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フォーレを抜く瞬間。。

術後2日目の午後。
フォーレ(膀胱内に留置する導尿用のカテーテル)を抜くことになった。

フォーレは、体内に入ったままの状態では、特に痛みを感じない。恥骨の上あたりに少々違和感を感じる程度だった。
ただ、このフォーレも手術が一通り終わって、自分がまだ麻酔から覚めないうちに挿入されたものなので、フォーレが尿道の中を通っていく感じはまだわからない。

想像しただけで恐ろしい。。

引き抜くときに、尿道の中ですごい摩擦が掛かって、激痛が走るんじゃないかとか、勝手に妄想を広げたりしていた。

そんなことを思うのも束の間。ちょうどリハビリ終わりで、ベッド横に置いてある車椅子に座っていたので、早速、車椅子に座りながらフォーレを抜くことになった。
ベッド周りのカーテンを閉めて周囲を遮って、男性看護師さんがフォーレをゆっくりと引き抜く様子を、じっと見つめていた。

フォーレが尿道の中で動いている。痛みはないが、尿道の内側で軽く突っ張るような、こそばゆいような違和感がある。それと同時に、大量の尿が一緒に出てくる感覚がある。
まずい。このままだと、フォーレを取った瞬間にすごい勢いで尿が出てしまうんじゃないかと、急激に不安が襲ってきた。

その感覚や感情を知る由もなく、看護師さんがどんどんフォーレを引き抜いていく。尿を止めようとするが抑えが効かない・・・
「あぁ、ちょっ、ちょっと待って。出ちゃう!」
と、すんごい情けない声をあげた後、フォーレが完全に抜けきった。
尿がたくさん出てくる・・・と思いきや、残尿が少量だけ出ておわりだった。
フォーレが抜ける前の、あのすごい尿意は何だったんだろうか・・・?

看護師さんはこの光景に慣れているのか、淡々と後処理して、仕切っていたカーテンを開けて去っていった。

自分は何とも言えない気持ちになり、その後しばらく、すん・・・とした感じで車椅子に座っていた。

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