水崎秋
詩だけをまとめました。 大切な言葉が詰まっています。
ユートピアからやってきた 吟遊詩人のお出ましさ とんがり帽子は折れている 心の代わりに折れてんだ あなたと一緒に沈んであげる 優しい男さ、皆そう言う 沈んだ先で冷たくなって 残された花は拾ってゆくよ 煙草のけむりで隠せばいい 浅い呼吸と宝物 だからなんだと知らん顔 ユートピアからやってきた 吟遊詩人の夜のうた 緑のマントは擦り切れた あなたの代わりに擦り切れた あなたも一緒にうたうのかい イカす男さ、皆そう言う あなたはどこかへ立ち去って
灰色の心臓に赤い血を巡らせた なんてことは妄想で 想像したら不可解で ため息ひとつ飲み込めず 僕らは無力と言葉にできない ひとりのカオスが見つかった 心の場所を探ろうと視線を右上に動かした 未だに知性は蒙昧で 幼稚な私が悲しくて 冷えた指先も動かせず 僕らは何も成し遂げられない ひとりのカオスを見送った 歩くだけなんだ、あくまでも 遠くで光るなにかの麓に 向かおうなんて思っちゃいない 辿り着くかもしれないと 辿り着けない気がすると たったそれ
旋回する信念の翼を 嘲笑うジャイロスコープ 回転に内包された虚無と無限に ポルードニツァは涙を浮かべた 百獣の王は波打ち際で沈黙して 飛魚の残影に進むべき道を見た 平面に奥行きを見ることは 天賦の才と知るがいい 突き刺した理念の旗を 薙ぎ払うサイクロトロン 九番目の戦線には薔薇色の血が流れ 赤茶色の草原に碧い火が灯った 視界を覆い尽くす妄念は 透明なエネルギーだと誰かが言った 色のついたキャンバスは 希望の結実だと知るがいい 信念と理念、才と結実 飲み込んだ積
吠える 目の前の地面に向かって 涙は頬を伝わない 落ちた水滴を舐めとって 反響する怒号を聴く 肉とも骨とも乖離して 上を向いて歩かない 踏み締める大地だけを睨んで 闊歩闊歩と進むのみ 食いしばった歯は削られて 復讐の鐘は鳴り響く 救われるんだ 救われるんだ まどろみを破る喇叭と流星 泥の中に咲く一輪を 散らせましょう、その旅路の結末で 笑いましょう、捨て去った最果てで
無限遠点の先の海 君には見えない真理の光 私はずっと見据えて進む 夢想旅人の反逆路 千年前の光源辿る 見上げるだけの星間旅行 一歩も動かず心を届ける 宇宙と私の漸近線 ああ、クラレッタ ああ、クラレッタ 貴女を目指す一歩目を 私は笑いはしないだろう 二歩目を踏めば戻れない 逃げない証左を示すだろう 運命を決める三歩目に 込める力は揺るぎなく 生死の狭間の四歩目を 誇りと呼べば憂いなく 五番目の星に手を伸ばす けものの瞳が澄んでいた そう在りたいと願うだけ そう生
さらさらなびく愛の跡 ひなたにそよぐ夢の島 秒針だけが走り去り 不可逆の今が残された 隣り合わせのハイドとシーク ほらほらごらん「まぁだだよ」 回転木馬とブリキの人形 錆びた指先を握るだけ 必ず戻ると言ったきり 逆さまの城で待たされた ガーデンハウスのパズルのピース ほらほら逃げろ「まぁだだよ」 噴水からは静寂だけ おもちゃ箱とノスタルジー あの日の温もりは戻らない あの日の苛立ちは戻らない 今はもうない庭を見る アスファルトごしに目を閉じる カサブランカのような日
ナイフと色褪せない天球儀 砂をふりかけた群青を横切る金属の彗星 渓流に立つ悍ましい物の怪 穏やかな足元だけを見て静かに後ずさる 朝焼けに混在するモノクロ 美しいを濁すのはいつだって夜明けの鐘 シンクロとは非科学的終末 通じ合った時こそ終わりを予感する悪癖 終幕を知らされないピエロ 泣きじゃくる少年には張りついた笑顔を 迷路と故郷に遺された名前 戻れないのならここで産声をあげようか 逆手に握ったままのナイフ 見えない切先に触れて、視界の外で血を流す 見えない柔肌を
一旦、愛想を尽かそうと思う これまで何度も、何時間も、何日も、何年も話をしてきた いいところをたくさん知っている 悪いところをたくさん知っている 気が合う話は楽しいし、気が合わない話ですら楽しいもんな それでも本当は腹の底で言葉にできず、色々なものを抱えて生きてきただろう そこに根拠の本質があるんだろう だからこそ伝えたいことはたくさんある だからこそもう何も伝えない 投げたボールが返ってこないことを、投げ返してこない相手のせいにするのは間違っていた 軽く
夢に見た姿になってみた 中身を詰めたら出来上がり 伽藍堂にも劣る醜態 前を向いても向いただけ 火花を起こしても火を起こせない くしゃくしゃピースは湿気たまま 困難苦難ゆらりと飛び越え 降り立つ先は処刑台 掃いて捨てるよ現在を 土台がなければ立てはしない 砂上の楼閣と笑われて 踏みつけてしまったこれまでを 走り出しても走り続けられない ごちゃごちゃ文句は浮いたまま 艱難辛苦さらりと飛び越え 降り立つ先は処刑台 当たり前のこと言ってみる 当たり前だと言われたよ 別に特
誰かの心を動かしたいと 名乗りを上げた僕だよな 幼い心ってなんだっけ 幼いことを許す自分だよな 感情たちの群れの中で両足で立ってみた うずくまっていたら見えない景色を確かめたくて いつかはなれるのかな 大きな奔流の真ん中に ここでいいんだと座り込んだ プライドなんか明日にはガラクタなんだ いつかは必要とされたいと あたりを見回した僕だよな 強いと思われたかったっけ 関係ないって武装したよな 水底のしじまの中でぐっと上を向いてみた 水面を隔てた空までの距離を信じたくなく
涙を流す機能を持った 機械仕掛けの観測者 熱と光と細めた双眸 答えは最後にとっておく 戦い続けた星だけが 宿す閃きがあるんだろう 交わることはないんだよ ここに心を置いていこう 置いた心が朽ちようと 確かな事実だけを携えよう 泥の中を歩いていった 脈動している観測者 風と終わりと静まる遠点 じっと夜明けを待っている 歌い続けた声だけが 届く地平があるんだろう たくさん抱えてきたんだよ 何物なのかも定まらず 収束できない在り様を 今この時だけは「未来」と呼ぼう
1年半ほど前から友人と2人で定期的にラジオまがいのトークを行っている。 「マグヌスの熊」というタイトルだ。 これは普段の会話を録音してアーカイブとして残していくと未来の自分はどう思うのか、という実験的取り組みである。 30分のトークを60本以上投稿してきた。 先週、先々週と趣向を変えたテーマに挑戦してみた。 「俺のダメなところを建設的にぶつけろ!」 普段は言わないお互いの欠点を言ってみよう。 ただしあくまで建設的に。 これはある種の友情の帰結なのだ。 私が12年
貴女が好きですと 言ったことは一度もない 貴女といたいですと 言ったことは一度もない それでも僕は吠えていた 貴女が好きだと吠えていた そばにいられないと知っていた いてはならないと知っていた 暗い底から這い出した 白い陽を浴びる貴女には 私は必要ないのです 未来が光に満ちている 自由を手にした貴女には 私は必要ないのです 私は貴女を忘れません 貴女が私を忘れても 雑踏に消える私の背中を 貴女の瞳が映していても 振り返ることはありません 貴女の心の傍らに 丸
毒を食む 右手に林檎、左手に空洞 舐めとった甘毒に貴女は小さく頷いた 貴女の黒髪は白く乾いてしまった 貴女の柔肌は黒く褪せてしまった 貴女の生命は儚く凪いでしまった 墓を立てよう 見晴らしなんてどうでもいい 墓を立てよう 空の高さなんてどうでもいい そんな貴女の墓を立てよう 皮肉に満ちた墓を立てよう エルサレム 聖地は遠く、光は見えない 飽き飽きする孤独に僕は小さく身悶えた 墓を立てよう 街を見渡せる丘の上にしよう 墓を立てよう 高く果てしない青空の下にしよう そ
長生きしたい 長生きしたい あれもしたいこれもしたい あれが欲しいこれも欲しい したいことは絶え間なく 生きたい意志は淀みなく 醜く映った瞳にも 仲良くしようと微笑んだ 長生きしたい 長生きしたい あれもしたいこれもしたい あれが欲しいこれも欲しい 後悔先に立たずと誰かが言った 思い立ったら吉日と僕は叫んだ 意欲物欲強欲よくよく 自分勝手は才能だ 長生きしたい 長生きしたい まだまだ生きたい あちこち行きたい そう呟いて布団に入る 起きたら夕方寝過ぎたな 寿命は1
お久しぶりです。 特に言うこともない日々が続いていたので更新が滞っていました。 9月末で闇を抜け、10月からは新しい職場で働いています。 新しい環境で感じたことをひとつ。 私は3社を経て、今の会社に辿り着きました。 最高の環境とは言えないかもしれませんが、まあまあいい環境だなと感じる日々です。 取り扱う商材は非常に複雑で取引先の業界は多岐に渡ります。 それなりの知識と知恵、応用力と発想力を求められる仕事かと感じています。 同じ営業チームの同僚たちには色々な人がいます。