詩「ナイフ」
ナイフと色褪せない天球儀
砂をふりかけた群青を横切る金属の彗星
渓流に立つ悍ましい物の怪
穏やかな足元だけを見て静かに後ずさる
朝焼けに混在するモノクロ
美しいを濁すのはいつだって夜明けの鐘
シンクロとは非科学的終末
通じ合った時こそ終わりを予感する悪癖
終幕を知らされないピエロ
泣きじゃくる少年には張りついた笑顔を
迷路と故郷に遺された名前
戻れないのならここで産声をあげようか
逆手に握ったままのナイフ
見えない切先に触れて、視界の外で血を流す
見えない柔肌を削いで、先を急ぐと歩き出す
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