八王子の殲滅戦を開始するのだと。怒れるフウガがダカツに挑みかかる。共に戦うライとハガネ。刹那の共闘がここに成立した。そして──

「これが我が生涯、最後の一撃となるであろう」

 ミヤビはその言葉とともにダカツに一撃を放つ。ダカツを倒したミヤビはハガネを見つめ、そして言った。

「ハガネ……お前は美しい」

 

第四十話「永久凍土」

 ミヤビは死を間際にしてハガネを叱咤する。

「お前は……私が認めたお前は。こんなところで立ち止まる男ではないはずだ」

 ハガネはミヤビの瞳を見つめ、そして言った。

「俺は……お前との決着がついたとは思っていない」

 ハガネはライを抱えて飛ぶ。その不撓不屈の翼で、飛び去ったジンヤを追うために! それを見届けたミヤビが朽ち果てようとしたまさにその時、突如としてミヤビの体は凍結した。まるで氷の彫像のように。それは永久凍土の力。かつての憲兵団副団長、永久凍土のツンドラは自分を見捨てた男だとわかっていても、それでもミヤビを愛していたのだ。

 一方、ゲンコたちレジスタンスはアジトを引き払い、撤収を進めていた。カガリは空を見上げ、凶悪な笑みを浮かべる。彼女には迫り来る戦いの兆しが見えていた。

【総集編・最終章『創世大戦』に続く!】

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