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詩「夢見鳥」

誰かの心を動かしたいと
名乗りを上げた僕だよな
幼い心ってなんだっけ
幼いことを許す自分だよな

感情たちの群れの中で両足で立ってみた
うずくまっていたら見えない景色を確かめたくて

いつかはなれるのかな
大きな奔流の真ん中に
ここでいいんだと座り込んだ
プライドなんか明日にはガラクタなんだ

いつかは必要とされたいと
あたりを見回した僕だよな
強いと思われたかったっけ
関係ないって武装したよな

水底のしじまの中でぐっと上を向いてみた
水面を隔てた空までの距離を信じたくなくて

いつかはなれるのかな
輪になって踊るあの風に
これが正しいと決め込んだ
結論なんか簡単に覆していいんだ

ゆとりなんかなかったさ
息を止めては酸素を吸って
何億回だって繰り返す

それだけで精一杯
それだけで涙が出るんだ

花が咲く瞬間を見たことあるかい
さなぎの羽化を見たことあるかい

ゆっくり進めばいい
振り返れば証明が残るんだ

一歩進んだ勇気の証明
精一杯の涙の痕跡
咲き誇る花のように
羽を得た蝶のように

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