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結局なにもわかっていない

−落下傘勉強術−


私の趣味は勉強だ。

勉強は積み上げていくものだという常識がある。

確かにコツコツと積み重ねていくことは大切である。

しかし、人生そう長くはない。

時にドーンと飛躍したい衝動にかられる時がある。

「もっと早く多くのことを悟りたい」という感情が湧き上がってくるのである。

何かいい方法はないものだろうか。

そんな時におすすめなのが、学問の達人の知恵を拝借し、トップダウン式に勉強するという方法だ。まずは全体に通じる「確固とした法則」を知った上で部分を見ていくのである。

このような勉強のしかたは、なにも社会人や大学生だけではなく、小・中・高校生にこそ必要だと思う。

小室直樹をご存知だろうか。

もう故人となってしまったが、現在日本で活躍している血の気の多い言論人に、多大な影響を与えてきた人物の一人だ。普通の学者が10年や20年かけて到達するレベルの内容を、全て3ヶ月程度で習得してしまうような天才的な学者であった。

小室氏いわく、

1.科学は「正しいかもしれない」ことを「正しいこと」にすりかえる帰納法によって発達してきた。

ということである。そして、

2.数学を除くあらゆる科学は不完全である。

ということである。

近代哲学の父と言われ、数学者でもあったデカルトも「方法序説」の中で同じようなことを述べている。

わたしは何よりも数学が好きだった。論拠の確実性と明証性のゆえである。中略。数学の基礎はあれほど揺るぎなく堅固なのに、もっと高い学問が何もその上に築かれなかったのを意外に思った。

以上の2人の天才の知恵を拝借すると、以下のことが言える。

「数学を除く科学は不完全である」

「数学は完全である」

「科学は不完全である」ということは、もはや明るみになっている事実である。量子力学でも「不確定性原理」がハイゼンベルクによって発見された。

そして、小室氏が完全だという数学についても「不完全性定理」が発見された。

上記の原理と定理には諸説がるが、人類の知りうる限界が証明されたということに間違いはなさそうである。


さて、これまで述べた事実を知っているのと、知らないのでは、全くもって勉強に対しての態度が変わってくることは容易に想像できるだろう。

知っている人は、ソクラテスの「無知の知」が理解しやすいだろうし、知らない人は、少し知識が増えただけで「自分は賢くなったんだ」と勘違いしやすい。

では、どちらがより魅力的な人間になれるかといったら、間違いなく前者である。

謙虚で博識な人間が一番尊敬されるからである。

このように、コツコツ積み上げる勉強も必要だが、まずは背伸びをして学問の本質に触れてみるのもよいのではないだろうか。

無知の自覚の向こうには、また新たなる世界が広がっている。



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