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【U-Z】 600 HIPHOP VINYL RECORDZ -CLASSICS OF THE 90’s n 00’s- BY SHOTAHIRAMA

U-


Ugly Duckling “Turn It Up” (2003)

初期デラソウルを彷彿、とはまさにその通りで、93年にロングビーチで結成されたことがなかなか信じ難いほどジャズでファンキービーツな古き良きパーリーサウンドが炸裂する本作。”Louder, louder!”とユニゾンで煽る賑やか2MCと(このフックのバックコーラスにはPUTSのDouble Kがいるらしい笑)、うっそみたいにバンギンな前のめりビーツをループしてくるDJ、80s90sへとスロウバックしたようなサウンドスタイル。PUTSやJurassicなど僕らが愛してやまない一部の西側連中を除き、やはり大多数であった当時のギャングスタトレンドなサザンカリフォルニア側では極めて稀だった事は想像に容易い。グループ名「みにくいアヒルの子」も、なるほどな。

Unity Never Fails “Corner House Politics / The Story of While Bosket” (2018)

Alps CruのShorty Liveがかつてレコーディングを共にしたブルックリンクルーUNF唯一のフィジカル作品。リリースはAlps Cruにめっぽう強いセントルイスのF5 Recordsからで、オーナーのDJ Crucialによるバックサイドが最高。ビートマイナーズ属性のスロウブーンバップにゆらゆらのピアノループ、これぞミッドナインティーズ!たまらん。

The Unspoken Heard “The Jamboree EP” (1999)

英国からはRichy PitchやArtifactsのEl Da Sensei、さらにはJ-LiveやMr. Complexなど黄金期90sを彩ってきた数々のアングラヒーローが集うブルックリンSeven Heads (7Heads)レーベルから、ワシントンDCマイカーAsheruとBlue Blackが組んだユニットによる6曲入りEP。Rawkus周辺で活躍するトラックメイカー88-Keysによる表題曲をはじめ、J-LiveがスクラッチするA3、ピートロ弟Grap LuvaによるB1まで全曲がジャジーヴァイブスに満ち溢れた陽気で幸せニコニコなヒップホップが詰まっている。

Urban Thermo Dynamics “Manifest Destiny” (1995)

ブロンクスのDITCより大御所Diamond Dがプロデュースで参加したブルックリンのトリオUTDの12インチ。言わずもがな、ソロデビュー前の若きMos Defと弟DCQ、妹CESというモス家総出の3ピース。モスとDITCが絡むなんて(しかもPAYDAYからのリリース)当時のシーンを熱く語るには充分過ぎる1枚。正直バックサイドのJ-Swift(ファーサイドのプロデューサーとしておなじみ)ミックスの方が良かった。

V-


DJ Vadim “Friction / Raps Don’t Grow On Trees” (1999)

ロシア(サンクトペテルブルク)からUKはロンドンのNinja Tune経由で世界へ、アブストラクトシーンへ多大なる影響を与えたビートメイカーVadimが99年にリリースした12インチ。UKサイドのターンテーブルシーンで活躍するDJ Prime Cutsが参加するほか、カップリングには同じロンドンで活躍していた盟友Mark Bがリミックス参加するなど、しっかりと身内で固めたJazz Fudge系サウンドに仕上がっているなか注目はA1。同年リリースのアルバム「U.S.S.R. Life From The Other Side」にも収録されていた表題曲にはなんとDilated PeoplesのRakaaことIriscienceがマイク参加。アブストラクト過ぎて難しい作品もあるなか、この曲は抜きん出てヒップホップなのでVadimの入門曲にまずはおすすめしたい。

Vinyl Dialect “B-Boys Rock The World” (1999)

イーストはイーストでも、イーストアングリアというイギリス東部のヒップホップクルーから99年にリリースされたデビューシングル。1MCと2DJのトリオということで、表題曲は特にそうだがネタやビートメイクよりも耳を奪われる華麗なるターンテーブリズムに魅了される。スクラッチ好きはマストだね。ちなみにこの指捌き、勿論メンバーのDJ OlsonとDJ Preciseによるもので、彼等は英国版DMCの常連でもあるらしい。The CreatorsからBlack Twang、Ugly Ducklingまでをも網羅するロンドンの優良レーベルBad Magicから。

Visionaries “Good Things” (2004)

J.Rocc率いるターンテーブリスト集団BeatJunkiesのメンバーであったDJ Rhettmaticを中心に95年カリフォルニアで結成したグループ。ちなみに同じBeatJunkiesのDJ Babuはダイレイテッドピープルズへ加入。04年にリリースしたサードアルバム「Pangaea」からのシングルカットには個性豊かなMCらが織りなすマイクリレーよりも、次々とコラージュされていくネタとレベル違いのスクラッチなど、トラックに一癖も二癖もあって聴いていて楽しい。って思ったら、表題曲はMadlibの弟Oh Noプロデュースだった。

Visionaries “Love (Hip Hop)” (1997)

ジュラシックやダイレイテッドらとともにUp Above Recordsの看板を背負う6人組が、デビューアルバム「Galleries」からシングルカットした1枚。Whispers「You Are Number One」オケにLou Donaldson「Ode To Billie Joe」ドラムブレイクを使ったB1がとにかく名曲。グループ1の人気者でターンテーブリズム界のレジェンドクルーBeat Junkiesの一員でもあるDJ Rhettmatic、そして同じくBeat JunkiesからJ-Roccが2人で制作したアダルトオリエンテッドなメロウブーンバップ。これがほんっと、めっっちゃいいトラック。

Visionaries “Reach” (1999)

DJ BabuやDJ Roccを輩出したターンテーブリスト集団Beat Junkiesの一員、DJ Rhettmaticが参加している同じLA拠点の現役グループVisionaries。セカンドアルバム「Sophomore Jinx」からのシングルカット。2021年には凡そ10年振りの新作を出していて、メンバー誰1人欠けてないんじゃないかな、いやぁリスペクトだ。

Visionaries “Sophomore Jinx” (1999)

世界的ターンテーブリストDJ Rhettmatic (Beat Junkiesのメンバー)を中心に6人で形成された大所帯クルーによる2枚組のセカンドフルアルバム。ジュラシック5風マイクリレーにPUTSやSACっぽいジャジン系からハードコアな曲まで多種多様だが、やっぱりジャズいトラックは聴きごたえ充分。Beat JunkiesからDJ Babu (Dilated Peoples)や先駆者J Roccがプロデュースで参加。

Vision Quest “Soul Clique” (1995)

たった1枚の12インチを残し消え去ったクイーンズの3人組。シカゴのサックス奏者ジョン・クレマー「Free Soul」からサックスを抜き取って、50sに活躍した作曲家レス・バクスター「Hot Wind」からバカかっこいいブレイクビーツを混ぜ合わせた超絶ハイテンションな良作。バックサイドのJeep Styleミックスはシックになって、実はこっちがかっこいい。グラデーションラベルにハズレなし説あるね。

W-


Walkin’ Large “Listen To This” (1997)

ジャーマンヒップ・ミーツ・ザ・ルーツ、ってことでその名の通り、ドイツのアングラグループとフィラデルフィアのネオソウルバンドRootsががっつり手を組み制作した12インチ。キラキラのピアノリフがループするナイスジャジントラック。Black Thoughtがラップで参加し、バックサイドではクエストラブが仕事してます、Rootsがバンド名義でリミックスプロデュース。アングラに留まらず、ドイツに留まらず、メジャーにワールドワイドにソウルフルに音楽をヒップホップしてるWalkin’ Largeへリスペクトよね。

Walkin’ Large “Reachin’ (For My People)” (1995)

ドイツ産アングラヒップでも特別知名度の高い2人組Walkin’ Largeが同年に発売したファーストアルバム「Riverside Pictures」よりカットした人気曲。O.C.も「Ma Dukes」で使っていたジミー・マクグリフの「Back On The Track」をネタにしたブルージーなジャズヒップ。ちなみにバックサイドがよろしくて、ブルックリンのJeru先輩(当時はまだギャングスターファウンデーションの一味として大活躍中)を召還しておりこちらも必聴。

Walkin’ Large “The Rise” (1998)

ジャーマンヒップを牽引するドイツ・ヴッパータールからWalkin’ Large、彼らのセカンドアルバム「Self」よりアコギの旋律とジャジーヴァイブスがエモく沁みるRnBテイストな12インチシングル。トランペットの巨匠ドナルド・バードがプロデュースしたジャズファンクバンドBlackbyrds「Mysterious Vibes」をネタにしたB1が良き。

Walkin’ Large “Riverside Instrumentals” (1995)

南アフリカはヨハネスバーグという世界屈指の犯罪都市で生まれ育ったサグ中のサグエムシーOnoとエストリア出身のDJ Araで結成されたジャーマンヒップデュオ。彼等が95年にリリースしたデビューアルバム「Riverside Pictures」から選抜されたジャジンでメロウな8曲をインストで収録してみた1枚。ちなみに盤に「Samples Dug Out Of DJ Ara’s Crates」と書いてあって好き。

Warren G “This DJ” (1994)

ロングビーチからGファンクオリジネーターがグラミー賞をも巻き込んだ稀代の大ヒット曲。Midnight Star「Curious」をめちゃくちゃスロウにまわしたお馴染みのトラック。説明不要だね。そもそもはデビューアルバム「Regulate… G Funk Era」から2枚目のシングルカットで本作UK盤には本人によるリミックスと、イギリスSoul ll Soulクルー(マッシヴアタック前身ワイルドバンチのネリー・フーパーも在籍)のTony CampbellことDobieによるリミックスが収録されている。これはUS盤には未収録なので是非。

WC And The Maad Circle “West Up!” (1995)

Coolioが在籍するMaad Circleと、西海岸で唯一無二の存在感を放っていたエムシー・WCが合体したグループが95年にリリースしたギャングスタ名盤「Curb Servin’」から。キーボード奏者ジョージ・デュークの「Reach For It」ネタをわりとまんま使い、Gとファンクをフュージョンしてみせた正真正銘リアルウェッサイアンセム。WCとはウェストサイドコネクションの同志でもあるIce Cube兄さんとMack10が参加。

The Weathermen / Mr. Lif & Murs “Same As It Never Was / Sneak Preview” (2001)

ブレードランナー2049からサイバーパンク2077を行き来するブルックリンの未来派El-Pが、Company Flowとは別線で産み出したThe Weathermenなるクルー最初の12。低ビットのデジタルノイズに、サンプリングビルドなキックとスネア。マイクリレーはMHzのCopywriteにCamu TaoからMasai BeyやVast AireなどDef Jux信者はマスト。

Wee Bee Foolish “The Main Attraction” (2001)

Fondle’EmやRaw Shack、さらには日本のMary Joyからのリリースでも知られるアングラスターYeshua daPoEDを中心に据えたサンプリングベースとスクラッチで魅せる3MC1DJチーム。ブルックリン南部の海沿い、ブライトンビーチをホームタウンにする彼等らしい、アルペジオの旋律が心地良い爽やかメロウヴァイブスな表題曲がめっちゃ好き。ちなみにYeshua自らトラックメイク。

Wee Bee Foolish “Tiger Boogs / Time Will Tell” (1998)

Fondle’Em育ち、生粋のアングラエムシーYeshua dapoEDが在籍するブルックリンはブライトンビーチのカルテット(2MC1DJ1PROD)。やがてSound ProvidersやJazz Spastiksなど、世界各地のジャズヒップクルーと越境的なコラボを展開する彼らの初々しいデビュー12。DJ Blessによるスウィンギンだかブギーだか、哀愁ぶるーすなオルガンネタをフックに中毒性高いソウルジャズ系トラック、いなたい。

While “Haze 01” (2000)

East Flatbush ProjectやPrefuse73、そしてPush Button Objectsなど、ヒップホップマインドを持ち合わせたエレクトロニカ系アーティストらを多く輩出するシカゴのレーベル・Chocolate IndustriesからChris MooreことWhileの12インチシングル。ロービットノイズが作る霧の遠く向こう側からメロディアスな上ネタが浮き現れる、ポエティックな構成がエモい。これぞアブストラクトな世界観をぶった斬り雪崩れ込むラグドなダウンビートに、やたらとうねるクラブミュージック寄りのベースライン。最早IDMの概念は忘却の彼方へ、しっかりと踊れるダンスミュージックとしてのヒップホップが提示されていた。

While “Haze 02” (2000)

彼の代表作でもあるHaze EPシリーズの02にあたる12インチ。01に比べヒップホップマインドはやや弱いが、表題曲に関して言えばグリッチ混じりの電子音響と、頭をしっかりと振れるラグドなダウンビートは健在。しかし、バックサイドではよりドラマティックなエレクトロニカサイドへと傾倒しはじめている印象を受ける。シカゴ(マイアミから移転)のChocolate Industriesを代表するアーティストであるPrefuse 73やPush Button Objectsらと比べ認知度はやや劣るかもしれない。ただ、Whileが描き出す抽象的な音響世界にはその他を突き放す圧倒的なエモきメロディが其処彼処に存在していて、それに身を預けて意識を飛ばしてみる至高の数分間を個人的には楽しんでいたりする。好きよ。

Wildchild “Code Red” (2003)

かつてはKankickも在籍していたオックスナードの伝説クルーLootpack。その一員として名を馳せたカリフォルニアの人気エムシーWildchildが、同じくメンバーでもあり高校時代からの友人でもあるMadlibをプロデューサーに据えたソロ12インチシングル。リリースは勿論ストーンズスロウ。表題曲はMadlibの弟Oh Noプロデュースで、重ためのオケとラグドなビーツが軍楽みたいな迫力を生んでて超絶パワフル。対する兄貴サイド「Party Up」はパーカッシブなビーツで手数は多いんだけど、独自の緩急が妙に落差をつけてタイミングがズレるお馴染みの脱臼系トラック。乗っかるエムシーは急足にソリッド、Vinia Mojicaの妖艶なハミングはスロウで柔らかい、これでまとまるんだから不思議。種明かしが知りたい手品みたいな1曲。

Wordsworth “On Your Feet / That Way” (2002)

表題曲はブロンクスのヴォーカルグループPersuadersによる72年作品「Thanks For Loving Me」で聴けるベースラインとコーラスを主軸にしたスモーキーでソウルフルなBeatminerzプロダクション。これがめちゃ良い。変わり種に挑まない、直球勝負のビートマイナーズが1番好き。歌うはブルックリンのマイナーエムシー、あまり名前に馴染みはないが過去にはJ-LiveとのタッグでSeven Headsからのリリースがあったりする。声かっこいいし、ラップかっこいい。

Wu-Tang Clan “C.R.E.A.M” (1994)

女性R&Bグループ・チャーメルズの「As Long As I've Got You」をまんま使った最早説明不要な表題曲と、オーティス・レディング&カーラ・トーマス「Tramp」のブレイクビーツを使ったバックサイド「Da Mystery of Chessboxin’」と。トラックは勿論プリンス・ラキームことRZA。ブルックリンやクイーンズだけじゃないんだよ、スタテン島という忘れ去られていた5つ目のニューヨークを世界に知らしめたのは後にも先にもこの9人しかいない。

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The X-Ecutioners “It’s Goin’ Down” (2002)

故Roc RaidaやRob Swift、Mista Sinistaらも在籍したNYC最大規模のターンテーブリストクルーが02年にリリースした名アルバム「Built From Scratch」からシングルカットされた12インチ。表題曲は当時世界的なムーブメントを巻き起こしていたロックバンドLinkin ParkからマイクシノダとMr. Hahnが参加したミクスチャートラック。バックサイドはハイエロのDel The Funky HomosapienやKool KeithのDr. Octagon作品など、数々のオルタナヒップに携わってきたDan The Automatorがプロデュース。ダン中村とX-menクルーらによる超ド級の壮絶スクラッチエンターテインメントを堪能できる。

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Yaggfu Front “Busted Loop’” (1993)

掠れたホーンが鳴り続けるなか、はしゃぐ3人のマイクリレー。なんだかニュースクールが過ぎる表題曲は置いといて、とにかくバックサイドの「Slappin' Suckas Silly Remix (Radio Edit)」がかっこよすぎる(これって12インチだけかな)。グハッと耳をつん裂くエレキトリックなギターリフはフュージョン〜ジャズファンクバンドThe Crusaders「My Lady」冒頭で聴けるあれ。ピアノが零れてハープが滴るジャジンでアダルトなLPバージョンも収録されていて、B3にはDiamond Dが参加。ノースカロライナ産ジャズヒップ名盤。

Yaggfu Front “Left Field” (1994)

ノースカロライナのマイナースクール3人組からすんばらしくスペーシーな1枚。A2のオリジナルが1番ジャジンでスモーキーで、ホーンは飛ぶし宇宙みたいなSEも手伝って絶対的浮遊感が凄いのなんの。浮き上がったケツが地に落ちることなく終始気持ちいいまんま。ぐっすり寝ちゃいそう。バックサイドはBlack Moon「How Many Emcees」とは少し違ったグローバー・ワシントンJr「Hydra」ネタで(ベースラインは切ってる)、代わりに被さるウッドベースがたまらん。個人的にはバックサイドしか勝たん。

Yall So Stupid “85 South” (1992)

Mass InfluenceのエムシーH2OとSpearhead Xがかつて在籍していたジョージア州アトランタの5人組によるデビューシングル。Dallas Austin主宰のアトランタを代表するヒップレーベルRowdy Recordsより93年にリリースされた彼等唯一のアルバム「Van Full Of Pakistans」からカットされた1枚。腕を大きく振りかぶってゆっくりとたたきつけるような大振りのブレイクビーツはThree Dog Night「I Can Hear You Calling」を早回ししたもの。ファンキンにうるさ騒ぎ立てる、終始ご機嫌がピークな地方系ニュースクール。

Yall So Stupid “Van Full Of Pakistans” (1993)

メンバーのSpearhead XとH2Oは同じアトランタで後にデビューするMass Influenceにも在籍している

ジョージア州アトランタの5人組、唯一のフルLP。賑やかニュースクール、常にマン振りでアホっぽさ全開。ただ、12インチでカットされた表題曲はやばいかっこいい。南部ヒップの老舗Rowdyからのリリース、プロデュースはジャジージェフを手掛けた事で知られるSpearhead X、A8はレーベルメイトで頼りになる兄貴らDa King&Iがミックスしてるなどなど、聴くと知るとますます良い。

Yall So Stupid “Van Full Of Pakistans” (1993)

Dallas Austinによって92年に設立されたアトランタのレーベルRowdy Records。看板アーティストはYall So StupidをはじめDa King&Iに、歌姫Monicaもここがデビューレーベルだったり

アトランタから愉快な5人組、地方だしマイナーだしであまり話題にあがらないんだけどダサかっこかわいいマイクリレーが好き。彼等唯一のフルLP(タイトルが一緒)からカットされた12インチ。特筆すべきは同じレーベルメイトであるブルックリンのDa King&Iがプロデュースしたバックサイド「The Plant」これがめちゃくちゃメロウでかっこいい。大好き。

Yeshua daPoED “Directions / The Head Bop” (1998)

ブルックリン南部のブライトンビーチを拠点にするカルテットWee Bee FoolishからメインエムシーYeshua’ズソロ作。アブストなスクラッチと(同グループからDJ Bless)キックがハマらない変則ダウンビーツなど、なんとなくカンパニーフロウ寄りのオルタナ感がよい。Coプロデュースに若きAlchemistがMudfoot名義でいるのもなおよい。

Young Black Teenagers “Dead Enz Kidz Doin’ Lifetime Bidz” (1993)

グループ名に反して黒人は1人もいないでお馴染みレペゼン・ロングアイランド"YBT"のセカンドフルLP。Grandmaster Flashや、Bomb SquadのGary G-Wizなど基本的にはパブリックエネミー周辺からのプロデューサー陣で固めたお馴染みの布陣で、他を圧倒する攻め攻めアゲアゲの爆撃サウンド。なかでも、パブリックエネミーのTerminatorXがプロデュースしたオーティス・レディング「Try A Little Tenderness」オルガンネタを使ったハードコアパーティーチューン「Tap The Bottle」はこのアルバムのハイライト。

Young Black Teenagers “Roll w/The Flavor” (1993)

アシッドジャズを牽引した人気ギタリスト、ロニー・ジョーダン「Cool And Funky」冒頭で聴けるスライディンな洒落ギターリフを使ったロングアイランド産ニュースクール人気作。ちなみにA2収録のアルバムバージョンのがA1ショートバージョンよりじっくりネタを堪能できる。まぁとにかくとにかくトラックが良い。うぇいうぇいガヤりたてる4人のマイカー陣はさておき、パブリックエネミーを支えたチームBomb SquadからHankとKeithのShocklee兄弟やGary G-Wizらのチカラが漲るクラシック。

Da Youngsta’s “Wild Child” (1993)

兄Taji Mahal(Taji Goodman)と弟Q-Ball(Qu’ran Goodman)、そして彼等の従兄弟Reek Geez(Tarik Dawson)を加えた3人組

フィラデルフィアの子供トリオ・ヤングスタズが、クイーンズのBeatnutsプロデュースで放ったパーリーニュースクールクラシック。93年セカンドアルバム「The Aftermath」からのカット。やたらと太いベースにバウンシーなキックnスネア、差し込まれるホーンは跳びに飛ぶ。トラックは完全にビートナッツ。あとは”パンパンパンパンパパパパパンプアップっっ”みたいな、勢いまかせの3人の掛け合い。きっとみんな好き。”I’m a wild child!”って叫ぶの、かっこいい。いや、なんか書いててかっこいいのかわかんなくなってきた。

Da Youngsta’s Illy Funkstaz “Verbal Glock” (1996)

フィリーヒップで1番うるさいグループかも

鍵盤3つぐらいしか鳴ってない超絶ミニマルなワンフレーズ・ワンループを、これまたカラカラに渇いたキックスネアハットのみで走らせる。まるでディラみたいで、マジカッコ良すぎるぜ。フィリーヒップの土臭さそのままにクールさもあり、こいつぁ参った。バックサイドにはNasの「One Love」とモブディープ「Shook Ones」を使ったトラックが。

YZ “The Ghetto’s Been Good To Me” (1993)

89年の「In Control of Things」がデビューだが、90年代後半にはイギリスのビートメイカーAimの楽曲にも参加したり、調べてみたらわりかしゼロ年代以降も精力的にラップしてる

ニュージャージーのオールドスクールエムシーが同タイトルのセカンドからカットしたシングル。千鳥足並みにゆっくりなbpmに、まったりしたリリック、レイドバックなアコギとホーンがとにかくチリンで気持ちいい。二日酔いの真昼間に聴きたいや。ビートはファンキーソウルの女王リン・コリンズ「Think (about it)」をめっちゃ遅くしたやつ。プロダクションはTrackmastersだ。

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V.A. “Constant Elevation” (2002)

Astralwerksというユニバーサルのレーベルが、アブストラクトやブレイクビーツなどオルタナティブなヒップホップを中心にコンパイルした2枚組LP。明確な線引きが難しそうなうえ、なんの情報もあがってこない謎コンピだが、とりあえず収録されてるアーティストには心惹かれること間違いなし。Company FlowからEl-P、WARPからAntipop Consortium、ストーンズスローからPBWにMadlib、Aceyalone率いるFreestyle Fellowship。豪華。

V.A. “Fondle ‘Em Fossils” (2001)

偉大なるラジオDJストレッチ&ボビートの片割れボビートが運営するレーベルFondle’Em最後のリリース作品は、El-Pが運営するDef Juxとの共同リリース。時代の変わり目、ニューヨーク維新な表題曲「Fondle ‘Em Fossils」では、MF Doom、Godfather Don、Breeze(Juggaknots)、J-Treds(Indelible MC’s)、Q-Unique(The Arsonists)らNY屈指のMCがチームを組みマイクを交わす。カメルーンのサックス奏者マヌ・ディバンゴ「Lakisane」からアフロファンクなギターリフをネタにしたのはDJ Eli、めちゃくちゃかっこいい。Dysfunkshunal Famileeが1曲コンパイルされてる。

V.A. “Da Philly Throwback EP Vol.1” (2008) 

90年前後のフィリーヒップクラシックを集めた6曲入り12インチ。ニュージャージーから80年代ヒップを支えた故Tony D主宰レーベルCha-Ching Recordsよりリリース。所謂Roots後のフィラデルフィアにはそれなりに"沼にハマっている"自覚はあるが、Roots前となるとまだまだ。ハマると後々危険な気もするが、とりあえずの入門盤としてはかなり良好な内容。俗に言うランダムラップ、全曲ファンキーブレイクビーツブンブンマル。限定500枚プレス。

V.A. “Project Blowed” (1995)

カリフォルニアを拠点にした所謂LAニュースクールの正統派閥"Project Blowed"による2枚組のコンピレーションLP(本家はGood Life Cafe勢かな)。発起人のAceyaloneは本名義は勿論、大人気グループFreestyle Fellowshipの一員としても参加。さらには個人的に大好きなNonceはウエストクラシック「Mixtapes」を収録(ちなみにこの曲についてはクレジットが何処にもされていない。権利問題か)。彼らが居なければ西海岸なんて殺伐とした地域にインテリジェンスなフリースタイラーは一切育たなかったかも。これは再発ね。

V.A. “Rapid Transit - A Chocolate Industries Compilation” (2000)

IDMやエレクトロニカ、アブストラクトからブレイクビーツまで、所謂電子音楽寄りのフィールドでヒップホップマインドを掲げるシカゴのChocolate Industriesからレーベルを代表するアーティストを集わせた3枚組。注目はRoots Manuvaの楽曲をEl-PがリミックスしたA2、オウテカやラッセル・ハズウェルらが在籍していると”言われる”GescomがリミックスしたPush Button ObjectsのB2。他にもPrefuse 73は勿論、PBOとDJ CrazeのユニットKo-Wreck Techniqueなどお馴染みのアーティストも当然収録されているのでレーベルコンピレーションにしては結構な満足感を得られる。

V.A. “Rawkus Presents Sound Bombing 2” (2000)

当時のNYCで最も優れたタレントをまるごと擁したアングラ要塞のようなレーベルRawkusが98年から年1で続けてるコンピ企画。今作は99年の第2弾期にリリースされたThe Singlesと呼ばれた12インチから3枚。エムシー陣は説明不要、なによりトラック陣。Hi-TEKから、Nick Wiz、El-P、Diamond、Spinnaだよ。安いレコードでも高品質を約束。

V.A. “Tags Of The Times Version 2.0” (1999)

東京発のコンピレーションでこれだけ強度なクオリティとアングラマインドを維持したまま後世に語り継がれるヴァイナルって他にあるだろうか。Mary Joy Recordingsが全3作で展開してきた歴史的レーベルコンピ「Tags Of The Times」その第2弾が本作。西はLiving LegendsからThe GrouchにAsop、Murs、東はIndelible MC’sのJ-TredsやThe InfesticonsのMike Ladd、さらには日本でも馴染みがあるShing02やApani、レジェンドクラスではEl Da SenseiにTalib Kweliなど。どうやったらこんな猛者共が集まるのか。全14曲の2枚組LP、リスペクトMary Joy。

V.A. “Tags Of The Times 3” (2001)

世界に誇るメイドイン東京レーベルMary Joy Recordingsが3部作構成で展開したレーベルショーケース「Tags Of The Times」その第3弾。個人的には毎作夢のようなラインアップで届けられる本シリーズ、どこをとっても敵なし。Project Blowed及びFreestyle FellowshipまわりからAceyaloneを筆頭にOmidとMikah 9にPEACEからNonceのSachまで、さらにはLiving LegendsクルーからGrouchやMursなどなんだか西海岸チームが目立つ内容。そんな中でもミネソタのSlug率いるAtmosphereがJackson5「I Am Love」を使った名曲「Between The Lines」を持ち込んでくれてるというのが嬉しい。

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