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短編小説「決闘書生」

短編小説「決闘書生」

義助(ぎすけ)は口を開け、目を大きく見ひらいて、眼前に座る友人を凝視した。
開け放たれた窓から、通りで遊ぶ子どものはしゃぐ声が聞こえる。それに交じり、風鈴の涼やかな音色が鳴る。
今し方、下宿部屋にやってきた高等学校の同級である源造は、信じがたい事実を義助に告げた。
「冗談じゃない。そんなことがあってたまるか!」
義助は怒りにまかせて否定するが、表情は動揺を隠せないでいる。
「冗談でも何でもない。明

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