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「OLD ROOKIEs」 第4話 -予感-

ロサンゼルスから日本へのフライト中、永田はある種のカルチャーショックを受けていた。

「今後、絶対にCGの時代が来る…!」

ロサンゼルスでのCGカンファレンス「SIGGRAPH(シーグラフ)」に参加した永田は、世界中から集まる最先端のコンピュータグラフィックスを目の当たりにし、明確な“次の未来”を感じとった。

永田は機内でおもむろに企画書を書き始めた。

そして、帰国と同時に主森に手渡した。

「DTPの方は後任も育っているので、僕は今後CGをやります。絶対にこれをやるべきなんです!」

永田は、「DTPWORLD」を創刊した時と同じ波をCGの世界にも感じていた。

一部の選ばれたプロだけがクリエティブに関わる時代から、個人がプロに引けを取らないクオリティでクリエイティブに携われる時代がやってくる。

映画「ジュラシックパーク」の恐竜がCGで動くようになり、プロはもちろん個人のクリエイターがCGを使って創作活動をし始めるのもそう遠くないだろう。その人たちへ向けた情報は新しい価値になるはずだ。

「1億総クリエイター時代への突入だ」

こうして永田は、「DTPWORLD」に次ぎ、CGに関する情報を掲載する専門誌「CGWORLD」を創刊。

永田は創刊号でどうしても業界ナンバーワンの企業を表紙にしたかった。

「どうせなら、最先端をいくピクサーアニメーション・スタジオを取り上げたい」

資金も十分にないうえ、著作権問題などにも四苦八苦するなか、それは無謀とも思えた。しかし、注目の的であったピクサーの「トイ・ストーリー」のキャラクターをなんとか創刊号の表紙にすることに成功した。

「DTPWORLD」同様、「CGWORLD」も売上を順調に伸ばし、ワークスコーポレーションは着実に出版社として成長を遂げていった。

あらゆるものがアナログからデジタルへと転換していく時の流れを肌で感じながら、未来への期待に永田の心は躍った。

つづく。

第5話 -スタートライン- https://note.mu/showcase/n/nebefa72c6269

株式会社ショーケースの「これまで」と「これから」を描くノンフィクション小説『OLD ROOKIEs』は、毎週1話ずつ公開中!

第1話 -卒業- https://note.mu/showcase/n/nd305564958cc
第2話 -挑戦- https://note.mu/showcase/n/n2b1a8afc07fc
第3話 -犬のウン- https://note.mu/showcase/n/nfb96f0b7d7ee/edit

https://www.showcase-tv.com/

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