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「つながり」をテーマに広げる、お弁当販売×フードパントリー──写真で知ろう!小規模保育【保護者支援】

月2回のお弁当の配布とフードパントリーを行っている『こどもの杜きっちんyum yum(やむやむ)』。「つながり」を大きなテーマに据え、園と保護者、卒園児家庭、地域の子育て家庭や事業者などを結ぶプロジェクトへと育ってきています。

<こどもの杜保育園 すくすく/京都府京都市>

【開催頻度】月に2回
【提供数】40食/40セット

■ ねらいと配慮

3園ある「こどもの杜」グループの小規模保育園では、設立時から食育に力を注いでいます。体にいい、安全な食材を使うことはもちろん、味つけに徹底してこだわった給食は、自治体からも献立について問い合わせを受けるほどの評判をいただいてきました。

その中で、共働き世帯の日々の忙しさを感じていたこともあり、以前から保護者支援の一環で「お弁当の提供」ができないかと模索。一方で、単にレシピを提供し業者に委託するのでいいのだろうか、何か私たちらしい方法は取れないかと悩む状態が続いていました。
2023年にこども家庭庁の「保育所等を起点とした食支援事業」ができたことで、まずは助成をもらいながら、私たち自身でテイクアウト型の保育園こども食堂を立ち上げることを決意しました。園の調理員だけでなく、「ずっとこどもの杜とつながっていたいので、何かお手伝いできれば」と言ってくださっていた卒園児の保護者にも、仕事として依頼できるようになります。掲げたテーマは、「つながり」でした。

園で作るお弁当の提供は、月に2回、各40食(1世帯2食まで)で企画。子どもは無料で、大人は100円〜(全額「国境なき医師団」に寄付)でお渡しすることにしました。
また今回の事業では、お弁当だけでなくさまざまな食材や、子どもが必要とする文具などにも助成が適用できるため、並行して「フードパントリー」も開始。卒園児家庭のお店で作っているものや、地域の事業者さんともコラボしやすく、より大きな意味で「つながり」を生みやすくなると考えました。こちらは40世帯までを対象に、やはり300円〜(全額寄付)で配布することにしました。

■ 振り返り

『こどもの杜きっちんyum yum』がスタートしたのは2023年9月。開催10日ほど前に保護者向けの案内と、SNSやポスターでの一般向けの告知をすると、毎回すぐ完売する状況が続いています。

申込みはLINEからですが、3カ月で登録者は早くも100を超えました。在園家庭のみならず、近隣の保育園や社会福祉協議会とのつながり(連携)で、地域で子育て中の家庭からも幅広く応募があります。子どもだけでなく、大人も食べることを考えて作ったメニューについては「味が本当にやさしい」という声をいくつもいただき、「土曜の夕方にほっとする時間がとれた」など子育て支援としての意義を確認できるコメントも頂戴しています。

またフードパントリーでは、たくさんの事業者さんともご縁をいただいています。給食にも使っているお米の農家さんからは、お米の袋に加え、田んぼの状況や旬の話を記した「あぜみち通信」が毎回届くようになりました。そのぶん、受け取った方からの喜びやお米のおいしさの声をお伝えすることで、新しい関係が生まれています。

さらに、京都で子ども食堂を運営されている方と納豆屋さんとがコラボした商品も、フードパントリーで提供しました。パッケージにはQRコードがついていて、子ども食堂の取り組みがわかるようになっています。

こうした私たちの姿勢が伝わっているのか、お弁当やフードパントリーに対する寄付額も、回を追うごとに増えてきました。ただの物資支援にとどまらない「つながり」の輪が、今後もさらに広がっていけばと考えています。

■ 「小規模保育」としての視点

小規模保育園には、関わる子どもや世帯数が少ないがゆえに、それぞれの状況にあわせた配慮をしやすい環境があります。個々に寄り添う文化が育まれてきたことは、今回のような事業を行うなかでも、細かく、手厚い対応に表れているように思います。

例えば、フードパントリーでの物資の支援。一言で「◯◯がほしい」という家庭があっても、こだわりや希望するサイズはまちまちです。新しい文具や傘を望まれた家庭には、子どもの年齢や好みを聞いたうえでアイテムを用意しました。労力はかかりますが、その後「普段、子どもに我慢をさせてしまっているので、本当に助かりました。子どもが抱きしめて寝ています」などといったお手紙を受け取ると、ブレずにここに向き合っていく大切さを、改めて感じさせられます。
小規模保育園での取り組みなので、届けられる数は決して多くありません。しかしこの規模だからこそ、「顔が見える関係」を作り出しやすいとも言えます。保育士にちょっとした悩みを打ち明けたり、保護者同士がちょっと立ち話をしたり、そういった時間を用意できる地域の拠点がたくさん生まれていくことで、より子育てのしやすい社会になっていくように感じています。

【園情報】
こどもの杜保育園 すくすく(特定非営利活動法人 国際医療支援機構)
https://kodomo-mori.jp/sukusuku-2019/
京都府京都市中京区二条通柳馬場西入観音町88番地1 デトム・ワン烏丸二条1階
定員12名
小規模保育事業A型・管理者設置あり


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