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グラフィックデザイナー兼フォトグラファーが一番影響を受けた映画3選


■1作品目:「イントゥ・ザ・ワイルド」

社会の檻を飛び越え、アラスカの大自然へ。映画「イントゥ・ザ・ワイルド」から読み解く、自由と冒険の旅

1992年アメリカ最北部、アラスカの荒野でクリストファーという若者の死体が発見された。裕福な家庭に育った優等生の彼が、なぜ全てを捨てて旅立ち、2年間の放浪の果てにアラスカで最期を迎えたのか。
ジャーナリストで登山家のジョン・クラカワーはこの出来事を綿密に取材し、ノンフィクション「荒野へ(原題:Into The Wild)」を発表、一躍ベストセラーとなった。この「荒野へ」に激しく心揺さぶられたショーン・ペンが10年近くをかけて映画化権を獲得。実力派のスタッフ&キャストが結集し、ついに本作「イントゥ・ザ・ワイルド」が完成した。理想と現実のギャップに悩み、全てを捨てて真実を追い求めた主人公の姿は、見る者すべてに衝撃を与える。
旅の終わりに彼が知った“真実の幸福”とは・・?

社会の檻を飛び越え、アラスカの大自然へ

エリート大学を卒業したクリストファー・マッキャンデレスは、物質主義的な社会に嫌気がさし、全てを捨ててアラスカの荒野へと旅立ちます。彼はわずかな食料と道具を携え、自然の中で自給自足の生活を送ります。旅の中で様々な人々と出会い、彼らとの交流を通して、自分自身を見つめ直していきます。

現代社会への警鐘と、自然への回帰

この映画は、物質主義的な社会に対する批判と、自然への回帰をテーマにした作品です。主人公のクリストファーは、物質主義とは異なる価値観を求めて荒野へと旅立ちます。彼は、自然の中でシンプルな生活を送ることで、真の自由を手に入れようとします。

誰もが一度は考えたことがある普遍的な問い

「幸せとは何か?」

物質主義的な社会に生きる現代人にとって、その答えはますます複雑化しているように感じます。そんな時、ふと目に入る映画のタイトル、「イントゥ・ザ・ワイルド」。

観る者に様々な問いかけを投げかける

この映画は、観る者に様々な問いかけを投げかける作品です。

  • 物質主義的な社会に疑問を抱いている

  • 自然の中で自分自身を見つめ直したい

  • 人生に迷っている

この映画は、そんな人々に大きな刺激を与えてくれます。

壮大な映像と音楽

アラスカの大自然を舞台にした壮大な映像は、観る者を圧倒します。エディ・ヴェダーの音楽は、映画の世界観をより一層高めてくれます。たまにカートコバーンっぽい…


現代社会に生きる私たちに必要なメッセージ

物質主義的な社会に疲れを感じている人、真の自由を求めている人、この映画はあなたに何を語りかけてくれるでしょうか?

★感想

きっと誰もが共感できるテーマ

私、この映画を見てアメリカ横断&縦断の旅に出ました。そのぐらい僕に影響を与えました。(アラスカはハードルが高かった)個人的にリチャード・ブローディガン※1にも影響を受けていたので、割り増しでした。

人によって解釈が異なる作品だけど、多くの人に愛されるのは、誰もが共感できるテーマを扱っているからだと思う。父親への反発から始まった旅が、いつの間にか自分探しの旅へと変わっていく。社会のルールに縛られない自由な生き方に、きっと心を揺さぶられるはず。雄大な自然の風景は、物質主義とは違う価値観に気づかせてくれると思います。

実際に旅に出た私も雄大な大地を見て「何を悩んでたんだ俺は」と思ってしまったのです。

何度も楽しめる作品

観るたびに新しい発見があり、何度観ても飽きない作品。忘れられない印象を残し、人生の指針となるような言葉が散りばめられている。

現代社会へのメッセージ

物質主義的な社会に疲れた人や、真の自由を求める人にとって、この映画は大切なメッセージを伝えてくれる。「どう生きるか」という問いへの答えを探す旅を通して、私たちに生きる勇気を与えてくれる作品。
人生って良いか悪いかとかじゃなく、何かもっと違う大切なものがあるんだと気付かされました。

あなたも、この映画を観て、自分自身を見つめ直す旅に出ませんか?

※1リチャード・ブローディガンは、1926年から1997年まで活躍したアメリカの詩人、小説家、エッセイストです。彼は、ヒッピー文化の代表的な作家として知られ、アメリカの社会や文化を批判する作品を数多く発表しました。その中でも、1961年に出版された短編小説集「アメリカの鱒釣り」は、アラスカを舞台にした作品として有名です。




■2作品目:「ラストエンペラー」

ベルナルド・ベルトルッチ監督の映像美と、愛新覚羅溥儀の波乱万丈な人生

清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の波乱万丈な人生を描いた「ラストエンペラー」は、ベルナルド・ベルトルッチ監督の映像美と坂本龍一の音楽によって、観る者を圧倒する歴史超大作です。壮麗な紫禁城を舞台に、権力と自由、愛と孤独、そして歴史の真実と虚構を巡る物語が展開されます。

圧倒的な映像美

アカデミー賞9部門を受賞した本作は、ベルナルド・ベルトルッチ監督の美しい映像によって彩られています。紫禁城の壮麗さ、中国の風景の美しさ、そして溥儀の孤独な表情は、観る者を圧倒します。

歴史と虚構が織りなす人間ドラマ

幼くして皇帝に即位した溥儀は、紫禁城という華やかな牢獄の中で孤独と苦悩に苛まれます。その後、満州国皇帝として権力を手にしますが、それは日本の傀儡として利用されるだけの虚構の権力でした。第二次世界大戦後、ソ連に抑留された溥儀は、中国に送還されて思想改造を受けます。

観る者に問いかけるもの

この映画は、溥儀の生涯を忠実に再現しているわけではありません。しかし、歴史の真実と虚構を織り交ぜることで、溥儀という人物の複雑な内面を表現することに成功しています。

★感想

記憶が蘇り、心を揺さぶられた。

この映画を見終わった後、レビューサイト等を見て同じことを感じた人ちらほらいました。それは「幼い頃、祖母や先生が語っていた満州の話。」

紫禁城の豪華絢爛な世界、幼い溥儀の孤独な瞳、時代と共に移り変わる風景... まるで夢の中にいるような壮大な物語に引き込まれるました。

ベルナルド・ベルトルッチ監督の映像美は圧巻!

まるでタイムスリップしたかのような錯覚を覚えるほど、美しいシーンが続々と登場する。※少年時代に私がカメラに興味を持つきっかけになった作品でもあります。

そして、溥儀の心の奥底にある感情を表現し、物語に深みを与えてくれる坂本龍一の音楽。震えます。

権力と自由、愛と孤独。溥儀は人生の様々な側面を経験し、苦悩する。彼の姿は、私たちに「人生とは何か?」「真の自由とは何か?」と問いかけているようでした。

30数年を経て変化した中国に対する複雑な思い

私はこの映画を観終わり。歴史の真実と虚構が交錯する中で、溥儀の人生は、私たちに多くの示唆を与えてると思います。「ラストエンペラー」は、歴史映画ファンだけでなく、すべての人にオススメの作品。
壮大な歴史絵巻と翻弄された男の孤独を体感し、権力、自由、愛、そして歴史について深く考えてみてはいかがでしょうか。

この映画を観れば、あなたの心に深い余韻を残すこと間違いなしです!
歴史に興味がない人でも、きっと楽しめる作品です。




■3作目:「SOMEWHERE」

エモい映像美に満ちた、ハリウッドスターの虚無感と孤独と希望の物語。

ホテル暮らしのセレブ俳優と11歳の娘の、ちょっと不思議な心温まる物語

ハリウッドスターのジョニーは、高級ホテルを住みかにして、派手なパーティーや美しい女性と過ごす毎日。一見完璧な人生に見えますが、彼の心はどこか空虚で、孤独を感じていました。

そんなある日、離婚した母親に預けられた11歳の娘クレオが、ジョニーのもとへやってきます。最初はぎこちなかった二人ですが、一緒に過ごすうちに、少しずつ心を通わせていくのです。

「SOMEWHERE」におけるエモい映像美

「SOMEWHERE」も、ソフィア・コッポラ監督らしいエモい映像美が光る作品です。※僕の撮る写真に、大きな影響を与えました。

  • 色彩

本作は、全体的に淡い色彩で統一されています。これは、ジョニーの虚無感と孤独感を表現する効果があります。特に印象的なのは、ジョニーとクレオがホテルのプールサイドで過ごすシーンです。二人の周りは白と青で統一されており、虚無感と同時に、どこか清涼感のある印象に。

  • 構図

本作は、左右対称の構図を多用しています。これは、ジョニーの心の安定を求める気持ちを表現する効果があります。また、ジョニーとクレオが一緒にいるシーンでは、二人を画面の中央に配置することで、二人の心の距離が近づいていることが画で伝わります。

  • 照明

本作は、自然光と人工光を巧みに使い分け、独特の雰囲気を醸し出すことに長けています。特に印象的なのは、ジョニーがホテルの部屋で一人過ごすシーンです。部屋は薄暗い照明で照らされており、ジョニーの孤独感を強く感じます。

音楽との融合

選曲が個人的に刺さりました。フェニックスやポリス等の音楽が効果的に使用されています。フェニックスが映像の雰囲気にぴったりとマッチし、観る者の心をさらに揺さぶります。特に印象的なのは、ジョニーとクレオが車でドライブするシーンにマッチした曲が、二人の心の交流を感じさせます。


★感想

確かに、映画前半は、ジョニーの自堕落な日常を写実的に淡々と描く場面が多く、ストーリー的には「つまらない」と感じる人もいるかもしれません。

しかし、この作品の真の魅力は、そこにこそあります。

殺伐とした日常に、久しぶりに現れた娘クレオ。観客は、前半で描かれた自堕落な日常と、父娘が過ごす何気ない時間の対比によって、その一瞬一瞬の愛おしさを強く感じます。

そして、娘との交流を通して、主人公が変わっていく様子が、静かに、しかし力強く描かれています。

本当の生活を切り取ったような自然な空気感

セリフは少なく、登場人物たちの表情や仕草で感情を表現するシーンが印象的です。特に、エル・ファニング演じるクレオの無邪気な笑顔は、見る者に希望を与えてくれます。

キラキラ輝く日常と、涙が溢れる美しさ

主人公役のスティーブン・ドーフと娘役のエル・ファニングの二人の演技は、まさに圧巻です。特に、プールの中でのワンカットは、言葉にならない美しさで、見る者の心を揺さぶります。

愛おしい日常の大切さ

派手なアクションやストーリー展開はありませんが、この映画は、私たちに「本当の幸せ」とは何かを問いかけてきます。

退屈と感じる人もいるかもしれませんが、その「間」こそが、この映画の真骨頂です。

ソフィア・コッポラ監督の独特な映像美と、二人の演技は、観る者を魅了して止みません。

単に美しいだけでなく、物語の内容を表現する重要な役割を果たした「美」。彼女の作品を観ることで、映画の新しい楽しみ方を発見してくれます。




まとめ:3つの映画が描き出す、人生の深淵と希望の光。

1. イントゥ・ザ・ワイルド:社会の檻を飛び越え、真の自由を求めて

物質主義的な社会に嫌気がさした青年が、アラスカの大自然へと旅立つ。雄大な自然とシンプルな生活を通して、真の自由とは何かを探求する物語。

2. ラストエンペラー:権力と虚構に翻弄された男の孤独と希望

清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の波乱万丈な人生を描いた歴史超大作。壮麗な映像美と坂本龍一の音楽が、溥儀の苦悩と希望を鮮やかに表現。

3. SOMEWHERE:虚無感と孤独に満ちたハリウッドスターの心の旅路

華やかな生活の裏側にある、ハリウッドスターの虚無感と孤独を描いた作品。ソフィア・コッポラ監督の独特な映像美とスティーヴン・ドーフの静かな演技が光る。

3つの映画は、それぞれ異なるテーマを扱っていますが、いずれも人間の心の奥底にあるものを描き出しています。社会のルールに縛られず自由を求める青年、権力と虚構に翻弄される皇帝、虚無感と孤独に苦悩するスター。彼らの姿を通して、私たちは自分の人生を見つめ直し、真の幸せとは何かを考えることができます。
これらの作品は、人生の深淵と希望の光を同時に描き出す、感動的な映画です。ぜひ一度、あなた自身の目で確かめてみてください。

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