就職活動中の学生は読んで下さい。特にアトリエ系建築設計事務所志望の学生へ伝えたいこと

結論から言います。

1、旧態依然としたアトリエ系建築設計事務所(会社)は今後どんどん減少していく

2、「自分自身で、0から、自分の頭で考えて、建築を計画し、お客様に満足して頂き、自分が望む設計料を頂く」。この能力を身につけることを望む人以外はアトリエ系建築設計事務所に行くべきではない

3、職業は手段でしかない。自分の職業を再定義し、分野の枠を超えて行く人が今後活躍する


多少厳しい内容で申し訳ありません。しかし、あなたの将来を考えて真剣に書きます。そして、これは私自身の問題でもあります。


1、旧態依然としたアトリエ系建築設計事務所(会社)は今後どんどん減少していく。

あなたもなんとなく感じているのではないでしょうか。AI技術が発達していくと、きっと図面は基本的な情報を入力すれば自動的に作成されるようになるでしょう。既にそのようなCADも開発されています。ということは、「答えを0から考えなければならないこと以外は機械が勝手にやってくれるようになる」ということです。

旧態依然としたアトリエ系建築設計事務所は避けて下さい。見分ける方法は簡単です。経営者が偉そうにしている事務所はダメです。それと、経営者が自信がなさそうな事務所もダメです。

適度に自信があり、謙虚な姿勢で常に新しいことを勉強している経営者のところに行って下さい。

今の50代、60代の建築設計事務所の経営者は、まさに設計事務所業界が師匠と弟子という「徒弟制」で成り立っていた時期の方々です。ですから、未だに「設計事務所の所員は給料をもらえるだけいい方」なんて考えを持っていたりします。時代錯誤もはなはだしいです。そのような建築設計事務所は今後、どんどん姿を消していくでしょう。

旧態依然としたアトリエ系建築設計事務所がどんどん減少していく中で、それでもアトリエ系建築設計事務所に行きたいという方は下記を読んで下さい。

2、「自分自身で、0から、自分の頭で考えて、建築を計画し、お客様に満足して頂き、自分が望む設計料を頂く」。この能力を身につけることを望む人以外はアトリエ系建築設計事務所に行くべきではない。


ちゃんとしたアトリエ系建築設計事務所で、みっちり本気で5年も働けばそれなりの建築を計画出来るようにはなります。その能力を心から身に付けたいと思う人以外は行くべきではありません。

一番大きな理由はお金です。

アトリエ系建築設計事務所の初任給は10万円以上もらえたらとてもいい方です。ちなみに私の初任給は12万円でした。その後かなり上がりはしましたが、よくやってたなと思います。中には7万円でやっていたなんて人もいました。ブラックもブラック。真っ黒です。今はもっともらえる事務所も増えているかも知れませんが。

若い頃はノリでなんとかやっていけます。しかし、30歳を過ぎるとだんだん惨めになってきます。「まわりの友達は年収500万円もらっているのに俺のこのザマはなんなんだ」という具合に。比べる必要は無いのですが、やっぱり比べてしまうんですね。たまには客観的になるためにも比べることも必要です。

お金が無いと、勉強もできません。本もあまり買えませんし、海外旅行になんてほぼ行けません。住むアパートも自動的にボロアパートになります。

それと、これが一番大事なことですが、

満足してもらえる設計を出来るようにするにはただ漫然と働いていてもダメです。

仕事が休みの日に、建築を見に行ったり、本を読んだりして勉強しながら、審美眼を磨かなくてはなりません。それだけ365日建築をやれるかということです。

「それでも行きたい」という人はそれでもいい。しかし、それだけの覚悟があるかということです。

設計はハウスメーカーやゼネコンでも出来ます。しかし、ハウスメーカーやゼネコンは基本的に分業体制なので「自分自身で0から考える」ということは余程の立場にならないとほぼ出来ないでしょう。

小規模なアトリエ系建築設計事務所(所長含め2人〜5人程度)は、最初は所長が考えることがほとんどですが、それ以降はほとんどの部分を自分で考えて設計していくことが出来ます。もちろんそれが所長に受け入れられればの話ですが。所長と対等になると、0から考える時点で自分の案が採用されることもあります。

自分一人で建築の設計を出来るようになりたい

と本気で考えている人は、是非アトリエ系建築設計事務所に行って下さい。

しかし、、、です。

暗いことばかり言って申し訳ありません。


今後建築設計だけで生きていくことは極めて困難になるでしょう。

人口が減少し、経済は衰退傾向です。企業は大規模なリストラを行います。そうすると一企業あたりの人員は大幅に少なくなり、必然的に建築の必要数は少なくなります。

更に企業は経費削減のため、AIやロボットの導入を推し進めていきます。冒頭にも書きましたが、図面はある程度のところまで自動的に作成されるようになるでしょう。

そうすると建築士が余ります。自分の頭で考えることをしない、言われたことだけやっている建築士や、ペーパードライバーの建築士は必要とされなくなります。いや、自分の頭で考えてはいても、世の中に価値あるものを提供出来ない建築士は必要なくなります。

必要な建築の数も建築士の数も減少していくのです。

と、ここまで暗い話ばかりして申し訳ありません。

しかし、これは時代の流れですからしょうがないんです。私もこれからどうやってこの時代を乗り越えて行こうか、日々考え、行動を始めています。

ではどのような人がこれからの時代において必要とされるのか。

3、職業は手段でしかない。自分の職業を再定義し、分野の枠を超えて行く人が今後活躍する


建築士とは従来の枠で考えると「建築を設計したり、つくったりする人」です。しかし、従来の枠を外してもっと広い視点でとらえると「広い意味での空間や場所をつくる人」と再定義できると思います。簡単に言うと「空間・場所プロデューサー」でしょうか。

面白い店をつくるアイデアがあると「建築+店」で建築を含めて店舗をプロデュースすることが出来ます。谷尻誠さんなんかは既にやっていますよね。それと、僕が今面白いと思っているのは

「村づくり、町づくり」

です。イケダハヤトさんが、「将来地方の町や村が自治体で管理出来なくなった場合、個人に売り出される可能性がある」と言われていました。これって建築に携わる人間がもっともやりたいことです。是非自分の村をつくりたい。

「Second Design Village(セカンドデザイン村)構想」

を早速始めようと考えています。

ちょっと夢ばかり語っていますが、時代は厳しい時代になっているようで、実はより人間らしく生きることが出来る時代になってきています。

人間にしか出来ないことをやればいい。あとは機械がやってくれるようになるんですから。

アトリエ系建築設計事務所に入るからには、

「設計を極める」

という目的意識を持って、長くても5年というつもりで入って下さい。

時代は刻一刻と変化しています。かなり厳しいことを書きましたが、これはまさに私自身の問題でもあります。

今から勉強して将来を見据えて行動していけば大丈夫です。共にこの激変の時代を乗り越えていきましょう。





















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