ネーミングに悩んだら、顧客の「使う瞬間」にヒントを探そう
コロナ禍のイエナカ需要の高まりもあり、農業の産直サイトが盛り上がっています。
我が家でも先日、母親と昼ごはんを食べていた時に、食後にシャインマスカットが出てきました。
「○○って直販サイトがあるでしょ。そこで初めて買ってみたの」
仕事柄、60代女性のネットでの購買行動に興味があったので、さりげなくどうやって購買に至ったのか、その理由を聞いてみました。
相手が「使う」ことを考え、ネーミングをつける
母親は、広島の山の上で育ったそのシャインマスカットが、寒暖差を利用して甘くなっているのだ・・と嬉々として話し続けたのでした。(その後に直販サイトをみてみたところ、実際の名前は少し違っていました 笑)
母との会話の中で私が気になったのは、他の農家が「○○産シャインマスカット、2房3kg」という事実ベースのネーミングにしているのに対して、この農家さんだけ、なぜネーミングを工夫していたのか、という点です。
私の想像ですが、その農家さんはお客さんを「買う人」ではなく「使う人」として見ていたのではないでしょうか。
シャインマスカットは比較的高いので、一人だけで食べるというよりは、家族や友人と一緒に食べたり、誰かに贈る場合が多いはず。
なので、シャインマスカットを買った人の消費者心理としては、家族や友人に「これってこんな素敵なものなのよ」と、伝えたいし、なんなら自慢したい。
そんな時、素敵なものだと伝える「武器」(武器というとちょっと大袈裟ですが)として、わかりやすいネーミングがあるといいよね、と思いつきます。
つまり、このネーミングは、買う瞬間ではなく、買った後、その人が生活の中でどう使うのか、というところから生まれているのです。
タイトルにこだわる若手は成長する
相手が使う時のことまで考える。
これは、農家だけでなく、働く人全員にとって大事なことだと思います。
先日、アイデアブレスト会議があったのですが、「アイデアのタイトルにこだわる若手は、成長するだろうな」と思うことがありました。
ある後輩は、アイデアの説明は色々と書いてあるのですが、タイトルは特に凝ったものではありませんでした。
一方で、別の後輩は、キャッチーなタイトルを頑張ってつけていました。
私は、それを取りまとめて、さらに上司に提案する立場にあるのですが、キャッチーなタイトルがついているアイデアの方が使いやすいと感じたのです。
なぜなら、タイトルがあるアイデアの方が、そのアイデアを上司に提案した時の反応が、リアルにイメージできるからです。
例えば、「新入社員が会社に馴染みやすくする」ためのアイデアを、会議で持ち寄るとします。
のように、アイデアの内容について書いてあるだけでなく、そこに一言、
というタイトルがあるだけで、グッとイメージがわきます。
このようなタイトルがあることで、自分の上司に「こんど、『社員動物図鑑』を作ろうと思うんですよね」と話しているシーンが、想像できるのです。
しかも、上司が常日頃から「社員の多様性が大事だ」なんて言っていたとしたら、きっと喜ばれそうだな、と思うわけです。
つまり、キャッチーなタイトルは企画内容をわかりやすく伝えるだけでなく、提案した相手がその企画を使いやすいようにする機能もあるのです。
アイデアは、どんなに面白くても採用されなければただの紙くずです。
良いタイトルであるほど、そのアイデアがタイトルと共に社内を一人歩きして、どんどん実現に向かっていきます。
アイデアを提案した後、相手がどのように使うのかまで考え、ちゃんとタイトルにこだわる若手は伸びるだろうな、と思ったのでした。
言葉にこだわる人は、相手のことを思いやる人だ
アイデアもシャインマスカットも、目の前の相手がどう「使うのか」を考えて、ネーミングやタイトルなどの言葉にこだわることが大事です。
そんな、相手が「使う」時のことまで考えられる人こそ、自分のアイデアや夢を実現していく人なのだと思います。
(おっと、この記事のタイトルもこだわらなければ・・・)
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