詩「毒を食む」

毒を食む
右手に林檎、左手に空洞
舐めとった甘毒に貴女は小さく頷いた

貴女の黒髪は白く乾いてしまった
貴女の柔肌は黒く褪せてしまった
貴女の生命は儚く凪いでしまった

墓を立てよう
見晴らしなんてどうでもいい
墓を立てよう
空の高さなんてどうでもいい

そんな貴女の墓を立てよう
皮肉に満ちた墓を立てよう


エルサレム
聖地は遠く、光は見えない
飽き飽きする孤独に僕は小さく身悶えた

墓を立てよう
街を見渡せる丘の上にしよう
墓を立てよう
高く果てしない青空の下にしよう

そんな貴女の墓を立てよう
押し付けがましい墓を立てよう


1000年後の丘の上で
「ほら言ったでしょう」と囁いた

貴女の声は、聴こえない

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