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急に、誰かに教えなければならなくなった時の3つの対処法

もし上司から、「今度、○○についてレクチャーして」と言われたらどうしますか?

急に、誰かに何かを教えなければならなくなった場合でも、次の3つをおさえればなんとかなります。

それは、①本の力に頼る ②身近な題材を選ぶ ③相手に話してもらう、の3つです。

この3つの重要性を感じたのは、先日、私自身が、小学生向けに「お金の授業」をしなければならなくなったからです。

今日は、金融の専門家でもない私が、どうやって授業を組み立てたのかについて書いてみたいと思います。

「お金の授業」の先生に

ある日、奥さんから、「小学生向けにお金の授業をして欲しい」と言われました。

小学校6年生の娘の仲良し3人組がいるのですが、その母親たちで話をしていた時に、株や投資など、お金の教育が大事だよね・・という話になったそうです。

そこで、私の奥さんが、子ども向けの金融教育セミナーなどを探したのですが、しっくりくるものがなく、私が大学などで教えているからという理由で、私に依頼がまわってきました。

もちろん、私は金融は詳しくなく、まして、株や投資などはほぼ素人です。しかし、娘のためにも、とりあえずやってみるか・・!と思い、挑戦してみました。

結果、1.5時間程度の授業ですが、3人とも最後まで楽しんで受けてくれたので、成功だったと思います。

では、実際に、私が1週間程度を使ってどのように準備したのか、紹介したいと思います。

まずは本をたくさん読む

まず、向かったのは大型書店です。子ども向けのお金に関する本を、いろいろと立ち読みした上で何冊か購入しました。

今回に限らず、人に教える時に最も頼りになるのが「本」です。

ビジネス書の著者の多くは、講演会や研修などの経験をもとに本を書いている人が多いのではないかと思います。実は、私が過去に書いた本も、そのパターンが多いです。

ですので、本を読めば、プロが普段どのように話しているのかを知ることができます。

同じテーマの本を3冊読めば、3人のプロの講義を集中的に受けたようなものです。

3冊の集中講義の中から、共通のキーワードや、自分自身が面白いと思った点をピックアップして、自分ならではのオリジナル講義を作っていくのです。

子ども向けお金や投資の本を読んでいると、多くの本が「投資のリスクをむやみに怖がらないで欲しい。知識があればリスクとも向き合える」という共通のメッセージが見えてきました。

また、投資の中でも株や投資信託など以外に、経験や健康に投資する「自己投資」もあるよ、ということが書かれていて、面白いなと感じました。

そこで、投資リスクとの向き合い方や、幅広い投資について伝えていくことを、授業の中心にしようと決めました。

身近な題材を選ぶ

しかし、小学6年生に、急に「投資のリスクが・・・」といっても聞いてもらえなそうです。

リスクの前に、まず、投資とは何かについて、話さなくてはなりません。しかし、小学6年生にとって投資はあまり身近ではありません。

そこで、次に工夫したのは、相手にとって身近な題材からスタートさせることです。

今回使ったのは、最近ニュースでよく見る「値上げ」の話題です。

今、食品などを中心にさまざまなものが値上がりしています。

そこで、「値上げの理由は何だと思う? 理由はいろいろあるので、自由に考えてみてください」と問いかけて、一人一人に白紙の紙とサインペンを渡して、自分の考えを書いて発表してもらいました。

すると、「戦争で材料が高くなっている」などの鋭い回答がありました。もしかしたら社会の授業などで勉強しているのかもしれません。

私からも、戦争の影響はもちろん、他にも、コロナによる工場の停止や、円安などの影響があることを説明しました。

さらに、長期的な物価上昇について知ってもらうために、本で事例として取り上げられていたタクシーや銭湯などの1950年から現在までの値段を一覧表で示しながら、ここもクイズ形式で考えてもらいました。

えーっ、こんなに安かったの」など良い反応があったところで、いよいよ投資の話に入ります。

銀行にずっと預けていても、物価が上がれば、お金の価値は減ってしまいます。

なので、すぐに使わないお金は、「投資」という選択肢があるよ、という話をした上で、本題の投資の話へとつなげていきました。

相手に話してもらう

工夫ポイントの3つ目は、参加者自身に考えたり、話したりしてもらうことです。

私自身が金融の専門家ではないので、1.5時間もお金のことを話し続けられる自信はありません。そこで、参加者の力をたくさん借りることにしました。

具体的には、15分に1回程度の間隔で問題を出して、白紙に答えを書いて、発表してもらいました。

手は第二の脳と呼ばれますが、書きながら考えた方が頭は活性化します。おかげで、長い時間でも、飽きずに参加してもらえました。

また、相手の反応をみながら話し方を変えられるので、「もう少し丁寧に話そうかな」「簡単そうだから次に進もうかな」などの対策を考えることもできます。

このマークです

今回は、スライドの左上にメモマークを入れておいて、「このマークが出てきたら、書く問題だからね」と最初に伝えておきました。

すると、このマークがついたスライドは特に積極的に参加してくれて、スムーズに進めることができました。

子どもたちの発言の中にもハッとする答えがあり、お互いの刺激になり、子どもたちの反応も良かったです。

こうして、無事に授業を終えることができました。

会社や大学でも使える

例えば上司から、「新人にマーケティングの基礎をレクチャーして」と言われても、私はおそらく同じことをしたと思います。

まずは、本。マーケティングは金融よりは知っていますが、それでもマーケティングの教科書的な本を2〜3冊読み、大事なポイントを抽出します。

次に、相手の身近な話題。例えば「好きなブランドは?」「気になるヒット商品は?」などから話を始めて、そこからマーケティングの基礎知識につなげていくと思います。

最後に、相手に話させる時間を作ります。例えば、「このヒット商品を、マーケティング4Pで分析してみよう」など出題して、その理解度をみながら内容を修正していきます。

そうすることで、ある程度満足度の高いレクチャーができると思います。

人に教えることで一番学ぶのは自分、とよく言われます。

①本の力に頼る、②身近な題材を選ぶ、③相手に話してもらう、この3つを行うことで、相手にも感謝されつつ、自分のスキルを磨く良い機会になると思います。

私も、お金について改めて学ぶ良い機会になりました!

※子ども向けのお金や投資の本がたくさんあって驚きましたが、どれも読みやすく工夫されていました。今回、参考にさせて頂いたのは、『10歳から知っておきたいお金の心得〜大切なのは、稼ぎ方・使い方・考え方』『今から身につける「投資の心得」〜10歳から知っておきたいお金の育て方』(共にえほんの杜)などです。

※Twitterでは気になった記事をツイートしています。記事の要約に加えて、自分の感想をつけているのですが、感想をどう書くかの方が頭を使います。


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